暮らしに役立つ新QC七つ道具(5) ―― 系統図法:「方法」を「整理」する
●物事を系統的に整理して漏れや抜け,重複を防ぐ
部下A(アー)さんがZ(ツェット)くんに教えた方法は,新QC七つ道具では「系統図法」(ツリー・ダイアグラム)と呼ばれています.
系統図法とは,複雑な物事を頭の中から出してツリー状にして「整理」することで,考えやすくするための方法です.系統的に物事を展開することで,漏れや抜け,重複を防ぐことが目的となります.
作り方は,解決したい目的や物事に対して,手段や方法などを段階的に分けてだんだん細かくしていきます.どこまで細かくしていくのか,というところは人によって変わるため,明確な基準はありません.強いて言うと,自分の頭で具体的なことがイメージできるところまで,ということになります.
また,系統図法で作成した図は,複数のメンバ間での意思疎通を図るための,コミュニケーション・ツールという一面もあることを覚えておくとよいでしょう.
系統図は,プロジェクト・マネージメントでいうところのMECE注1という概念の具体的応用です.プロジェクト・マネージメントでは,WBS注2やOBS注3として使われます.
注1:MECEはMutually Exclusive and Collective Exhaustiveの略で,相互に重なりなく,全部集めたら漏れがないという意味です. 注2:WBSはWork Breakdown Structureの略で,プロジェクト全体を細かい作業に分割した構成図です.「作業分割構成」,「作業分解図」などとも呼ばれます. 注3:OBSはOrganization Breakdown Structureの略で,WBSのそれぞれの作業に担当する人員を配置した組織図です.いわば,「人の配置」という視点からとらえた構成図と言えるでしょう. |
系統図法の使い方としては,今回の例のように問題解決の方策を得るために使用する場合と,構成要素を明確にするために使用する場合の2種類が一般的です.これらの使い方は,それぞれ「方策展開型」と「構成要素展開型」と呼ばれる場合があります.
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次回は「連関図法」の違った使い方を取り上げます.お楽しみに.(^ ^)
くにひろ・よういち
◆筆者プロフィール◆ 国広 洋一(くにひろ・よういち).東京多摩在住の組み込み系ツール企業勤務エンジニア.『基本から学ぶソフトウェアテスト
』の勉強会に参加したことをきっかけに,社外の勉強会にときおり参加しています.TEF(Testing Engineer's Forum;ソフトウェアテスト技術者交流会)やSQiP(Software Quality Profession,スキップと発音する)の勉強会に行くと会えるかも.TestLink日本語化部会のメンバでもあります.オープン・ソースのテスト管理ツールであるTestLinkをどうぞよろしく.