組み込み/ストレージ機器向けプロセッサやAtom内蔵の民生機器向けプロセッサを発表 ―― IDF(Intel Developer Forum) 2009レポート
●PCI Expressを内蔵した組み込み/ストレージ機器向けプロセッサ
初日の午後には,Intel Architecture Groupの事業本部長とエグゼクティブ・バイス・プレジデントを兼任するSean Maloney氏による基調講演があった.同氏はサーバ・クラスの組み込み機器およびストレージ機器に向けた次期プロセッサ「Jasper Forest」(開発コード名)の概略を説明した.
Jasper Forestの大きな特徴は,PCI Expressインターフェースを内蔵したこと.このため,現行のXeon 5500プロセッサではチップセットが2チップ構成であったのが,Jasper Forestでは1チップに減る.また,2個のマイクロプロセッサでシステムを構成したときに利用できるPCI Expressインターフェースのチャネル数が増大する(写真7).Jasper Forestの製造技術は45nmプロセス.量産は,2010年第1四半期に始まる予定である(写真8).
写真7 「Jasper Forest」で構成するシステムと,現行の「Xeon 5500」で構成するシステムの違い(クリックすると拡大)
写真8 Jasper Forestのチップ写真(左)と応用分野(右)(クリックすると拡大)
●AtomをCPUコアとした民生用SoC
最終日の午前には,Digital Home Groupのゼネラル・マネージャとシニアバイス・プレジデントを兼務するEric Kim氏が,民生機器向けのSoC「CE4100」(開発コード名は「Sodaville」)を発表した(写真9).「CE4100」はAtomプロセッサをCPUコアとする,初めてのSoCである.製造技術は45nmプロセス.CPUコアのほかにグラフィックス・プロセッサ,ディスプレイ・プロセッサ,マルチフォーマット対応ハードウェア・デコーダ,ディスプレイ・コントローラ,セキュリティ・プロセッサ,DDR3メモリ・コントローラ,オーディオDSPなどの各コアを内蔵する.
写真9 「CE4100」のチップ写真
●インターネット接続機器向けの次世代プラットホーム
テクニカル・セッションでは,Atomプロセッサを含むプラットホームの次期版「Moorestown」についての説明があった.インターネット接続機能を備えたモバイル・インターネット・デバイス(MID)やスマートホン向けのプラットホームである.
同社はAtomプロセッサ(Z500系)と新開発のチップセット(US15Wチップ)を組み合わせたプラットホームとして,2008年に「Menlow」を開発した.そして2010年には次期版のプラットホーム「Moorestown」,2011年には次々期版のプラットホーム「Medfield」を開発する計画である(写真10).「Moorestown」では「Menlow」に比べて待機時消費電力を1/50と大幅に下げるとともに,実装基板の占有面積を半分に縮小する.そして「Medfield」では,待機時消費電力をさらに低減しながら,併せて実装基板の占有面積も小さくするという.
写真10 Atomプロセッサ系プラットホームの開発ロードマップ(クリックすると拡大)
「Moorestown」は主に,開発コード名「Lincroft」のAtomプロセッサと,開発コード名「Langwell」のチップセットで構成される(写真11).製造技術はプロセッサが45nm,チップセットが65nmである.「Lincroft」には新たに,メモリ・コントローラとディスプレイ・コントローラ,2次元/3次元グラフィックス・エンジンを内蔵した.「Langwell」にはシステム・コントローラやUSBコントローラなどが搭載される.このほか,開発コード名「Britertown」と呼ばれるミックスト・シグナル・チップと,開発コード名「Evans Peak」と呼ばれる無線通信コンボ・チップが「Moorestown」の一部を構成する.
写真11 次期プラットホーム「Moorestown」の構成(クリックすると拡大)
ふくだ・あきら
テクニカルライター/アナリスト
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