USB 3.0のプロトタイプ・システムが続々公開,Windows 7のデモも登場 ―― SuperSpeed USB Developers Conferenceレポート

組み込みネット 編集部

 伝送速度を現行の480Mbpsから5Gbpsへ引き上げる次世代USBインターフェース規格「SuperSpeed USB(USB 3.0)」の相互接続性に関するデモンストレーション・システムが初公開された.USBの標準化団体であるUSB Implementers Forum(USB-IF)は,本日(2009年5月20日)からフォーシーズンズホテル椿山荘東京(東京都文京区)にて,「SuperSpeed USB Developers Conference」を開催している.会期は5月20日~21日の2日間.その会場で,異なる企業が開発したプロトタイプのSuperSpeed USBデバイスと同ターゲットを接続してデータ転送を行うシステムが紹介された.

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 例えば米国Fresco Logic社が用意したホストと富士通マイクロエレクトロニクスのターゲット,NECエレクトロニクスが用意したホストと米国LucidPort Technology社のターゲットといった組み合わせのデモンストレーション・システムが示された.後者のデモンストレーションでは,一つのパソコンの中に2枚のPCI Expressボード(ホスト,ターゲット)を接続し,その間をケーブルでつないでハード・ディスク装置のスループットを測定していた(写真1).

   


 

[写真1] NECエレクトロニクスのホスト・アダプタとLucidPort Technology社のUSB 3.0-Serial ATAブリッジ(ターゲット)によるデモンストレーション・システム

 

 

 SuperSpeed USBは2008年11月に仕様が公開された.2009年3月には,プロトタイプを各社が持ち寄って相互接続性のテストを行うSuperSpeed USB Platform Interoperability Lab(PIL)が活動を開始している.PILのテスト業務は,2009年6月まで既に予約でいっぱいになっているという.

 

●Windows 7を使ったデモ・システムで高速伝送をアピール

 本コンファレンスの基調講演では,USB-IF President and ChairmanのJeff Ravencraft氏がSuperSpeed USBの特徴や現状について説明した(写真2).同氏はNECエレクトロニクスやFresco Logic社が開発したSuperSpeed USB対応ボードなどのプロトタイプを紹介し,業界全体が製品化へ向けて着実に前進していることをアピールした(写真3).


[写真2] USB-IF President and ChairmanのJeff Ravencraft氏

 

 

 


(a) Fresco Logic社が開発したSuperSpeed USB対応ボード

(b) Fresco Logic社が開発したSuperSpeed USB対応のExpressCard

(c) NECエレクトロニクスが開発したSuperSpeed USBホスト・コントローラLSI搭載ボード

(d) NECエレクトロニクスが開発したSuperSpeed USB対応のExpressCard
[写真3] SuperSpeed USB対応のプロトタイプ

 

 

 同氏は,SuperSpeed USBが既存のUSB 2.0規格との下位互換性を維持していること,電力管理の機能を新たに追加したことを強調し,そのメリットを説明した.また,データ転送速度は今後も上がり続けるとみて,数十Gbpsのデータ転送にも対応できるように,あらかじめ拡張性を考慮してプロトコルを設計したと述べた.

 さらに同氏は,USB 1.1からUSB 2.0への移行と,USB 2.0からUSB3.0への移行の違いについて説明した.USB 1.1からUSB 2.0へ移行した際には,ホスト・コントローラとターゲット・コントローラは変更されたが,コネクタとケーブルは変わらなかった.つまり,USB 1.1機器用のコネクタとケーブルをそのままUSB 2.0機器でも利用できた.一方,USB 3.0ではコネクタとケーブルも変更された.USB 3.0対応のコネクタとケーブルを利用しないと,USB 3.0の恩恵は受けられない.

 本講演の途中で米国Microsoft社 Principal Program Manager, Windows Device and Storage TechnologiesのFred Bhesania氏が登壇した(写真4).SuperSpeed USBの標準化にMicrosoft社が最初から深く関与していることを説明した.同氏によると,SuperSpeed USBのデバイス・ドライバは,当初はSuperSpeed USB対応の周辺機器に付属するCD-ROMなどで提供され,後にWindow UpdateやService Packを介してユーザに提供されるという.また,同氏は開発中の製品を早期にPILに持ち込んで相互接続性をテストし,機器開発の課題やノウハウを業界で共有しようと会場の開発者に呼びかけた.


[写真4] Microsoft社 Principal Program Manager, Windows Device and Storage TechnologiesのFred Bhesania氏

 

 本講演では,Microsoft社の次期主力OSであるWindows 7とプロトタイプのデバイス・ドライバを利用してパソコン上でデータを転送したときのスループットを測定するデモンストレーションも示された(写真5).SuperSpeed USBの実効速度は200Mバイト/s前後となっていた.USB 2.0 Hi-speedの実効速度は30Mバイト/s程度であり,SuperSpeed USBが十分に高速であることをアピールした.また,これはプロトタイプのソフトウェアを利用した数値であり,今後チューニングが進むことで,さらに高速なデータ転送を実現できるという.USB-IFでは,2010年の早い時期にSuperSpeed USB対応機器が市場に登場すると見ている.


[写真5] Windows 7を利用したスループット測定のデモンストレーション


 

 

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