実証実験を進めるトヨタやホンダの燃料電池車に人だかり ―― FC EXPO 2009

福田 昭

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2009年3月 5日

 燃料電池の技術と製品についての展示会「FC EXPO 2009(第5回国際水素・燃料電池展)」が,2009年2月25~27日に東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された(写真1).出展社数は473.主催のリード エグジビジョン ジャパンによると,3日間の来場者総数は26,240名となった.

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[写真1] FC EXPO 2009の案内パネル

●燃料電池自動車の実物展示に人だかり

 FC EXPO 2009で来場者の注目を集めていたのは,燃料電池を利用した自動車だ.経済産業省が進めている「水素・燃料電池実証プロジェクト」の展示ブースには,燃料電池自動車の実物が展示された.出品したのはトヨタ自動車本田技研工業ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパンである.展示ブースは車両や説明パネルなどを熱心に見つめる来場者でごった返しており,通り抜けるのにひと苦労するほどだった(写真2)

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[写真2] 来場者で大混雑する「水素・燃料電池実証プロジェクト」のブース

 トヨタ自動車は燃料電池ハイブリッド車「FCHV-adv」を展示した(写真3,4).高圧水素を燃料とする燃料電池と,ニッケル水素(NiH)2次電池の2種類の動力源によってモータ(交流同期電動機)を回す.定常走行時は燃料電池を動力源とし,加速時は燃料電池と2次電池の両方を動力源とする.低速走行時は2次電池だけを動力源とし,減速時はモータを発電器とする電力回生を実行して2次電池を充電する.

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[写真3] トヨタ自動車の燃料電池ハイブリッド車 FCHV-adv
ボンネット内に見えているのはパワー・コントロール・ユニット

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[写真4] トヨタ自動車の燃料電池ハイブリッド車 FCHV-adv(後部)

 燃料電池は固体高分子型.燃料は高圧水素(70MPa).航続距離は10・15モードで約830km,最高速度は時速155kmと実用的には十分な値を達成している.車両の外形寸法は全長4735mm×全幅1815mm×全高1685mm,重量は1880kg.乗車定員は5名である.なお,2008年9月から限定リース販売を始めている.

 本田技研工業は,燃料電池ハイブリッド車「FCXクラリティ」を展示した(写真5).高圧水素を燃料とする燃料電池と,リチウムイオン2次電池の2種類の動力源によってモータ(交流同期電動機)を回す.減速時はモータを発電器とする電力回生によって,2次電池を充電する.

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[写真5] 本田技研工業の燃料電池ハイブリッド車 FCXクラリティ

 燃料電池は固体高分子型.燃料は高圧水素(35MPa).航続距離は10・15モードで約620km,最高速度は時速160km(写真6).車両の外形寸法は全長4845mm×全幅1845mm×全高1470mm,重量は1630kg.乗車定員は4名である.なお,2008年11月からリース販売を始めている.

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[写真6] 本田技研工業の燃料電池自動車開発の推移
FCXクラリティでは航続距離が前世代に比べて約30%延びている

 ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパンが展示した燃料電池車は「Chevrolet EQUINOX Fuel Cell」である(写真7).SUV(Sport Utility Vehicle)車「Chevrolet EQUINOX」をベースにした高圧水素(70MPa)を燃料とする燃料電池車で,100台以上が米国内で走行している.展示パネルによると主な仕様は全長4796mm×全幅1814mm×全高1760mm,重量2010kg.最高速度は時速160kmである.

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[写真7] ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパンが展示した燃料電池車Chevrolet EQUINOX Fuel Cell

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