1~2人乗りの電気自動車やキーレス・エントリ向け無線測定器に注目集まる ―― カーエレJapan
リードエグジビジョン ジャパンは,カーエレクトロニクス技術の総合展示会「国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレJapan)」を,2009年1月28日~30日,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催した(写真1).本展示会では,電気自動車やアクティブ・セーフティ,ITS(Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)など,環境への対応や安全機能,情報通信,生産プロセスに関する最新技術のデモンストレーションが行われた.例えば1~2人乗りの電気自動車や,キーレス・エントリなどに対応した無線信号の測定器の展示が注目を集めていた.
[写真1] 会場受付の様子
会場は,「自動車部品・車載システム」,「電子材料」,「電子部品・デバイス」,「製造装置/技術」,「テスティング(試験,解析,検査)」,「組み込みシステム技術」の六つの専門ゾーンに分かれており,「電気自動車展示コーナ」も併設された.
●エコ,小型軽量,安全を追及した電気自動車
会場の一画に設けられた「電気自動車展示コーナ」には,オートイーブィジャパンとイタリアのStar Lab社が共同開発した「ジラソーレ」(写真2,写真3)やゼロスポーツの「ゼロEV エレクシードRS」など,1~2人乗りの電気自動車が展示されていた.三菱自動車や富士重工業は,電気自動車を2009年内に発売する計画を発表し,米国General Mortors社は2010年にプラグイン・ハイブリッド車である「シボレー・ボルト」の商用化を予定している.
[写真2] オートイーブィジャパンがイタリアのStar Lab社と共同開発した電気自動車「ジラソーレ」
ジラソーレとは,イタリア語でひまわりのこと.
[写真3] ジラソーレの運転席の様子
展示コーナでは,リチウムイオン2次電池を電源にした「ジラソーレ」が注目を集めていた.ボディ・カラーはイタリアン・レッドやブラック,イエローなどの6色.最高速度は65km/hで,電池の充電は家電製品と同じ電源プラグを使用する.この電池は,5~6時間の充電に対して120km走行できる(電気代は120円程度).
また,馬の蹄の音などを発する専用の音声出力装置をオプションで提供している.価格は264.6万円.
●キーレス・エントリやタイヤ空気圧監視の無線信号を計測
アンリツは,車載ワイヤレス機器の無線信号を測定するための信号測定器「MS269xAシリーズ」を展示した(写真4).本測定器は,遠隔キーレス・エントリやタイヤ空気圧監視システムなどの実信号を取り込み,波形パターンに変換し,内蔵のベクトル信号発生器から再生・出力する.波形パターンに変換した信号は,何度でも繰り返し再生できる.出力レベルや周波数を任意に変更できるため,DUT(Device Under Test;被測定デバイス)の受信特性検証や不具合の原因究明などに利用できる.
[写真4] アンリツの「MS269xAシリーズ」
また,オプションのHDDディジタイジング・インターフェースを追加することにより,最大20MHz帯域のRF信号を,最長4時間取り込める.こうした技術を組み合わせることにより,自動車同士,あるいは自動車と道路の通信に利用されるDSRC(Dedicated Short Range Communication;専用狭域通信)やIEEE 802.11pなどのフィールドにおける信号特性の時間変動を計測できる.
●生産管理のトレーサビリティ・マーキングに利用できる刻印機
東京彫刻工業は,シングル・ピンの振動により文字を形成する刻印機「MC2000シリーズ」の展示を行った(写真5).本刻印機は,生産管理に欠かせない管理番号や製造年月などの情報を記録するトレーサビリティ・マーキングの用途で利用できる.また,硬度がHRC62までの熱処理材へ打刻できる.さらに,専用キーボードやパソコン,PLC(Programmable Logic Controller)からの遠隔操作により,文字サイズや打刻テキストなどを指定できる.加えて,2次元バーコードの刻印にも対応する.
[写真5] 東京彫刻工業の「MC2000シリーズ」
本刻印機の専用の制御装置である「T2」はベクトル座標方式を採用しており,滑らかな曲線を描画できる.入力インターフェースとして回転ダイアルを備える.
●ISO 9141-2やJ1850,CANに対応した診断装置
スナップオン・ツールズは,外部故障診断装置(ダイアグノスティク・モニタ)「Scanner MTG3000」を展示した(写真6).本テスタは,ダイアグ・コードの表示・消去やデータのモニタリングを行う機器である.7インチ型のカラー液晶ディスプレイを搭載し,USBポートの使用によりパソコンなどの外部機器と通信できる.また,ISO 9141-2やJ1850,CANなどの標準プロトコルに対応したインターフェース・ボードを内蔵している.
診断ソフトウェアや保存データは,CompactFlashカード(256Mバイト)に記録される.マルチタスクOSを採用しており,外部の計測データとECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)のデータを同時に計測できる.オプションとして,排気ガス測定器やオシロスコープも用意する.
[写真6] スナップオン・ツールズの「Scanner MTG3000」
●約4秒間でアルコール濃度を測定
東海電子は,簡単に呼気中のアルコール濃度を測定するシステム「ALC-miniII」などを展示した(写真7).端末装置に約4秒間息を吹き込むことで測定が行える.測定精度は0.001mg/l単位となっており,運送事業におけるアルコール濃度測定に求められる基準を満たしているという.測定結果は,本体表示パネルに表示したあと,約2.5秒でプリントアウトさる.測定結果が表示されるだけのアルコール検知器と異なり,測定結果を記録紙に残せる.
[写真7] 東海電子の「ALC-miniII」
[写真8] 東海電子の「アルコール・インターロック装置」
同社のブースでは,「アルコール・インターロック装置」も展示されていた(写真8).こちらは,エンジンをかける際に,ドライバの呼気中のアルコール濃度を測定し,規定値を超えた場合にエンジンを始動できなくするという装置である.燃料電池センサを使用しており,アルコールだけに反応するという.また,運転中の行動はすべて記録され,記録されたデータの保存・印刷も行える.
●手の届かない空間の検査に使えるカメラ
日本エマソンは,ビデオ出力端子付きの工業用検査カメラ「シースネイク マイクロハンディ スコープII」を展示した(写真9).発電所や工場調査,供給管内調査,建物診断などに利用できる.耐圧防水機能(10気圧)を備えているので,水中調査や井戸調査,タンク内調査にも適用できる.カメラヘッド・ケーブルはφ9.5mm,φ17mmの2種類.外部機器へ映像を出力するためのビデオ出力端子を備える.重量は500g.2.5インチ型の液晶カラー・ディスプレイと一体化したピストル・グリップ形状を採用している.
インターロック・タイプのケーブルとカメラ・ヘッド部は水深3mの耐水性がある.光源には高輝度白色LEDライトを利用する.近接での作業に便利な光量調節ダイヤル機能が付いている.オプションとして提供されている最長9mの延長ケーブルを付けられる.
[写真9] 日本エマソンの「シースネイク マイクロハンディ スコープII」
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