カメラ,レンズからシステムまで,高解像度対応の新機種が続々 ―― '08国際画像機器展レポート

北村 俊之

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2008年12月16日

 2008年12月3日~5日,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて,画像処理やマシン・ビジョンに関する技術展示会「'08国際画像機器展」が開催された(写真1).高解像度に対応したカメラやシステム,解像力の高いレンズなどが展示されていた.主催は日本画像・計測機器協議会.

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[写真1] '08国際画像機器展の会場受付のようす

 本展示会は今回で30回目を迎える.また,「立体Expo'08」,「先端光テクノロジー展2008」,「2008国際画像セミナー」,「三次元工学シンポジウム」,「ViEW2008 ビジョン技術の実利用ワークショップ」などが同時開催された.

●200万画素CCDを3個使用したカラー・カメラを展示

 ジェイエイアイコーポレーションは,1/1.8型200万画素プログレッシブ・スキャンCCDをRGBそれぞれに各1個使用したカラー・カメラ「AT-200CL」を展示した(写真2).本カラー・カメラのフレーム・レートは22フレーム/s.部分読み出し機能,垂直ビニング機能などを備える.映像出力は,切り替え可能なRGB各8/10/12ビットのディジタル信号を,CameraLinkインターフェースで出力する.レンズ・マウントはCマウント.外形サイズは55mm×55mm×80mm.

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[写真2] ジェイエイアイコーポレーションの「AT-200CL」

●産業用レンズ,500万画素以上のカメラに対応

 興和は,汎用性に優れたCマウント産業用レンズ「PROMINAR LMシリーズ」を展示した(写真3).本レンズは,500万画素以上のカメラに対応している.従来のVGAクラスのレンズの解像力が画像周辺部で40~60本/mmであるのに対し,本レンズの解像力は80~100本/mm.レンズ構成を最適化して,ディストーション(レンズのゆがみ)を低減した.2008年12月から評価用デモ機を用意し,2009年2月から順次発売する予定.

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[写真3] 興和の「PROMINAR LMシリーズ」

●フルHD対応の3CCDカメラを展示

 東芝は,フルHD(ハイビジョン)対応の3CCDカメラ「IK-HD1H(カメラ・ヘッド)」,「IK-HD1C(カメラ・コントロール・ユニット)」を展示した(写真4).カメラ・ヘッドには1/3型112万画素の1080i対応HD CCDを3個搭載している.レンズ・マウントはCマウント.外形寸法は32.6mm×38.6mm×41.0mm.重量は約65g.

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[写真4] 東芝の「IK-HD1H」と「IK-HD1C」

 カメラ・コントロール・ユニットのS/Nは56dB.映像出力はディジタルHD-SDIとアナログY/Pb/Prの2系統で,同時に1920ピクセル×1080ピクセルの出力が可能.測光エリア指定,6色マトリックス機能など,最適な画像を得るための機能を装備している.操作性も考慮されている.メニューで設定した内容を5パターンまで記憶でき,フロント・パネルのFILEボタンから呼び出すことができる.

●靴の釘を検査できるX線検査装置

 イメージテックは,インラインX線検査装置「ITXシリーズ」を展示した(写真5).本装置は,X線を移動する物体に照射して,0.4mmごとに配置された1280個のセンサ(500型ライン・センサ)で物質の透過力に応じた信号を受信し,1ラインごとの情報を集積して1枚の画像を作成する.作成したX線画像は,画像処理ソフトウェア「X-Image」を使って,より判別しやすい画像に変換できる.本ソフトウェアは,輝度変換を行うための入出力対応テーブル(LUT)を有しており,入力輝度信号を直感的に分かりやすい最適出力輝度に変換できる.また,経験的に得られた最適処理条件を,接続したパソコン内に最大30件まで登録しておける.

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[写真5] イメージテックの「ITXシリーズ」

靴のかかと部分の釘の状態を検査するデモンストレーションを行った.

●PCI Express対応画像入力ボードを展示

 アバールデータは,CameraLink規格のMedium/Full Configurationインターフェースに対応した画像入力ボード「APX-3313」を展示した(写真6).システム・バスはPCI Express(4レーン).サンプリング・クロック周波数は85MHzで,8ビット×8ビットの画像入力が可能.ローカル・バスとPCI Expressバスの接続には,自社開発のブリッジLSI「AAE-B04」を利用している.

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[写真6] アバールデータの「APX-3313」

●デジカメ感覚で赤外線サーモグラフィ画像を撮影

 NEC Avio赤外線テクノロジーは,赤外線サーモグラフィ装置「Thermo Shot F30シリーズ」を展示した(写真7).本装置はデジカメのような外観を持ち,重量は約300g,単三型ニッケル水素(NiH)2次電池を採用している.焦点距離が1.3m以上であればピント合わせが不要な機能(フォーカス・フリー)や,可視カメラ(70万画素のCCDカメラ)機能,可視画像上の任意のポイントで温度を表示できる機能(メジャー・オン・ピクチャ)などを備える.操作もアイコン表示で直感的に行えるようにし,初心者でも簡単に扱えるという.画像データ(温度データ付きJPEG)はSDカードに保存でき,パソコンでの閲覧や編集,オプション・ソフトウェアによる温度のデータ解析などが可能.

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[写真7] NEC Avio赤外線テクノロジーの「Thermo Shot F30シリーズ」

●装置に組み込める画像認識ユニットを展示

 ルネサス北日本セミコンダクタは,外形寸法が130mm×130mm×40mmの小型画像認識ユニット「NVP-Ax135P」を展示した(写真8).本ユニットの処理速度は0.2ms(256ピクセル×240ピクセルの領域の画像間算術演算の場合).インターフェースとして,Ethernet(100BASE-TX),RS-232-C(2チャネル),パラレル・インターフェース(入力16チャネル,出力16チャネル,ストロボ出力2チャネル),USBホスト(2チャネル),モニタ出力(1024ピクセル×768ピクセル),CompactFlashなどを備える.システム性能を効率良く引き出せるように画像処理ライブラリを持っており,C言語でプログラミングできる.OSはμITRON仕様OS(ルネサス テクノロジ製HIシリーズ)を搭載しており,リアルタイム・マルチタスク・アプリケーション・ソフトウェアを容易に作成できるという.

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[写真8] ルネサス北日本セミコンダクタの「NVP-Ax135P」

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