マイクロ波によって距離や移動速度を検出する技術に注目が集まる ―― 2008 Microwave Workshops & Exhibition(MWE 2008)
●無線通信装置の開発に利用する信号処理装置を展示
光電製作所は,無線通信装置の開発に利用する信号処理装置「E-1072」を展示した(写真4).本装置は,複数アンテナによる送受信に対応するため,複数のA-Dコンバータと複数のFPGAを搭載したA-D変換ボード,複数のD-Aコンバータと複数のFPGAを搭載したD-A変換ボード,複数のDSPを搭載したDSPボード,アップ・コンバータ・ボード,ダウン・コンバータ・ボード,これらに基準となるクロックを提供するクロック・ボード,これらボードの制御などを行うCPUボードで構成される.
展示会場では,MIMO(Multiple Input Multiple Output)の物理層の通信環境(伝達関数)を再現して見せた.携帯電話を作っているメーカが本装置を利用することで,常に同じ通信環境を再現し,その環境下での通信テストを行うことが可能.すなわち携帯電話メーカは,MIMOにおける効率の良い通信アルゴリズムの開発に利用できる.
[写真4] 無線通信装置の開発に利用できる信号処理装置「E-1072」の外観
●周波数分解能が0.001Hzと高い産業用機器向け信号源を紹介
ディエステクノロジーは,産業用機器への組み込みを想定した高周波信号源「DPL-3.2G」を展示した(写真5).正弦波出力で周波数範囲は5MHz~3200MHz,周波数分解能は0.001Hz.ALC(Auto Level Control)を搭載し,出力レベル範囲は-40dBm~+14dBm.価格は199,500円.
±2.5ppmのTCXO(温度補償水晶発振器)モジュールを搭載することで,周波数分解能を高くしている.一つのシステムにおいて複数のクロックを使っている場合,このクロック同士のちょっとしたタイミングのずれがシステムの動作を不安定にすることがある.そこで,例えば10000000MHzの水晶発振器の代わりに本装置から10000000.1HZのクロックを供給することで,システムの不安定状態を再現できるとする.
本信号源はパソコンからRS-232-Cによって制御できる.オプションの制御ボード「FIX-3.2G」を利用すれば,パソコンがなくても周波数や振幅の設定,周波数や出力レベルの記憶,CMOS,PECL,LVDSバスへの信号出力が可能.
[写真5] 産業用機器への組み込みを想定した高周波信号源「DPL-3.2G」の外観
上側はオプションの制御ボード「FIX-3.2G」.