システム技術者のための測定ワンポイント・テクニック(4) ―― アンテナの伝送特性を測る

津野 徹

tag: 組み込み 電子回路

技術解説 2008年12月23日

 今回はアンテナの伝送特性を,机上で簡易的に測定する方法について紹介します.(編集部)

 アンテナの伝送特性を測る際には,電波暗室やオープン・サイトなどといった大型設備が必要です.ここでは,簡単に実験ベンチで測定する方法を紹介します.こういった測定の主目的は,アンテナが目標とした周波数に同調しているかどうかを調べることです.それが分かれば試作初期の目的は達成されます.

● 測定の準備

 用意するものは以下の通りです.

(1)トラッキング・ジェネレータ付きのスペクトラム・アナライザ

 筆者は米国Agilent Technologies社の「E4408B」を使用しています(写真1).トラッキング・ジェネレータ機能はオプションで追加しました.これで9k~3GHzといった周波数帯域における伝送特性を測定できます.

ph01_01.jpg
写真1 トラッキング・ジェネレータ付きのスペクトラム・アナライザ
米国Agilent Technologies社製「E4408B」.

(2)方向性結合器

 反射電力が測定するために欠かせません.写真2の上側の端子(3番端子)には,入力端の反射電力が出てきます.つまり,S11を測定できます.これでアンテナのインピーダンス特性を測定します.

ph02_01.jpg
写真2 方向性結合器

(3)被測定アンテナを二つ用意します.

 同じ特性のアンテナを二つ用意して,このアンテナ間の伝送特性を測定します.

● まずはインピーダンス特性を測る

 始めにインピーダンス特性を測定します.これは,パッチ・アンテナが希望の周波数に同調しているかと,どのくらい50Ωに整合しているのかを測定するものです.周波数がずれている場合には,パターン・カットや修正用銅はくテープなどで調節し,目的の同調周波数に合わせ込みます.
 2.5GHzパッチ・アンテナに対して,同調周波数を修正した例を写真3に示します.はんだが盛ってある個所が,銅はくテープで修正したところです.写真4にアンテナのインピーダンス特性(S11)を測定している様子を示します.

ph03_01.jpg
写真3 2.5GHzパッチ・アンテナの同調周波数を修正した例

ph04_01.jpg
写真4 アンテナのインピーダンス特性(S11)測定例

 図1に反射電力の測定結果を示します.2.449GHzにおいて,基準レベルから-20dBmの減衰特性を示しています.これはVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が1.2となり,同軸コネクタのスペックと同じ99%以上の電力が送受信できる,素晴らしい特性であることが分かります.

zu01_01.gif
図1 インピーダンスの測定結果
2.449GHzにおいて基準レベルから-20dBmの減衰特性を示している.

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