システム技術者のための測定ワンポイント・テクニック(4) ―― アンテナの伝送特性を測る

津野 徹

tag: 組み込み 電子回路

技術解説 2008年12月23日

● 被測定アンテナを2本用意して伝送特性を測る

 次に伝送特性を測定します.これはどのくらいの感度で電波が送受信できるかをチェックするものです.また,選択特性注1や妨害電波除去特性注2,不要ふく射電力注3などが調べられます.

注1;選択特性は,隣のバンドとの混信を避けるために必要(送受信時).
注2;妨害電波除去特性は,不要な電波を受信しないようにするため必要(受信時).
注3;不要ふく射電力測定は,送信波形がひずんでいるときの不要高調波を減衰させるために必要(送信時).

 二つのアンテナを写真5のように,トラッキング・ジェネレータとスペクトラム・アナライザの入力端子にセットアップします.図2に伝送特性の測定結果を示します.2.37GHzに同調点が観測されます.

ph05_01.jpg
写真5 アンテナの伝送特性(S21)測定例

zu02_01.gif
図2 伝送特性の測定結果
電波暗室がなくても,机上でおおよその特性を確認できる.

 アンテナの損失と空間伝送時の損失があるため,0dBm入力に対して-8.268dBmのピークが観測されています.ちなみにアンテナは受動素子なので,利得はマイナスになります.さらに,2.1GHz以下と2.55GHz以上は,20dB以上の減衰特性を示していますから,中心周波数に対して1%(-40dB)以下の影響しかありません.パワーの加算は,

shiki01_01.gif

で表されるように,2乗平均となります.基本波から-20dB減衰した信号は2乗平均すると基本波に対して-40dBしか影響しません.そのほかにパルスの立ち上がリ特性も2乗平均となります.

shiki02_01.gif

*     *     *

 本格的な測定は電波暗室などで行います.この設備の導入には,10億円単位のお金が掛かりますので,通常はレンタルします.ところがレンタルでも20万円~50万円/日もの費用が掛かります.そこで,今回のような簡易実験で基本性能を確認して,最終測定のみ電波暗室などを利用します.

つの・とおる
横河電機(株)

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