システム技術者のための測定ワンポイント・テクニック(3) ―― テスタによる簡易インピーダンス測定法
通常1,000万円以上かかるシステムで測定する分布定数回路のインピーダンスを,10万円以下のディジタル・テスタを用いて測定する.(編集部)
写真1のような抵抗,コンデンサ,コイルのインピーダンスは,簡単に測定できると思います.ところが,写真2のようなプリント基板や写真3のような同軸ケーブルのインピーダンスを測ろうとすると,簡単にはいきません.これらはいくつもの集中定数が集まった等価回路で表されるため,分布定数回路と呼ばれています.集中定数が分布しているからです.
図1に分布定数回路の等価回路を示します.これら分布定数回路の測定には,1,000万円以上のシステムで構成されたTDR(Time Domain Reflectometry)測定法注1を使用するのが一般的です.本来,1,000万円もかかる測定を,10万円以下のディジタル・テスタで済ませてしまおうというのが今回の狙いです.まゆにつばを付けながら,読み進めてください.
● 同軸ケーブルのインピーダンスとは?
初めに同軸ケーブルのインピーダンスについて考えてみます.図2(a)に同軸ケーブルのインピーダンスを求める式を,図2(b)に同軸ケーブルの静電容量を求める式を示します.
共通するパラメータは,内部導体の外径dと,外部導体の内径D,絶縁体の比誘電率εである.
これらの式に共通するパラメータは,内部導体の外径dと,外部導体の内径D,絶縁体の比誘電率εです.
図2(b)中に示した数式から,同じインピーダンスの同軸ケーブルの静電容量は,直径3mm(1.5DQEW)の同軸ケーブルでも,直径10mm(10D2V)の同軸ケーブルでも,太さに関係なく同じなのです.50Ω同軸ケーブルの静電容量は,1mあたり100pFです.
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