液晶パネルと太陽電池,二つのシリコン・パネルを組み合わせたシステムをシャープが展示 ―― FPD International 2008

北村 俊之

tag: 電子回路

レポート 2008年11月 4日

 日経BPは2008年10月29日~31日,フラット・パネル・ディスプレイに関する国際展示会「FPD International 2008」をパシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催した(写真1).テーマは「ディスプレイから始まるライフスタイル革命~アンビエント&グリーン」である.日本,韓国,台湾,欧米などの世界各国から液晶ディスプレイやプラズマ・ディスプレイ,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ,電子ペーパなどの最新デバイス,その応用製品,製造装置,部品,材料などを集め,一堂に展示した.

p1.jpg
[写真1] 会場受付の様子
パシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された.

 ディスプレイ産業は,ノート・パソコン,モニタ,携帯電話,テレビの4本柱を合わせて,既に10兆円超の規模にまで成長している.今後,大型ディスプレイのディジタル・サイネージ(電子看板)などへの採用,中・小型ディスプレイのタッチパネル化や高画質化など,さらなる応用範囲の拡大,および市場の拡大が期待されている.また,フラット・パネル・ディスプレイの製造技術は,照明や太陽光発電など,ほかの電子デバイス分野の成長にも大きく貢献しているという.

●液晶パネルを太陽電池で駆動

 会場の一角には,メイン・シアタや主催者企画の展示コーナが設けられた.「家・街を変えるグリーン・デバイス」のコーナでは,アンビエント(生活に溶け込む)&グリーン(環境保護を考慮する)の事例として,65型の液晶パネルの駆動電力を太陽電池でまかなうシステムを,シャープが参考出展していた(写真2).太陽電池も液晶パネルも,ともにSi(シリコン)材料を使用して成膜していることから,将来的にはこれらが一体化する可能性も期待されているという.

p2.jpg
[写真2] シャープの太陽電池で駆動する液晶パネル

●大型液晶テレビ向けインターフェース技術をデモ

 NECエレクトロニクスは,大型液晶テレビ向けに開発したインターフェース技術「Advanced PPmL」のデモンストレーションを行った(写真3)

p3.jpg
[写真3] NECエレクトロニクスの「Advanced PPmL」のデモンストレーション

 本技術は,液晶テレビに映像信号を遅延なく送るタイミング・コントローラICと,LCDを駆動するLCDドライバICをPoint to Point接続(1対1接続)するインターフェース技術「Point-to-Point mini-LVDS(PPmL)」を発展させた技術である.PPmLの技術に加えて,映像データとクロック信号を分離するためのクロック/データ・リカバリ回路をインターフェースに組み込んだ(データの送受信時にクロック信号を重畳するクロック・エンベデッド技術を採用).映像データとクロック信号を1本の配線によって伝送できるので,従来のPPmL方式と比べて配線数を1/2以下に削減できる.

●製造ラインで使用可能な高感度カメラを展示

 浜松ホトニクスは,TDI(Time Delay Integration)カメラ「C10000-301/-401」を展示した(写真4).本製品は,水平画素数が2048または1024の高解像度とTDI方式(一定速度で移動する対象物に対して撮像を行う,CCDの特殊な読み出し方式)による高速,高感度を両立したカメラである.製造ラインにおける検査などに利用可能.従来のライン・センサ・カメラと比較して,低照度で撮像できる.

p4.jpg
[写真4] 浜松ホトニクスの「C10000-301/-401」

●数秒で測定結果が得られる光源配光測定システムを展示

 サイバネットシステムは,米国Radiant Imaging社の光源配光測定システム「IS-LI(Imaging Sphere - Luminous Intensity) TE」を展示した(写真5).LEDなどの小さな光源のファーフィールド測定を行える.光源の配光分布や色度分布の測定は,ゴニオメータなどの装置で行うことも可能だが,必要とする角度ピッチの影響により,測定に十数分かかる.本製品を使えば,数秒で高解像度の測定データが得られるという.

p5.jpg
[写真5] 米国Radiant Imaging社の「IS-LI TE」

●百万分の1のコントラスト分光測定が可能

 コニカミノルタセンシングは,1,000,000:1のコントラスト分光測定が可能な,ポリクロメータ方式の分光放射輝度計「CS-2000A」を展示した(写真6).ハイビジョン放送の普及に伴い,黒をより黒く表示するための技術や,液晶,プラズマ,有機ELなどの各種ディスプレイの開発が進んでいる.これらを開発するためには,分光による精度の高い分析が必要となる.本製品は,0.0005cd/m2の低輝度まで正確に輝度や色度を測定できる.

p6.jpg
[写真6] コニカミノルタセンシングの「CS-2000A」

 付属するデータ管理ソフトウェア「CS-S10w Professional」には,暗所視における標準分光視感効率を組み込んでおり,暗所視に対応した高精度測定が可能.また,反射型回折格子を利用した場合に発生する偏光誤差を2%(測定角1°)まで低減しており,偏光を利用した液晶ディスプレイなどをより安定して測定できる.色度測定についても,測定波長全域にわたり,測色で必要とされる5nm以下の半値幅を確保している.

●輝度や色度を2次元で測定

 東陽テクニカは,デンマークDELTA社の2次元高速色彩輝度計「ICAM」を展示した(写真7).本製品は,ディスプレイの開発・製造過程において重要なパラメータとされる輝度や色度を2次元で測定できる.また,ビデオ・ジェネレータと組み合わせることで,ディスプレイの動画応答評価やMPRT(動画応答速度)の測定も可能.DELTA社製の金属薄膜フィルタは,高精度,高安定度,高透過度という特徴を持っており,標準のフィルタで0.005cd/㎡の低輝度まで測定できる.オプションのフィルタを用いることで,さらに低い輝度測定も可能だという.

p7.jpg
[写真7] デンマークDELTA社の「ICAM」

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日