携帯電話プラットホームは技術者を幸せにしたのか?(2) ―― プラットホーム統一への道

吉田 昌平

tag: 組み込み

コラム 2008年8月26日

●携帯電話が2Gから3Gへ

 さらに,第3世代(3G:3rd Generation)端末の開発が始まった.当初は第2世代の延長として,ITRON+既存ハードウェアで開発していたが,既に能力的,容量的な限界を迎えていたこともあり,新しいハードウェアとOSを採用するための検討も始まった.

 ハードウェアは,2チップ構成が主体であることは変わらなかったが,アプリケーション側のチップには,Texas Instruments社の「OMAP」などのように,メモリの容量がより大きいものや,USB接続,大型液晶ディスプレイ,マルチメディア機能を実現するためのDSP(digital signal processor)などを標準機能として搭載しているチップセットが採用されるようになり,次第にシェアを伸ばしていた.OSについても,アプリケーション側のチップのOSとしては,SymbianやLinuxなど,携帯電話向けの機能が標準的に搭載されたものが採用された.

 高級OS+高機能チップの1号機をリリース後,しばらくするとキャリア(携帯電話のサービス会社)が開発プラットホームの提供を始めた.それぞれのキャリアが,ハードウェア(プロセッサ)とOSを組み合わせて「携帯電話向けのプラットホーム」として提供した.ここで,ITRONは主役から脇役に替わった.そして,プラットホームに採用されているOSが大きく市場シェアを獲得していった.

 とはいえ,まだこのころは新しいプラットホームへの新機能の組み込み作業が多く,またプラットホームの開発も端末メーカ単位で行っていたので,人海戦術による開発は変わっていない.ただし,各機能(TCP/IPやカメラなど)の専門の技術を持つ技術者が参加し始めてきたころでもあり,携帯電話全体の機能や実装を把握できる技術者は少なくなっていった.それは,端末メーカの共通の問題点となり,その解決策の検討が始まる.その一つの答えとなったのが,「同一OS,同一プラットホーム上での共同開発」という流れである.

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