ZigBee Allianceが公開イベントを日本で初開催 ―― ZigBee Alliance Open House
2008年2月28日,ホテルラフォーレ東京(東京都品川区)にて,ZigBeeに関する公開セミナと展示会「ZigBee Alliance Open House」が開催された(写真1).主催はZigBee通信の普及推進組織であるZigBee Alliance.同団体がこのような公開イベントを日本国内で実施するのは今回が初めて.約750人が本イベントに参加した.
[写真1] ZigBee Alliance Open Houseにおける展示会の様子
ホテルラフォーレ東京(東京都品川区)にて開催された.
●センサ・ネットワークの利用場面をアピール
ZigBee AllianceのChairmanであるBob Heile氏は,ZigBeeが家庭内の機器制御やビルの管理自動化,エネルギの管理など,多岐にわたる分野に適用可能なことを紹介した.また,複数のベンダがZigBee規格に対応する製品を提供していることをアピールし,日本企業のZigBee Allianceへの参加を呼びかけた(写真2).
[写真2] 講演するZigBee Alliance ChairmanのBob Heile氏
総務省 総合通信基盤局 電波部移動通信課 課長の渡辺 克也氏は,総務省が進めている「u-Japan政策」などについて講演した(写真3).同政策は,2010年をめどにユビキタス・ネットワーク環境を整備することを目指しており,この政策推進に伴って,RFID(Radio Frequency Identification)などの電子タグやZigBeeなどのセンサ・ネットワークの普及が期待されると語った.また,総務省が950MHz帯におけるアクティブ系小電力無線システムの利用を許可する方向で検討を進めていることに言及した.アクティブ・タグ・システムの利用場面としては,児童の登下校を見守るシステムなどの例を挙げた.
[写真3] 講演する総務省 総合通信基盤局 電波部移動通信課 課長の渡辺 克也氏
●モジュールは小型化・低価格化の方向へ
NECエンジニアリングは,外形寸法が27.8mm×16.2mm×3.9mmの2.4GHz無線通信モジュール「TY24FM-E2024-01」を展示した(写真4).パターン・アンテナを採用している.同社が既に発売している無線通信モジュール「ZB24FM-E2022-01」に比べて機能を限定したことで,体積を約1/3に抑えたという.ZB24FM-E2022-01と本モジュールの間で通信可能.
[写真4] NECエンジニアリングの2.4GHz無線通信モジュール
右が新製品である「TY24FM-E2024-01」,左が従来製品「ZB24FM-E2022-01」.TY24FM-E2024-01は既に販売を開始している(モジュール単体での販売).開発キットについては,2008年3~4月ごろに販売を開始する予定.
沖電気工業は,高密度実装技術を用いた小型のZigBeeモジュールを展示した(写真5).本モジュール(同社の第3世代モジュール)は,同社の従来のモジュール(同社の第2世代モジュール)と比べて大きさを約1/2に抑えたという(ただし,外部アンテナを付けた別基板と組み合わせる必要がある).
[写真5] 沖電気工業のZigBeeモジュール
左から順に,第1世代のZigBeeモジュール,第2世代のZigBeeモジュール,第3世代のZigBeeモジュールと外部アンテナ基板を組み合わせたもの,第3世代のZigBeeモジュール.
●ZigBeeによるデモンストレーションを実施
KDDI研究所は,ZigBeeモジュールと携帯電話を連携させたシステムのデモンストレーションを行った(写真6).このシステムは,個人の健康に関するデータを,ZigBeeモジュール経由で定期的に携帯電話に送信するというものである.同社が開発した輻輳(ふくそう)回避技術により,ZigBee通信が混雑している状況においても携帯電話が周囲の無線利用状況をスキャンして無線チャネルを選択するため,データ送受信の失敗や通信遅延が起こりにくいという.
[写真6] 携帯電話と連携させたデモンストレーション
デモンストレーションでは沖電気工業のZigBee装置をそのまま使用しているが,実際の使用イメージとしては,ZigBee装置部分がもっと小型になることを想定している.
OTSLは,電源を入れるだけでZigBeeネットワークを構築できる無線通信ボード「ZigBuil card」を展示した(写真7).複雑な設定を行うための機能は省き,簡単な操作のみでZigBeeネットワークの構築を試してみることができるという.同ボードの外形寸法は80mm×50mm×10mm.
[写真7] ZigBuil cardを使ったデモンストレーション
一つのボード(ZigBuil card)をスイッチとして利用し,二つのボードを左右のドア・ミラーにそれぞれ接続して制御していた.