人間の生活をじゃましない公道自律走行ロボットを開発へ ―― Real World Robot Challenge

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2007年12月25日

 2007年11月16日~17日,つくば国際会議場(茨城県つくば市)にて,公道を自律走行するロボット開発の試み「Real World Robot Challenge(愛称:つくばチャレンジ)」が実施された(写真1).これは,人々が生活している実環境の中で,ロボットが確実に自律的に動き回って働くための技術を追求することを目的としている.このような試みは,国内では珍しい.また,本チャレンジに用いた技術はできる限り公開して,社会の共有技術とすることを目指している.主催はニューテクノロジー振興財団

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[写真1] つくばチャレンジの様子
参加チーム・メンバや観客らが,ひな鳥を見守る親のようにロボットに付き添っていた.

 2007年度の課題は,つくば市内の約1kmの遊歩道(つくば市の国際会議場裏手~松ぼっくり公園)を自律的に走行し,ゴール地点で停止することである.実環境における自律走行を追究するため,環境内に動作ガイドとなるものを配置したり移動したりしてはならない.天候や路面の状況(水たまりや落ち葉など)も,本チャレンジ実施当日の天候条件に任せることとする.

 そのほか,その環境内にいる人間の行動を邪魔したり,恐怖や不快感を感じさせたり,危害を加えたりしてはならない.環境内に存在する物を傷つけたり,その働きを妨害したりしてもいけない.ただし今回は第1回目の試みということで,明らかな障害物は運営側でコースから取り除いたり,通行人や自転車などにはロボットをよけてもらうように協力を求めるなど,環境が過酷になりすぎないように配慮されている.

●「せめて予選だけでも」工夫あれこれ

 1日目は,遊歩道のうち直線コースの100mを走行する「トライアル走行」が行われた.トライアル走行で完走したチームだけが,2日目の1kmの本走行に挑戦できる.トライアル走行には31チームが参加し,11チームが完走した.

 多くのロボットは,GPS(Global Positioning System)で現在位置を把握し,赤外線センサで障害物や路肩を検知することにより,自律走行を実現していたようだ.ただし,コースの両脇に植えられている街路樹の葉や枝がGPS信号を遮っている場所もあり,各チームの工夫が試されていた.中には,「トライアル走行だけでも完走しよう」と考え,方位磁石で進行方向を設定して直線コースを完走したチームもあった.また,後退機能を組み込んでおらず,路肩に接触したまま動けなくなったロボットもあった(写真2)

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[写真2] 路肩で動けなくなったロボット
路肩回避機能を組み込んでいたはずなのだが....

 2日目の本走行では,「筑波大学知能ロボット研究室 屋外組」,「筑波大学知能ロボット研究室 つくろぼ」,「金沢工業大学」の3チームが1kmのコースを完走した.本走行のコースは石畳や段差,カーブなどを含んでおり,トライアル走行より難易度が高くなっている.チーム「日本SGI」は,2輪の電動移動体「Segway PT」と同じ部品を使用した走行ロボット開発環境「Segway RMP」を用いて開発したロボットで参戦した.試走会では何度か完走できていたそうだが,本走行では惜しくも220mの地点でリタイヤとなった(写真3)

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[写真3] 走行ロボット開発環境「Segway RMP」を用いて開発したロボット
このロボットは,あらかじめ走行コースの情報を収集してマップを作成し,それを参照しながら走行する.

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