人工呼吸器に見るセーフティ・クリティカル・システム設計 ――2重3重のバックアップで生命を守る

柳川誠介

tag: 組み込み

技術解説 2007年1月25日

 図4に,(強制呼吸に伴う)圧力の上昇が約25秒ないとブザーが間欠的に鳴るようにした回路を示します.圧力センサとしては,圧力が上がるとふくらむバルーンに突起物を付けておき,その突起物をフォト・インタラプタで検出する仕組みを用意しました.これなら無調整で長寿命です.複数の機種に用いて良好に動作しましたが,今,あえて見直すとすれば,CRの発振回路に高インピーダンスの部分があるため,結露などで基板の絶縁が低下したときに動作しなくなる不安があります.同等の機能を小型マイコンで実行すれば部品点数もさらに減り,より好ましいと思います.

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図4 停電検出を兼ねたアラーム発生回路
圧力の上昇が約25秒ないと,ブザーが間欠的に鳴る.

 アラーム回路の設計において,後から気づいた重大な点がありました.それは,何が起こったのかを明確に表示しなければならないことです.具体的には,現場から報告があったとき電話1本で状況が把握でき,的確に指示できるようにしなければなりません.例えば,LEDランプやブザーを間欠的に動作させ,その周期でアラームの種類を区別するような方法を採ったとしましょう,しかし,一刻を争うような現場では,このような開発者にしか分からないような識別法は全く役に立ちません.電話ではせいぜい「ピーピー鳴ってます」くらいの情報しか来ないので,何のアラームかさっぱり分かりません.(簡素さと堅牢さは両立しにくいのだが)何が起きているか分からないアラームは,出しても無意味です.どんな機器でもそうですが,使う人の身になって設計しなければなりません.

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