動画色空間の新規格「xvYCC」に対応した液晶テレビなどに人だかり ――CEATEC JAPAN 2006

組み込みネット編集部

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レポート 2006年10月19日

 2006年10月3日~7日,幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)にて,通信,情報,映像技術に関する展示会「CEATEC JAPAN 2006」が開催された(写真1).デジタル放送や高精細(HD)映像に対応したテレビ受像機の展示に来場者の注目が集まった(写真2).例えば,ソニーは2006年1月に標準化された動画色空間の規格「xvYCC」に対応した液晶テレビ「ブラビアX2500シリーズ」を展示した.このほか,UWB(ultra wideband)用高周波部品や車載用部品,ノイズ対策部品などの展示やデモンストレーションが数多く行われた.

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[写真1] CEATEC JAPAN 2006の会場となった幕張メッセ
2006年10月3日~7日の5日間の来場者数は194,267人.

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[写真2] テレビ受像機関連の展示に人だかり

●xvYCC規格対応や低消費電力を特徴とするテレビ

 ソニーはxvYCC規格に対応した液晶テレビ「ブラビアX2500シリーズ」を展示した(写真3).xvYCCは2006年1月,国際電気標準会議(IEC)にて「IEC 61966-2-4」として正式に標準化された色空間の規格である.現在普及している「sRGB」の色空間領域を拡張することで,sRGBでは55%しか表現できていなかった物体色(マンセル色票)をほぼ100%表現できるようになった.

 X2500シリーズには,52V型,46V型,40V型の3機種がある.例えば46V型の「KDL-46X2500」の画面アスペクト比は16:9,画素数は1920ピクセル×1080ピクセル.パネル応答速度は8ms,画面輝度は450cd/m2,視野角(上下左右)は178°である.重量は36kg.

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[写真3] KDL-46X2500
xvYCC規格に対応.1920ピクセル×1080ピクセルのフルHDの液晶パネルを採用している.

 また,日本ビクターは58V型プロジェクション・テレビを展示した(写真4).D-ILA(Direct-Drive Image Light Amplifier)を3枚使用することで,58V型の大画面を構築した.D-ILAは反射型液晶表示素子であり,画素の間隔を狭めることで高い開口率を実現している.消費電力は220Wと低く,同社製プラズマ・テレビの半分以下の値である.

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[写真4] 58V型プロジェクション・テレビ
同社の液晶デバイス「D-ILA」を3枚使用して,大画面を構築している.

●Certified Wireless USB対応機器に使えるUWBチップ・アンテナ

 TDKは,Certified Wireless USB(以下,Wireless USB)対応機器に使えるUWB用のチップ・アンテナやバンドパス・フィルタを開発した.本展示会では,これらのUWB用高周波部品が実装された米国Alereon社のWireless USBドングル,米国Staccato Communications社のWireless USBドングルやWireless USBハブなどを展示した(写真5)

 また,同社は8mm×8mmと従来品より小型の無線LAN(IEEE802.11a,b,g)RFモジュールも展示した.Mini PCI Expressインターフェースの無線LANアダプタなどに使えるという.

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[写真5] UWB用高周波部品を搭載したWireless USBドングル
Alereon社のWireless USBドングルには,TDKのUWB用チップ・アンテナとバンドパス・フィルタが搭載されている.

●無線LANのアクセス・ポイントを用いて位置を測定

 日立製作所 ワイヤレスインフォ ベンチャーカンパニーは,無線LANのアクセス・ポイントを用いて位置を測定できる「日立AirLocation」を展示した(写真6).各アクセス・ポイントへの無線信号の到達時間差を利用して3辺測量を行う.位置精度は1~3m.GPS(Global Positioning System)が苦手とする屋内の位置測定に利用できるという.

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[写真6] 日立AirLocation
左の白い装置が位置の測定を行っている無線LANアクセス・ポイント.

●電子ペンを用いて,手書きアンケートを自動集計

 日立マクセルは,筆跡データを取得してBluetooth通信でパソコンに送信できる電子ペン「Penit」を展示した.手書きアンケートを自動集計するデモンストレーションを行った(写真7)

 本ペンは,ボールペンの先端にカメラが付いた構造になっている.座標情報のドットを印刷した用紙に文字を書き込むと,カメラで撮影した画像から用紙上の座標を計算する.その筆跡データをパソコンに送信し,パソコン上で文字認識を行えば,紙とペンを用いた手書きアンケートを自動的に集計できるという.A5サイズで40ページ分の筆跡データを記憶できる.また,その筆跡データを任意のタイミングでパソコンに送信することが可能.

 周辺にパソコンがない場合でも,Bluetooth通信に対応した携帯電話などを用いれば,インターネット経由でデータを送信できる.手書きデータをリアルタイムに電子データに変換できるので,アンケートの自動集計以外の用途にも利用できるという.

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[写真7] 電子ペンを用いたアンケート自動集計のデモンストレーション
ボールペンの先についたカメラからの画像をパソコンに取り込み,文字認識を行う.

●牛舎などを監視するパソコンとカメラを使用した無線遠隔監視システム

 マスプロ電子は,パソコンとカメラを用いた無線監視システムのデモンストレーションを行った(写真8).牛舎や農園,倉庫などの監視に利用する.

 マイクが内蔵されているCCDカメラを監視したい場所に設置し,無線LAN通信を用いてデータを転送する.送信側,受信側ともに指向性アンテナを使用した場合の伝送距離は最大5km.一度に最大9カ所の監視を行える.

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(a) CCDカメラ

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(b) 無線LANアクセス・ポイント

[写真8] 監視に用いるCCDカメラと無線LANアクセス・ポイント
カメラを増設することで最大9カ所を一度に監視できる.

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