動画色空間の新規格「xvYCC」に対応した液晶テレビなどに人だかり ――CEATEC JAPAN 2006

組み込みネット編集部

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レポート 2006年10月19日

●ボルトと一体化した乗員検知センサ

 ボッシュは,ドイツRobert Bosch社が開発した自動車の乗員検知センサ「iBolt」を展示した(写真9).ボルトの代わりにフロント・シートに取り付けられるような形状にした.エア・バッグ・システムは自動車の安全装置として普及しているが,乗員の体格や姿勢などによってはエア・バッグを展開することで,乗員を危険にさらす可能性がある.例えば,米国連邦車両基準「FMVSS208」では体重によってエア・バッグを展開するかどうかを制御するように定めている.

 本センサに負荷がかかると,センサ内の梁(はり)がたわみ,内蔵されているホール素子と磁石の位置にずれが生じる.このときの電流変化を検出し,補正をかけて加わった負荷に比例したアナログ(電圧)出力が出る.製品化の時期は未定.

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[写真9] 乗員検知センサ「iBolt」
ボルトの代わりに取り付けられるような形状になっている.

●FM波を利用して携帯型プレーヤの音楽をカー・オーディオに転送

 ロームは,携帯電話や携帯型オーディオ・プレーヤの音楽データをFMラジオ放送波にのせてカー・オーディオに転送するワイヤレス・オーディオ・リンクLSI「BU2680」のデモンストレーションを行った(写真10).本LSIは,欧州のRDS(Radio Data System)や米国のRBDS(Radio Broadcast Data System)などに対応しており,FMラジオ放送波にデータ信号(文字放送)をのせることも可能.欧米の市場向けに2006年中にサンプル出荷を開始するという.量産出荷は2007年初めを予定している.

 本展示会では,USBメモリに格納されている音楽データを,同社の音楽再生LSI「BU9434」でデコードし,そのデータがBU2680を介してカー・オーディオに転送するというデモンストレーションを行った.

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(a) デモンストレーションのようす

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(b) 送信側のデモ・ボード

[写真10] ワイヤレス・オーディオ・リンクLSI「BU2680」
(a)はデモンストレーションのようす.手前にあるデモ・ボードから文字データと音楽データをFMラジオ放送波にのせて転送している.

 また同社は,国内向けにRDSやRBDSなどのデータ信号転送機能を省いたLSI「BH1425GWL」のデモンストレーションも行った(写真11).本LSIはすでに量産中.BU2680と同じようにFMラジオ放送波を利用して音楽データをオーディオ機器に転送する.例えば音楽再生機能付き携帯電話などに組み込まれることを想定している.

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[写真11] 「BH1425GWL」のデモンストレーション
携帯電話でダウンロードした音楽をオーディオ機器へ転送して視聴するといった用途がある.なお,周波数の選択はユーザ側で行う必要がある.

●FlexRayネットワークを搭載した電動カート

 ルネサス テクノロジは,FlexRayネットワークを実装した電動カートを展示した(写真12).本電動カートには,FlexRay通信コントローラを内蔵したマイコン「M32C/FlexRay」を搭載している.ネットワーク制御のためのOSやミドルウェアなどはヴィッツが開発した.

 M32C/FlexRayの動作周波数は40MHz.現在,JasPar(Japan Automotive Software Platform and Architecture)のメンバに対してサンプル出荷を行っている.2006年末から2007年初めにかけて,動作周波数を80MHzに引き上げた「R32C/100F」のサンプル出荷を開始する予定である.R32C/100Fは,CANコントローラを4チャネル,FlexRayコントローラを2チャネル備える.

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(a) 電動カート

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(b) ステアリングECU基板

[写真12] FlexRayネットワークを実装した電動カート
FlexRayネットワークを介して,ステアリング(steer-by-wire)やブレーキ(brake-by-wire)などの制御を行う.

●スタンバイ時の消費電流が10μAと低いRISCマイコン

 STマイクロエレクトロニクスは,32ビットRISCマイコン「STR750ファミリ」を展示した(写真19).2段階の低消費電力モードを備えており,マイコンの動作状態を維持するストップ・モードの消費電流は12μA,マイコンの動作状態を維持しないスタンバイ・モードは10μAである.

 本マイコンはARM7コアを搭載している.動作周波数は60MHz,処理性能は54MIPS.64Kバイト~256Kバイトのフラッシュ・メモリや,16KバイトのSRAMを内蔵している.動作電圧は3.3Vまたは5Vである.5Vの動作電圧に対応したことで,工業用途のセンサやインターフェースにも対応できる.

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[写真19] STR750シリーズ
5Vの動作電圧に対応した.

●AC100Vに接続でき,周辺部品の少ないLEDドライバ

 ロームはLEDドライバ「BP5843-ADJ」を展示した(写真13).交流100Vを入力すると,抵抗で設定可能な直流250mA~350mAを出力できる.ハイパワーLEDを1灯~3灯駆動できる.出力は最大4.2W.家庭内の補助照明やアクセサリなどにおける需要を見込む.

 外付け部品としてフィルタ,バリスタ,ヒューズ,コンデンサをそれぞれ1個ずつ必要とする.量産出荷の開始時期は2007年前半を予定.今後,6灯~10灯に対応する品種を開発するという.

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[写真13] LEDドライバ「BP5843-ADJ」
ハイパワーLEDを1灯~3灯駆動できる.

●LEDの輝度安定化に利用できる約1V~100V対応の定電流ダイオード

 石塚電子は,定電流ダイオード(CRD:current regulative diode)を展示した(写真14).このCRDは約1V~100Vの電圧範囲において,一定の電流を供給する素子である.例えばLEDの輝度を抵抗で制御した場合,LEDが点灯するまでにある一定の時間がかかる.また,定電流回路で制御した場合は,電流量がある一定の値を超えると急に輝度が上がる.本CRDでLEDの輝度を制御すると,点灯時の輝度の変動がなくなる.電流の使用可能範囲は100μA~15mA,動作インピーダンスは40Ω~60MΩ.

 用途としては,ツェナー・ダイオードへの定電流供給やフォトカプラ,LEDの輝度安定化,遅延回路,タイマ回路,充電回路などに利用できる.

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(a) 定電流ダイオード

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(b) 動作グラフ

[写真14] 定電流ダイオード
本低電流ダイオードは,約1V~100Vの電圧範囲において,一定の電流を供給する.

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