Telelogic,ファイル管理のケアレス・ミスを減らすタスク・ベースの構成管理ツールを提供

組み込みネット編集部

 スウェーデンのTelelogic社は,同社の構成管理ツール「SYNERGY/CM 6.3a」の日本語版(Unicode対応版)の出荷を開始した.構成管理とは,ソフトウェアに含まれる各モジュールのファイルのバージョンを管理し,どのバージョンの組み合わせを製品に使用するか(リリースするか)という構成(configuration)を管理することである.現状は,無償のツールを使ったり,社内で開発したツールを使ったりしている企業が多いという.

 このような構成管理の現状とSYNERGY/CMについて,Telelogic社 SYNERGY製品管理部門 副社長のJean-Louis Vignaud氏と,同社の日本支社である日本テレロジック 代表取締役社長の粟倉 豊氏に聞いた(写真1)

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[写真1] Telelogic社 SYNERGY製品管理部門 副社長のJean-Louis Vignaud氏(写真左)と日本テレロジック 代表取締役社長の粟倉 豊氏(写真右)

――構成管理ツールはなぜ必要なのでしょうか?

Vignaud氏 構成管理ツールの導入によって,ソフトウェアの信頼性と生産性が向上します.個別の担当者の立場で考えると,開発者にとっては,構成管理(図1)の手間が減り,開発作業に集中できます.テスト担当者にとっては,プログラムに何が入っているのかがわかり,一貫性のあるテストを実施できます.マネージャにとっては,だれが何をやっているのかを把握しやすくなります.

 特に,信頼性が要求されるソフトウェアの開発や,規模の大きなソフトウェアの開発においては,構成管理ツールが必要不可欠です.例えば,140人の開発者が共同で開発する医療関係のソフトウェアでは,構成の一貫性が保証されていることは,とても重要です.

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[図1] 構成管理(configration management)
構成管理とは,ソフトウェアに含まれる各モジュール(部品)のファイルのバージョンを管理し,どのバージョンの組み合わせを製品に使用するか(リリースするか)という構成(configuration)を管理することである.

――SYNERGY/CMと他社の構成管理ツールとの違いは何ですか?

Vignaud氏 大きな違いは,ソフトウェア開発者の作業を一つの単位として扱える,いわゆるタスク・ベースのツールである点です.一般的な構成管理ツールは,ソース・ファイルのバージョン管理をファイルごとに行う,ファイル・ベースの管理を行っています.

 例えば,50のソース・ファイルで一つのプログラムを構成している場合,SYNERGY/CMは50のファイルのそれぞれについて,どのバージョンを利用するのかを一括管理できます.一般的な構成管理ツールでは,50のファイルの該当するバージョンを手作業で集めることになり,そこでミスが発生する可能性があります.

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[図2] 追加機能や修正項目などのタスクごとに構成を管理できる

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[図3] SYNERGY/CM(日本語版)の画面

粟倉氏 他社の構成管理ツールでも「タスク・ベース」を名乗っているものはありますし,カスタマイズすればSYNERGY/CMのようなタスク・ベースの処理に近いことができるものもあるでしょうが,最初からタスク・ベースとして開発されたのはSYNERGY/CMだけだと考えています.

Vignaud氏 ほかにも,分散環境における開発をサポートしており,CMMやXPなどのプロセスに沿った構成管理も行えます.

――国内の企業で,実際に構成管理ツールを導入しているところは何社くらいあるのでしょうか?

粟倉氏 おおまかに言うと,約半数が手作業で管理しており,約半数がツールを利用しています.ただし,フリーウェアや内製のツールを使う場合が多く,市販ツールを使っているユーザはごくわずかです.

――ツールの価格が導入の壁になっているのでしょうか?

Vignaud氏 価格が高いか安いかは費用対効果の問題ですから,一概には言えません.ある程度以上の規模の開発なら,内製ツールを保守するよりも,きちんとしたツールを導入したほうがコストが抑えられるでしょう.

 構成管理ツールの導入は,手術のようなものです.導入するためには,まず開発対象となるシステムを見直して,タスクの組みかたなどを決めていくコンサルティングが必要になります.システムの見直しから実施したほうがいいことはわかっているけれど,できればやりたくない.そういう意識があるのだと思います.

――これは,日本特有の問題でしょうか?

Vignaud氏 いえ,海外でも同じことが言えます.現場には「管理されるのがいやだ」という意識が強いところもあるので,弊社は構成管理ツールの存在をなるべく意識させないようなユーザ・インターフェース「ActiveCM」を開発しました.これを利用すると,構成管理ツールがWindowsのタスクトレイに隠れてしまい,ユーザは電子メールで飛んできた修正依頼に対応するソース・コードを修正するだけで,自動的に構成管理ツールに処理が記録されるようになります.

――日本市場では,どのような分野をねらっていくのでしょうか?

粟倉氏 弊社は,ここ数年の間にいくつかのツールを日本語化し,すでに国内の顧客を獲得しています.例えば,通信機器メーカや大手電機メーカではUMLモデリング・ツール「TAU」が採用されていますし,主要な自動車メーカや多くの自動車関連メーカには要件管理ツール「DOORS」が採用されています.まずは,それらの顧客に構成管理ツールを提供していくことを考えています.

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