LSIテスタ向けのオープン・アーキテクチャに注目が集まる ――Semicon Japan 2003
2003年12月3日~5日,幕張メッセ(千葉県千葉市)にて半導体製造装置やテスト装置,半導体材料に関する展示会「Semicon Japan 2003」が開催された(写真1).LSIテストに関する米国の標準化組織であるSemiconductor Test Consortium(STC)社の仕様「OPENSTAR」に準拠したアドバンテスト製のLSIテスタなどに注目が集まっていた.
●少量多品種生産に対応したLSIテスタの標準仕様を策定
Semiconductor Test Consortium社のブースでは,テスト装置に関するオープン仕様「OPENSTAR」についてのプレゼンテーションが行われていた(写真2).
OPENSTARは,2002年7月17日~19日に米国カリフォルニア州San Joseにて開催された半導体製造装置関連の展示会である「Semicon West 2003」において,アドバンテストが提唱した.その後,同社は米国Intel社,米国Motorola社とともに規格策定のための標準化組織設立の準備を行い,2003年3月に非営利法人であるSemiconductor Test Consortium社を設立した.同社の本社は米国カリフォルニア州San Diegoにある.
Semiconductor Test Consortium社のメンバは,Steering Comittee(幹事会社.組織の運営と規格の決定を担当),Regular Member(規格を策定するメンバ),Associate Member(製品化を行うメンバ),Non-Participating(技術的なアドバイスをするメンバ)から構成されている.Steering Comitteeには,アドバンテスト,Intel社,Motorola社,東京エレクトロンの4社が参加している.正式メンバには入っていないが,本コンソーシアムの趣旨に賛同している会社として,富士通やNECエレクトロニクス,ルネサス テクノロジなどの企業の名まえが挙がっていた.こうした参加見込みの企業や団体を含めると,46団体にのぼるという.
従来,LSIテスタの筐体やそれに組み込むモジュール(LSIテスタのメイン・フレーム)の仕様はすべて,それぞれのLSIテスタ・メーカが独自に決めていた.最近のLSIの特徴は少量多品種である.半導体メーカとしては,デバイスに合わせてテスタを入れ変えたいが,筐体やモジュールの仕様が異なると,設置や調整のためのコストがかさむ.一方,LSIテスタ・メーカにとっては,製品ラインナップとして,デバイスごとに異なるすべての種類のLSIテスタを開発していたのでは採算が合わない.
LSIテスタの筐体やモジュールの仕様を標準化すれば,テストするデバイスが変わっても,筐体はそのままで,必要に応じてモジュールだけを交換すればよくなす.コストの低減やテスト期間の短縮などを図ることができる.また,これまでは大手の測定機器メーカしか参入しにくかったLSIテストの市場に,中小企業も参入しやすくなるというメリットもある.
今回のアーキテクチャでは,テスト・ヘッド内の機能をモジュール化し,用途に応じてモジュールを取り替えられるような仕様を策定した.テスト・ヘッドはテスト機能を左右するもっとも重要な部分であり,これまで各社の仕様は公開されていなかった.OPENSTARでは,モジュールの形状や電源ユニット,インターフェース(信号,電気的特性),測定用ソフトウェアなどが規格化されている.例えば,モジュールは40cm×46cmと外形寸法が決まっている.また,測定用のソフトウェアについては,現時点ではOSにWindows 2000を採用することを決めている.同団体のメンバになればOPENSTARの仕様を入手できる.サポートは,基本的にLSIテスタ・メーカが行う.
●OPENSTAR準拠の初のLSIテスタを展示
アドバンテストは,OPENSTARに準拠したSOCテスタ(システムLSI向けテスタ)「T2000」を展示した(写真3).OPENSTARに準拠した製品は本テスタが初めて.テスト・ヘッド内の機能モジュールは,現在のところすべて同社製.今後,コストや性能などでメリットがあるようであれば,他社製のモジュールも組み込んでいくという.
T2000は,主に高速動作のCPUや高速通信用LSI向けのテスタである.テスト周波数は250MHz,同時測定デバイス数は最大64個,ピン数は最大1,536.2003年10月から出荷を開始している.
OPENSTARに準拠した初のLSIテスタ.
また,これとは別に,同社はウェハ・レベル・テストのためのプローブ・カードを提供することも発表した.同社はこれまで,パッケージ・テスト用のLSIテスタは製品化していたが,プローブ・カードは提供していなかった.今回のプローブ・カードは,GHzオーダの速度で動作するLSI(主にメモリ)のテスト環境「Device Interface Test Solution for GHz Test」の一部として利用される.現在は,特定ユーザが試作機を評価しており,量産に向けた課題の洗い出しを行っている.発売開始時期などは未定.
●紫外領域対応の目視テスト用IEEE1394カメラ・モジュールが登場
ソニーのブースでは,紫外領域対応のCCDカメラ「XCD-SX910UV」のデモンストレーションが行われていた(写真4).ガラス面や鏡面を目視検査するのに向いている.インターフェースはIEEE1394に対応.データ転送速度は最大400Mbps.有効画素数は145万(1,392×1,040画素).
デモンストレーションでは,IEEE1394ディジタル・カメラ規格に準拠したアダプタ「TKIF-1394」を介して,CCDカメラから取得した画像をモニタに映し出していた.TKIF-1394は,蝶理イメージングの製品であり,画像処理用ボードを内蔵している.400Mbpsのデータ転送速度に対応している.
●フラットパネルを用いて周囲のひずみを除去したX線検査装置をデモ
東芝ITコントロールシステムは,X線検出器にフラットパネルを搭載した検査装置「TOSMICRON-Sシリーズ」を展示した(写真5).従来は蛍光増倍管を用いていたが,この方法では端の部分のX線の当たりかたが均等ではないため,ひずみが出てしまう.フラットパネルを使うことで,端の部分までひずみのない画像を取得することができるという.また,ダイナミック・レンジも従来の8ビットから12ビットに向上した.すでに発売を開始している.価格は1,500万円程度.