スキャナ機能を搭載したディスプレイに人だかり ――SEMI FPD Expo 2003
2003年4月9日~11日,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,フラット・パネル・ディスプレイに関する展示会「SEMI FPD Expo2003」が開催された.スキャナ機能を搭載したディスプレイや写真画質並みの高精細さをアピールしたTFT液晶ディスプレイに人だかりができていた.
●スキャナ機能を搭載した液晶ディスプレイが登場
東芝松下ディスプレイテクノロジーは,スキャナ機能を搭載した3.5インチ型のTFT液晶ディスプレイ「インプット ディスプレイ」を展示した(写真1).今回のデモンストレーションでは,モノクロ画像の取り込みと表示を行った.液晶ディルプレイの画素数は320×240,色数は26万色.
本ディスプレイは,画素に光学センサを組み込むことによって,スキャナ機能を実現している.スキャンできる画素数は960×240,モノクロの階調は64である.
現在,カラー画像をスキャンできるディスプレイを開発している.将来,本ディスプレイを利用して,指紋認証やバーコード読み取りなどができるようになるという.
●液晶ディスプレイの表示が写真画質に近づく
セイコーエプソンは,画素ピッチが212ppi(pixels per inch)と高精細な3.8インチ型低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイ「Photo Fine」を展示した(写真2).本ディスプレイは,プリンタの解像度で1600dpi(dot per inch)相当の表示能力を持っているという.
本ディスプレイは,薄膜トランジスタの小型化や配線の微細化などのくふうによって,同社の従来製品と比べて,開口率を20%向上させた.また,独自に開発した画像処理LSIを搭載した.これによって,高精細表示を実現したという. 本ディスプレイの画素数は640×480,画素ピッチは0.040mm×0.120mm,色数は262,144色,階調は64である.
同社は,本ディスプレイを搭載した携帯型ビューワ「PhotoPC Player P-1000」も展示した(写真3).本ビューワには10Gバイトのハード・ディスク装置や,新たに開発した画像処理プロセッサ「Photo PCエンジン」を搭載している.本ビューワに取り込んだ画像をパソコンを介さずに印刷することができる.プリンタとの接続にはUSBインターフェースが利用されている.現在,発売されている「PM-730C」,「PM-830」,「PM-860PT」など,同社の8種類のプリンタに対応している.今後,同社が発売するプリンタにも対応してゆくという.
本ビューワには,CompactFlash TypeII規格のスロットとUSBポート(USB1.1に対応),ビデオ出力ポートを備えている.対応OSはWindows98,Windows Me,Windows 2000,Windows XP,MacOS 8.6以降,Mac OS X 10.2以降.発売は2003年夏ころを予定している.
●CPU回路をガラス基板に形成し,パソコンに搭載
シャープは,Z80マイクロコントローラの回路を液晶ディスプレイのガラス基板上に形成し,この基板を組み込んだパソコンを展示した(写真4).CGS(連続粒界結晶シリコン)半導体を利用することによって,回路を形成している.このCGS技術は,半導体エネルギー研究所と共同で開発した.このほか,6個のマイクロコントローラを形成した13mm×13mm×0.7mmのガラス基板も展示した(写真5).