USB2.0のハイスピード・モードに対応したFA向け画像処理ボードが登場 ――'02国際画像機器展

組み込みネット編集部

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レポート 2002年12月26日

 2002年12月4日~6日,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)にて,産業用画像処理装置に関する展示会「'02国際画像機器展」が開催された.USB2.0のハイスピード・モードに対応したFA(factory automation)向けの画像入力ボードやCCDライン・カメラが展示された.2003年夏ごろにはUSB2.0に準拠したFA向け画像処理機器が相次いで出荷されると予想されている.また,35万画素の携帯電話向けCCDカメラ・モジュールなども展示されていた.

●USB2.0に対応した画像処理ボードやCCDライン・カメラが登場

 東芝やビットラン,マイクロビジョンなどは,それぞれUSB2.0インターフェースに対応したFA用画像処理機器を展示した.

 マイクロビジョンは,USB2.0のハイスピード・モード(480Mbps)に対応した画像処理ボード「MV-16」のデモンストレーションを行った(写真1).RS-422インターフェースを備えるLVDS方式のディジタル・エリア・カメラ(画像を画面単位に読み取るカメラ)やディジタル・ライン・カメラ(画像を画面のライン単位に読み取るカメラ)と組み合わせて利用する.高速に移動する対象物の寸法測定や欠陥検査などに用いられる.

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[写真1]USB2.0インターフェースを備えたマイクロビジョンの画像処理ボード
上の写真がデモンストレーションのようす,下の写真は画像処理ボード.入力データ幅は16ビット,入力クロック周波数は最大25MHz.

 本ボードには,米国Cypress Semiconductor社のUSB制御LSI「CY7C68013」やFIFOメモリ「CY7C4291」,米国Altera社のFPGA「EP20K100」などが搭載されている(写真2).入力できるデータ幅は16ビット,入力クロック周波数は最大25MHz.OSはWindows 2000とWindows XPに対応している.ボードの外形寸法は120.0mm×130.0mm.

 オプションとして,専用の画像解析ソフトウェア「画像マネージャー」を用意している.本ソフトウェアを利用すると,2値化処理(判別識別法や3σ法など)やフィルタ処理(クラジエントやモーメント),パターン・マッチング処理(正規化関数),特徴抽出処理(面積,平均半径,隣接ブロックの距離など)を行える.

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[写真2]MV-16の構成図
本ボードには,Cypress社のUSB制御用LSI「CY7C68013」やFIFOメモリ「CY7C4291」,Altera社のFPGA「EP20K100」などが搭載されている.

 一方,ビットランは,USB2.0に対応した冷却式CCDライン・カメラを展示した(写真3).65,536階調(16ビット)のモノクロ画像を直接取り込むことができる.本カメラの冷却には,ペルチェ素子が使用されており,これによってノイズを低減できる.

 画素数は61,440,画素ピッチは24μm×24μm.電源電圧は12V.OSは,Windows Me,Windows 2000,Windows XPに対応している.本カメラは,微弱な発光を計測したり,低照度の画像を撮影するためのTDI(time delay and integration)機能を備えている.

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[写真3]USB2.0インターフェースを備えたビットランの冷却式CCDカメラ
画素数は61,440,画素ピッチは24μm×24μm.

●最低被写体照度が2ルクスの35万画素CCDカメラ・モジュールを展示

 シャープは,最低被写体照度が2ルクスの1/5インチ型CCDカメラ・モジュール「LZ0P3714」を展示した(写真4).画素数は35万.カメラ機能付き携帯電話に用いられる.

 本カメラ・モジュールには,CCDイメージ・センサやCCD駆動回路,ディジタル信号処理回路(DSP),CDS(correlated double sampling)回路,AGC(automatic gain control)回路,10ビットA-Dコンバータ,タイミング発生回路が組み込まれている(写真5).-7V,2.9V,13Vの3電源を用意する必要がある.15フレーム/sのフレーム速度で動作させたときの消費電力は200mW.待機時の消費電流は15μA.外形寸法は11.2mm×8.9mm×7.45mm.なお,本モジュール専用の電源用IC「IR343U6」を用いると,単一電源のカメラ機器を構成できる.本電源用ICの電源電圧は2.9V~3.3V.出力電圧は-7Vと13V,消費電流は最大18.2mAである.

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[写真4]最低被写体照度が2ルクスの1/5インチ型CCDカメラ・モジュール
画素数は35万.-7V,2.9V,13Vの3電源を用意する必要がある.

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[写真5]CCDカメラ・モジュールの構成図
本CCDカメラ・モジュール専用の電源用ICを用いることで,単一電源で動作するカメラ機器を構成できる.

 また,同社は,7mm×6.5mm×6mmと小さい1/7インチ型CMOSカメラ・モジュール「LA0P390N」も展示した(写真6写真7).画素数は11万.最低被写体照度は10ルクスである.本CMOSカメラ・モジュールには,カメラ・システム制御用のディジタル信号処理回路(DSP),CDS回路,AGC回路,8ビットA-Dコンバータ,タイミング発生回路が組み込まれている.電源電圧は2.6V~3.0V.15フレーム/sのフレーム速度で動作させたときの消費電力は45mWである.

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[写真6]7mm×6.5mm×6mmの1/7インチ型CMOSカメラ・モジュール
画素数は11万.最低被写体照度は10ルクス.

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[写真7]CMOSカメラ・モジュールの構成図
本CMOSカメラ・モジュールには,カメラ・システム制御用のディジタル信号処理回路やCDS回路,タイミング発生回路などが組み込まれている.

●二つのDSPを搭載した画像処理用CCDカメラ

 米国Texas Instruments社は,DSP「TMS320C6415」を2個組み込んだ画像処理用2/3インチ型CCDカメラを展示した(写真8).車のナンバ・プレートを認識する装置や顔認証装置,FA機器などの画像の取り込みに利用される.

 本カメラを利用すると,画像の取り込みとMPEG圧縮処理を同時に行える.また,Ethernetを利用して,DSPプログラムのインストールを行ったり,画像処理結果の出力画像をパソコンに転送したりできる.

 本カメラには,100万画素のCCDイメージ・センサ「TC281」,画像処理用のユーザ・プログラムを実行するDSP,MPEG-4圧縮処理やTCP/IP処理を行うDSP,Ethernet MAC(media access control),システム制御回路などが組み込まれている.

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[写真8]二つのDSPを組み込んだTexas Instruments社の画像処理用CCDカメラ
画像処理用のユーザ・プログラムを実行するDSPや,MPEG-4圧縮処理やTCP/IP処理を行うDSPなどが組み込まれている.

●5,400回転/分で回転する円盤上の文字を読み取れるICCDカメラ

 浜松ホトニクスは,5,400回転/分で回転する円盤上の文字を読み取れるICCDカメラ「C8780シリーズ」を展示した(写真9).ICCDカメラとは,近接型イメージ・インテンシファイア(入射された光学像を光電面で光電子に変換し,光電子の衝突と2次電子放出を利用して光強度を引き上げる素子)とCCDイメージ・センサを一体化したものである.近接型イメージ・インテンシファイアのMCP(micro channel plate)を2段構成にすることにより,光学像の光強度を数千倍~数百万倍に引き上げることができる.

 本カメラのシャッタ時間は最小20ns,解像度はXGA(1024×768画素),転送速度は400Mbps.フレーム速度は15フレーム/sまたは7.5フレーム/s.また,ルーメン感度は700μA/lm.波長530nmのときの放射感度は214mA/W,量子効率は50%である.

 電源電圧は10V~15V,消費電力は14Wである.なお,画像信号出力にはIEEE1394を利用している.一方,カメラの制御はUSBインターフェースを介して行う.ホスト・パソコンのOSはWindows 2000.

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[写真9]5400回転/分で回転する円盤上の文字を読み取れるICCDカメラ
解像度は1024×768,シャッタ時間は最小20ns,データ転送速度は400Mbpsである.

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[写真10]近接型イメージ・インテンシファイアの原理
光学像の光強度を数千倍~数百万倍に引き上げる.

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