T-Engineで開発されたIP電話や教育用端末を公開 ――TRONSHOW2003

組み込みネット編集部

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レポート 2002年12月18日

 2002年12月12日~14日に,ラフォーレミュージアム六本木(東京都港区)において,トロン協会などが主催する「第19回トロンプロジェクトシンポジウム TRONSHOW2003/TEPS2003」が開催された.2001年12月にトロン協会から発表された,組み込み型コンピュータの開発プラットホーム(システム・アーキテクチャや開発環境)の規格である「T-Engine」に準拠した開発用ボードや,T-Engineボードを利用して開発した製品が数多く展示されていた.

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●富士通FR-VやARM920Tに対応したT-Engineボードが登場

 横河ディジタルコンピュータは,富士通の2並列実行型VLIWアーキテクチャを採るFR-Vプロセッサ「MB93403」に対応したμT-Engine(家電機器向けのT-Engine)ボードを展示した(写真1).また,同社はARM920Tコア内蔵の米国Motorola社のDragonBall「MC9328MX1」と沖電気工学の「ML7101」のそれぞれに対応したT-Engineボードを2003年2月ごろに発売するという.同社は,すでにARM720Tコア内蔵のセイコーエプソン製マイクロコントローラ「S1C38000」に対応したT-Engineボードを2002年11月から発売している.

 開発ボードのほか,T-Engineボードと組み合わせて使用するICE(In-Circuit Emulator)「advicePLUS」やデバッガ「microViEW-M」といった開発環境を提供している(写真2).microViEW-Mは,Windows 98/NT4.0/2000/XP上で稼動する.

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(a)富士通FR-Vプロセッサに対応したμT-Engineボード

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(b)Motorola社のMC9328MX1に対応したT-Engineボード
[写真1] T-Engineボード
富士通FR-V対応のμT-Engineは2003年春ごろ発売される予定.

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[写真2] T-Engine対応ICE「advicePLUS」
展示されていたものはARMプロセッサ用のICE.

●T-EngineでMIDI通信

 ヤマハは,インターネットを介してつながった複数の電子楽器を演奏するデモンストレーションを行った(写真3).各楽器間でMIDI(音符データ・フォーマット)に従った演奏データをやり取りする.このとき,楽器間の同期をとるための時刻制御やセッション管理を行う必要がある.本デモンストレーションでは,"Conductor"と呼ばれるT-Engineボード(日立製作所製)によってこれらの制御を行っていた.

 このほか,日立製作所製T-Engineの拡張ボードとして,携帯電話音源ボードを展示した.本ボードは,同社の音源LSI「YMU762」を搭載している.YMU762は,最大40音を同時に発音できる.FM音源やWaveTable音源(実際の音を録音して音色データを作り,そのデータを再合成して音を出す方式)に対応する.また,本ボードは米国Analog Devices社の2軸加速度センサを搭載している.この加速度センサを利用して,3Dポリゴンを表示するデモンストレーションを行った(写真4)

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[写真2]リアルタイムMIDI通信のデモンストレーション
この電子ギターと離れたところにキーボードが置かれており,インターネットを介して演奏を行う.

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[写真4]T-Engine拡張ボードを利用して3Dポリゴンを表示
T-Engine拡張ボードは,ヤマハの音源LSI「YMU762」に加えて,米国Analog Devices社の2軸加速度センサを搭載している.T-Engine規格の定めるOS「T-Kernel」上に加速度センサ・ドライバとエイチアイの3Dポリゴン・エンジンを実装した.見る角度によって表示される人の角度が変わる.

●T-Engineで開発した応用製品が来年出荷

 アイピートークは,三菱電機製μT-Engineボードを利用して,IP電話を開発した(写真5).TCP/IPのハードウェアとソフトウェアは三菱電機が提供し,アナログ・プロトコルの部分はアイピートークが開発した.2003年夏ごろには量産に入る予定.現在のところ,バッテリの持続時間は100分程度であるが,量産に向けてバッテリ容量を上げたり,耐衝撃性の強化や小型化などを行うという.

 一方,ピンチェンジは,教育用端末「TEA端末」を展示した.日立製作所のT-Engineボードを利用して開発した.現在は,まだ試作段階である.2003年の4月以降に発売を開始する予定.価格は6万円以下.外形寸法は約27cm×約25cm.重さは約1kg.現在,10.4インチ型の液晶ディスプレイを使用しているが,低価格化のためにこれを8.4インチ型にすることも考えているという.

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[写真5] IP電話
写真の左はインターネット回線と一般の電話回線のアダプタ.電話機は,屋内のほか,ホットスポットで使用することを想定している.

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[写真6] TEA端末
ピンチェンジが開発した小学校や中学校の教育用の端末.

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