MEMS3軸加速度センサや8.5mm厚のスピーカが登場 ――ベンチャープラザビジネス発表会in関東2002

組み込みネット編集部

tag: 半導体

レポート 2002年11月15日

 2002年11月12日~13日,東京交通会館(東京都千代田区)において,ベンチャ企業や中小企業を支援するための展示会「ベンチャープラザビジネス発表会in関東2002」が開催された.主催は,経済産業省関東経済産業局,中小企業総合事業団,中小企業・ベンチャー総合支援センター東京.本展示会は,ベンチャ企業と投資家の間のマッチングや事業提携先の開拓などを目的としている.情報,通信,製造技術,物流などの分野で事業を行っている60社の企業が出展した(写真1).今回の展示では,MEMS(micro electro mechanical systems)技術を使った3軸加速度センサ・モジュールや,シート磁石を使った薄型スピーカが注目を集めていた.

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[写真1]ベンチャープラザビジネス発表会in関東2002の会場
情報,通信,製造技術,物流などの分野で事業を行っている60社の企業が出展した.

●MEMS技術を利用した3軸加速度センサ・モジュールを展示

 エーシーティ・エルエスアイは,MEMS技術を利用した静電容量型3軸加速度センサ・モジュールを展示した(写真2).本モジュールは,立山科学工業と富山県工業技術センターが共同開発した加速度センサと,エーシーティ・エルエスアイが開発した駆動回路を一つのパッケージに封止したものである.本モジュールは,エーシーティ・エルエスアイと立山科学工業のそれぞれが販売する.

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[写真2]3軸加速度センサ・モジュールの外観
本センサは,MEMS技術を利用した静電容量型3軸加速度センサ.左側が裸のモジュール,右側がセラミックス・パッケージに封止したモジュール.

 本モジュールの電源電圧は3V~5V,検出範囲は180度,応答時間は0.1s以下である.また,消費電流は10mA以下,外形寸法は6.5mm×6.5mm×2.5mm.

 本モジュールに組み込まれている加速度センサは,静電容量の変化を利用して加速度を検出している.一般に,静電容量型の加速度センサは,小型化すると出力電圧(感度)が低下すると言われている.今回開発したセンサ部の外形寸法は3.0mm×3.0mm×1.3mmと小さいが,1G(重力)当たりの出力電圧は10mV~20mVと高い.従来,同じ外形寸法のセンサの出力電圧は3mV~5mV程度だったという.

 一方,本モジュールの駆動回路は,センサの誤差要因の補正を行う.オフセット(零点)補正や感度補正,オフセット温度変動補正などを行う.

 なお,エーシーティ・エルエスアイは,日本航空電子のMEMS3軸加速度センサ・モジュール「JA-30SA」にも駆動回路を提供している(写真3)

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[写真3]日本航空電子のMEMS3軸加速度センサ・モジュール
本モジュールの駆動回路は,エーシーティ・エルエスアイが提供している.

●厚さ8.5mmのA4サイズ・スピーカに注目が集まる

 プロトロは,厚さ8.5mmでA4サイズ(297mm×210mm)の薄型スピーカを展示した(写真4).本スピーカでは,1)シート磁石(プラスチック磁石板またはゴム磁石板),2)バッファ(緩衝材),3)コイルを平面状にプリントした薄膜振動板,4)バッファ,5)シート磁石の順に5枚の板が重ねられ,筐体に収められている(写真5).内部に組み込まれている素子は折り曲げられるため,曲線型スピーカも作れる(写真6)

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[写真4]厚さ8.5mmでA4サイズのスピーカ
本スピーカは,シート磁石やコイルを平面状にプリントした薄膜振動板を用いることで薄型化を実現している.


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[写真5]本スピーカの断面
上から,筐体部,シート磁石,バッファ,薄膜振動板,バッファ,シート磁石,筐体部の順に積み重ねられている.


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[写真6]曲線型スピーカ
本スピーカに組み込まれている素子は,折り曲げることができる.例えば,曲線型のスピーカを作ることができる.

 現在,ロール・カーテンやスクリーンに貼り付けられる,2mm程度の厚さのスピーカを開発中である.同様の原理を使ったスピーカを2002年7月から野外に設置しているが,雨天のときを除けば,現在のところ音質などに変化がなく,耐熱,耐水,耐湿の点についても問題ないという.

●波長266nmの深紫外線半導体レーザが市場へ

 メガオプトは,波長266nmの深紫外半導体レーザを展示した(写真7).プリント基板のビア・ホールやガラス,樹脂などの加工に用いられる.

 現在,上記の加工にはエキシマ・レーザが用いられている.エキシマ・レーザの励起にはアルゴン(Ar)とフッ素(F)を混合したガスが利用されているため,ガスの交換などの運用コストがかかるという.一方,半導体レーザの励起では,こうした問題は発生しない. 

 本レーザでは,結晶の横方向から波長を励起することで発振を行う.これにより効率を30%向上したという.最大出力は1W~5W.製品出荷は2003年春ごろの予定.

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[写真7]深紫外線半導体レーザ装置
本半導体レーザの波長は266nmである.プリント基板のビヤ・ホールやガラス,樹脂の加工に用いられる.

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