RFIDや個人認証システムの応用に関心集まる ――自動認識総合展2002
2002年9月11~13日,東京都江東区の東京ビッグサイトにおいて,「自動認識総合展2002」が開催された.RFIDや個人認証システムなどが展示され,来場者の関心を集めた.
●RFIDの商品タグで在庫管理
日本アビオニクスと先端技術工学研究所は,ブースをファッション・モールに見立て,商品タグとしてRFIDを付けた衣料品などを展示した.
スニーカのアウトレット・ショップでは,気に入った靴を台の上に載せると,その靴の情報や,同じサイズのほかの商品の情報などが表示される.RFIDによる商品タグは1枚100円程度のコストがかかるが,回収して再利用することも可能だという.接客人数を減らしたり,無人で商品を販売する用途などを想定している.
また,棚の中にアンテナを設置して,商品が棚にあるのか,客が手に取っているのかを把握することもできる.商品をレジで処理することにより,販売済みという属性を持たせることができる.
これらのシステムのソフトウェアは,先端技術工学研究所が開発した.
●16Kビットのメモリを持つRFIDチップ
日本アビオニクスは,16Kビットのメモリを持つISO15693(近傍型)RFIDチップ「VicPro 16K」を展示した.従来のメモリ容量は2Kビットだった.例えば,物流管理の際に,個別の商品には2KビットのRFIDチップを,複数個の商品をつめた輸送用ケースにはより多くの情報を書き込める16KビットのRFIDチップを使うといった用途を想定している.
●手書きのサインを認証する
アクシムは,署名時の筆跡圧力の変化によって本人認証を行うディジタル・ペン「iD-Pen」を展示した.ディジタル・ペンを使って署名すると,ペン先に加わる筆跡圧力の変化のデータがサーバに送られる.サーバでは署名の特徴を抽出し,あらかじめ登録された特徴データと比較して,本人かどうかを判定する.ペンにはインク軸も内蔵されており,書いた署名も残る.クレジット・カード決済や各種契約,パスポート認証などへの応用を考えているという.
iD-Penの先には,圧電セラミックス素子により,柔らかさや硬さをデータ化する「触覚センサ」が取り付けてある.触覚センサは,医療の触診(患部に触れる診断法)を代替する用途でも研究が進められているという.
●手のひらの形状を利用して認証する
エム・エー・ジェーは,手のひら(実際には,指の付け根から指先まで)の形によって認証を行う掌形判別装置を展示した.ID番号を入力し,掌形判別装置に手を入れると,上部および側面から見た掌形をCCDカメラで測定し,あらかじめ登録しておいた情報と比較して認証を行う.
ドアのかぎの場合と同じように「本人が拒否されてはいけない」と考え,本人は確実に認識されるようにした.その代わり,別の人を本人と誤認してしまう確率(誤認識率)は0.1%.ちなみに,指紋の場合,誤認識率は0.01%ほどになるが,本人が認証されないケースもあるという.
すでに,工場や発電所などの入室管理に導入されている.
●顔の形状を利用して認証する
オムロンのブースでは,顔面の形状を利用する入退室管理システム「Face Key」が展示されていた.カメラで撮影した画像を処理して,顔面の位置情報を取り出す.事前に登録しておいた複数枚の写真から得た情報と比較して,顔の形状の照合を行う.入退室の日時や顔画像が履歴データとして保存される.ちなみに,他人を本人として認識してしまう確率は6%程度だという.
●今ほしい情報をその場にメール配信
凸版印刷は,電子メールを送受信できる携帯電話用RFIDタグとその応用例の展示を行った.例えば,車のショールームの入り口などで,自分が受け取ったRFIDタグの番号を携帯電話からメールで送信すると,サーバ側にメール・アドレスが登録される.その後,ショールーム内で興味のある車などがあれば,その車の近くに設置してあるスキャナに携帯電話(のRFIDタグ)をかざすだけで,関連情報がメール配信される.
2002年10月16~19日に開催される展示会「WPC EXPO 2002」にて,このシステムの実際のデモンストレーションを行うという.