PDAの業務利用に企業の熱いまなざし ――PDAソリューションフェア2002
2002年8月29日,東京都港区の東京国際フォーラムにおいて,MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が主催する展示会「PDAソリューションフェア2002 in Tokyo」が開催された.PDA向けの業務ソフトウェアや周辺機器,最新のPDA機器などが展示された.会場はPDA向けの業務ソフトウェアに注目する多くのビジネス客で混み合った.
[写真1] 混み合う会場内
●3種の無線を使い,PDAで検針
昭好のブースでは,無線通信を利用するガスや水道の検針システムを紹介していた.ガス・メータに無線通信装置を取り付けることにより,PDAにガス・メータの数値データを取り込むことができる.また,このデータを腰などにつけた携帯型プリンタに無線で送信し,明細書を印刷できる.1台のPDAで数種類の無線通信方式に対応している点が特徴だという.それほど難しい技術を使っていない代わりに,安価にシステムを構築できる.
[写真2] 無線通信装置を取り付けたガス・メータ
[写真3] 携帯型プリンタ(中央左)
●客席から厨房へ,無線LANで注文を送信
NECのブースでは,PDAと無線LANを利用したレストラン向けの客席管理・注文システムを展示していた.客席でPDA上のアプリケーション・ソフトウェアに注文を入力し,無線LANを介してサーバに送信する.サーバがデータを受信すると,厨房のプリンタが個別の注文票とバーコードのついた注文リストを印刷する.厨房では,注文票に基づいて料理を用意し,注文リストとともに客席に運ぶ.レジでは注文リストのバーコードを読み取って会計を済ませる.
アプリケーション・ソフトウェアのデータベースには,Btrieveを使っている.
[写真4] 注文データを受信すると,個別の注文票とバーコードのついた注文リストを印刷する
●カメラとPDAを使って,「ないもの」を見せる
オリンパス光学工業は,カメラの映像に,3次元情報を持つ別の映像を付加できるシステムを展示した.あらかじめ登録した目印(マーキング)をカメラで写し,カメラとマーキングの距離と角度を計算し,それに合った映像を付加する.カメラを動かしたとき,表示する付加映像もそれに合わせて変化させられるため,付加映像を立体的に見せることができる.
このシステムを使うと,例えば欠損のある発掘物を復元した状態で見せたり,複雑な配線を要する装置のどこに何をつなぐのかなどを説明しやすくなる.
現在は,距離と角度の計算をすべてソフトウェアで行っているが,処理を高速にするため,ハードウェアで実装することを考えているという.計算処理が高速になれば,マーキングが画面内になくても付加映像を表示できるようになるという.
[写真5] PDAの画面内には,実際には存在しないひよこが表示されている
●ICカードで守られるiPAQ
シーエフ・カンパニーのブースでは,コンパックコンピュータのPDAであるiPAQ用の周辺機器「Blue I 410」を展示していた.iPAQに装着して利用する.Blue I 410はICカード・リーダを内蔵している.iPAQとICカードを挿入しパスワードを入力すると,iPAQが起動する.ICカードを抜き取ったりiPAQを外すと,iPAQの電源が切れる.PDAの紛失や盗難によるデータの流出を防ぐ.
[写真6] iPAQ(左)とBlue I 410(右)
●PDAをカーナビに変える
デンソーは,PDAをカー・ナビゲーション・システムに変えるキット「NAVISTANT(DV-P10)」を展示した.PDAに地図アプリケーション・ソフトウェアをインストールし,車速センサやジャイロを内蔵したGPS受信機「T-Station」と接続する.サーバ側で複数台の車両を一括管理するシステムを構築できる.配送業務の積み下ろし管理システムなどの用途を主に想定しているという.
[写真7] 運行管理システムを構築できる