組み込み向け表記法「eUML」の適用事例が初お目見え ――第5回組込みシステム開発技術展(ESEC)
●XScaleプロセッサ専用の電源ICが登場
セイコーエプソンは,XScaleプロセッサ「PXA250/210」用の電源IC「S1F81100」のデモンストレーションを行った(写真4).XScaleプロセッサは,消費電力低減のために,用途に合わせてコア電圧や周波数を変化させるという特徴を持つ.本電源ICを用いると,XScaleプロセッサからの命令に従って,0.8V~1.5Vにおいて0.1V刻みに出力電圧を変化させられる.
[写真4]S1F81100のデモンストレーション
デモンストレーションでは,XScaleプロセッサの代わりにI2C制御ボードを使用.本来はプロセッサからのコマンドによってS1F81100の出力電圧を変化させるが,今回はボード上のディップ・スイッチで行った.
S1F81100は,1チップに4チャネルを集積している.そのうちのチャネル1はPXA250/210のコア電圧供給用である.I2Cバスを介してXScaleプロセッサからコマンドを受け取り,出力電圧を変化させる.出力電流は,通常動作時が最大500mA,軽負荷時が最大20mAである.チャネル2はペリフェラル(I/O)制御用である.出力電圧は1.8V,2.5V,3.3Vの3種類.チャネル3はメモリ用である.チャネル2と同様に,出力電圧は1.8V,2.5V,3.3Vの3種類.チャネル2とチャネル3の出力電流は,通常動作時が最大1A,軽負荷時が最大10mAである.チャネル4はPLL用のシリーズ・レギュレータである.チャネル1と同じ電圧を出力する.
本電源ICのサンプル出荷はすでに始まっている.
●XScale搭載機器にUSB OTGを組み込む開発キットを展示
日本フィリップスのブースでは,XScaleプロセッサ「PXA250」を搭載した携帯機器にUSB On-The-Go(OTG)機能を組み込むための開発キットを展示した(写真5).開発の対象となる携帯機器のOSは,Window CE.NETまたはLinuxに対応している.
[写真5]USB OTG組み込み開発キット
メイン・ボードとLCDディスプレイ,キーボードは米国Accelent Systems社製.メイン・ボードの右下にはPhilips社製のUSB OTG用サブボードがある.同社のOTGコントローラLSI「ISP1362」を搭載している.
本キットのメイン・ボード(LCDディスプレイとタッチパネル,キーボードを含む)には,米国Accelent Systems社の「Accelent IDP(統合開発プラットホーム)」を採用した.OTGコントローラLSI「ISP1362」を搭載したサブボードと,OTG用のWindows CE.NET/LinuxドライバがPhilips社から提供される.ファームウェアを一から開発する必要がないため,OTG対応機器の開発にかかる期間を短縮できるという.
●USB OTG用プロトコル・アナライザが登場
ビッツは,米国Catalyst Enterprises社製のUSB2.0用プロトコル・アナライザ「SBAE-20」を展示した(写真6).SBAE-20は,USB通信データの取り込みと解析に利用される.データ転送速度は,USB2.0のハイスピード・モード(480Mbps)にも対応している.
x
[写真5]USB OTG組み込み開発キット
メイン・ボードとLCDディスプレイ,キーボードは米国Accelent Systems社製.メイン・ボードの右下にはPhilips社製のUSB OTG用サブボードがある.同社のOTGコントローラLSI「ISP1362」を搭載している.
SBAE-20はパラレル・ケーブルかUSBケーブルによって,データ処理用のパソコンに接続する.トラフィックの状態などを表示するためのソフトウェアは,ビッツのホームページからダウンロードするか,CD-ROMによって提供される.このソフトウェアは,Windows95/98/Me/2000/XPに対応している.
また,オプションとして,疑似的に通信パターンのデータを生成してUSBデバイス(スレーブとなるUSB機器)に与え,その反応を確認する機能(エキササイザ)と,電流計測の機能を用意する.
今年(2002年)の秋ごろには,USB OTGに対応した「SBAE-30」を出荷する予定.SBAE-20のエキササイザではUSBデバイス用の疑似テータしか生成できないが,SBAE-30ではUSBホスト(マスタとなるUSB機器)に対するデータも生成できるようになる.
●厚さが0.4mmと薄い1608サイズ型のLEDを展示
星和電機は,厚さが0.4mmと薄い1608(1.6mm×0.8mm)型のLED「SDCx1600シリーズ」を展示した(写真7).本LEDは,携帯電話などの薄型や小型を要求される製品で利用される.青色,青緑色,緑色,赤色の各LEDを用意する.指向角は140度,許容損失は25mW,逆方向電圧は5Vである.パルス順方向電流は100mA(デューティ比1/10,パルス幅10msのとき),順方向電流は20mA.ただし,赤色LEDのみ順方向電流は30mAである.
[写真7]厚さ0.4mmの1608型のLED
今回の展示では,青色LEDと緑色LEDのデモンストレーションが行われた.