時刻同期機能を備えるネットワーク・アナライザに注目集まる ――IP.net2002 / Bluetooth&PAN

組み込みネット編集部

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レポート 2002年3月 4日

 2002年2月27日~3月1日,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)において,ブロードバンドやBluetoothに関する展示会「IP.net2002/Bluetooth&PAN」が開催された.複雑化する検証や測定作業に対する来場者の関心が高く,ブースで行われたプレゼンテーションにはつねに人だかりができていた.時刻同期機能を備えるネットワーク・アナライザやBluetooth通信を使ったワイヤレス・ヘッドホンの展示に注目が集まっていた.

●時刻同期機能を搭載したネットワーク・アナライザ

 米国Agilent Technologies社は,時刻同期機能を備えるネットワーク・アナライザ「J6800A」,「J6801A」を展示した(写真1,2).LANやWAN(wide area network),ATM(asynchronous transfer mode)ネットワークのプロトコルの解析に用いられる.

 J6800Aは,パソコンが組み込まれているプロトコル・アナライザである.LANやWANのプロトコルなどをテストするためのソフトウェア「J6841A」がインストールされている.OSとして,米国Microsoft社のWindows2000を搭載している.J6800Aは,2チャネルのデータ収集システムを内蔵しており,時刻同期を取りながら二つの測定を同時に行うことができる.

 J6801Aは1チャネルのデータ収集システムを内蔵している.本製品単体では一度に一つしか測定できないが,本製品を複数,あるいはJ6800Aを併用することにより,時刻同期を取りながら複数の測定を行える.なお,本製品の制御は,J6841Aがインストールされたパソコン,またはJ6800Aで行う.

 また,両製品とも外部GPS(Global Positioning Systems)レシーバ用のインターフェースを備えている.そのため,GPSシステムを利用することにより,J6801Aを測定対象に取り付けて遠隔測定を行ったり,J6801A制御用のパソコンやJ6800Aに測定結果を表示できる.

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[写真1] J6800Aの外観

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[写真2] J6801Aの外観

●Bluetooth規格のAV Profileを用いたヘッドホン

 ケンウッドは,Bluetooth規格のAV Profileを用いたワイヤレス・ヘッドホンを展示した(写真3).AV Profileとは,Bluetooth規格のAV(audio visual)機器用プロファイルで,現在策定が進行中である.今回のデモンストレーションでは,ノート・パソコンのオーディオ・データをBluetooth通信で転送し,試作機のヘッドホンで音楽の再生を行っていた.デモンストレーションではデータ転送がまれに失敗することもあった.

 今回の試作機には,英国CSR(Cambridge Silicon Radio)社のBluetoothチップと村田製作所のRFモジュールが搭載されている.通信距離は10mである.ヘッドフォンの片側には回路基板(6層)が,もう一方にはリチウム・イオン電池が入っている.現段階では,400mA/h~500mA/hの電池容量の電池を用いたとき,ヘッドホンの使用可能時間は1~2時間である.今後は,消費電力の問題を解決して,使用可能時間を5時間にのばしたいという.また,製品化に向けて,RFモジュールなどの選定や基板構造の変更を検討しているという.

 製品化の時期は2002年12月~2003年1月ころの予定.これとは別に,携帯電話などでハンズ・フリー通話を行えるオプション製品も開発する予定である.

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[写真3] AV Profileの規格に準拠したヘッドホンの外観

●Bluetooth通信を使って入退場管理を行う装置

 オムロンは,Bluetooth通信を使って入退場管理を行う装置「BAT-Twin」を展示した(写真4).駅の改札の天井などに取り付けて使用する.ソフトウェアの変更は多少必要になるが,JRスイカのサービスなどと共存できるという.また,コンサートやイベントの入退場管理にも使える.

 本製品は,指向性アンテナを内蔵している.指向性の有効範囲は,垂直方向が1.5m~7m,水平方向が1.6mである.この範囲で利用者の識別を行う.電源電圧は5V,電源のON/OFFは赤外線搭載のリモコンによって行う.また,無線LAN(802.11b)機能を内蔵している.消費電力は12W以下.外形寸法は200mm×200mm×80mmである.製品化の時期は2002年夏ごろ.価格は10万円以下の予定.

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[写真4] BTA-Twineを用いたの自動改札のデモンストレーション

●MPEG-7対応の動画像インデックス自動生成システム

 日立通信システムは,動画像検索用のインデックスを自動生成できるシステムのデモンストレーションを行った(写真5,6).MPEG-7の規格に対応している.MPEG-7とは,音声データや動画像データを検索できるようにするためのデータ形式の規格である.

 例えば,一つのニュース番組の中の「気象情報」というインデックスを選択すると,番組の中のテロップに気象情報と表示されている画面を検出し,映像を再生する.今回のシステムは,MPEG-1とMPEG-2に対応した動画像データのインデックスを自動生成する.市場の動向を見てMPEG-4への対応も検討している.

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[写真5] MPEG-7に準拠した画像検索のデモンストレーション

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[写真6] MPEG-7に準拠した画像検出のシステム構成

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