ダイオード・ミキサやFET ミキサを詳細に説明 ――『The RF and Microwave Circuit Design Cookbook』
ダイオード・ミキサやFET ミキサを詳細に説明
Stephen A. Maas 著
Artec House Publishers 刊
ISBN:0890069735
24×16(cm)
267ページ
9,274円(税別,2001年9月18日時点でのamazon.co.jpにおける価格)
1998年9月(初版第1版)
ここで紹介する書籍の著者であるStephen A. Maas氏注)は,現在,米国Los Angelesで高周波/マイクロ波回路設計のコンサルタント業を営んでいます.また,米国Applied Wave Research社において,高周波/マイクロ波回路設計用EDA製品の非線形回路解析手法の技術顧問として活躍しています.
本書は,270ページにわたり高周波回路の基礎となる分布定数線路,Sパラメータ,半導体デバイス,ダイオード・ミキサ,ダイオード周波数マルチプライヤ,アクティブ・ミキサ,FETミキサ,アクティブ周波数マルチプライヤについて触れています.幾何学的に美しいSTARミキサは,バランとダイオードを利用したもので,非常にシンプルな回路構造にもかかわらず,ミキサとして動作する点がおもしろいところです.特に,著者の得意とするダイオード・ミキサやFETミキサについては詳細に解説があり,陥りやすい設計上の注意点も網羅されています.
全般的にわかりやすい解説であり,初心者に最適だと思います.ミキサ回路に偏重しすぎて,増幅回路や発振回路について触れられていないのが残念なところです.今後の改版では,今風に,これらの回路をシミュレータを利用して設計し,理論値や実測値の比較が示されれば,より説得力が高まるものと思われます.本書以外に,Nonlinear Microwave Circuits(IEEE 刊,ISBN:0780334035)やMicrowave Mixers(Artech House Publishers 刊,ISBN:0890066051)も設計上有効な書籍です.
注:Stephen A. Maas氏 URL:http://www.nonlintec.com/
E-mail:smaas@nonlintec.com
北島徹雄
サイバネットシステム(株)