デバイス設計から実装までの知識を総合的に身につける ――『情報通信の新時代を拓く-高周波・光半導体デバイス』

岩瀬暢男

tag: 半導体 実装

書評 2001年10月10日

デバイス設計から実装までの知識を総合的に身につける

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上田大助,伊藤国雄,松井 康,太田順道,石川修,田中毅 著
電子情報通信学会 刊
ISBN:4-88552-165-3
B5判
316ページ
5,200円(税別)
1999年12月(初版第1版)


 高周波(RF)設計に関する問題は,回路設計に対する知識だけでは十分に対応できません.併せて実装設計,さらにはデバイス設計に対する知識も深く持たなければ,性能とコストをともに満足するものが得られません.このため,複数の書籍や雑誌を併読することによって,目的を達することになります.しかし多くの場合,複数の別々の本を読むことで,設計内容の連続性が薄れてしまうということが悩みの種となっています.


 こういった意味で,本書はデバイスについて書かれた書籍でありながら,回路設計と実装設計,さらにシステムについても連続性を持って述べているため,実用性という意味においてたいへん有用な書籍といえます.それと言うのも,著者全員が企業に籍を置きながら,長年にわたって研究・実用化に継続的に従事してきた方々であるからです.そのため,実践書としての要所をつかんでおり,密度の高い書籍となっています.


 本書は題名のように,化合物半導体および半導体レーザの2 部で構成されています.それぞれデバイス基礎,プロセス,サブシステム応用,システム展開について述べています.この中で,移動体通信用デバイスについては,MMIC(monolithic microwave IC)を含む各構成デバイス,例えばパワー・アンプ,LNA(low noise amplifier:低ノイズ・アンプ),ミキサ,スイッチなどの具体的な設計方法を述べています.またRF実装設計ではMMIC,MIC,メイン・ボード実装などで展開される集中定数設計や分布定数設計の具体的方法(Sパラメータ,スミス・チャートを使用)から最近特に注目を集めているRFバンプ実装方法,バンプ接合ミリ波特性までを統合的に解説しています.さらに携帯電話,ITS(intelligent transport systems)について詳しく紹介しており,すぐに設計に生かせる内容になっています.


 最近のCMOS技術の飛躍的な発展により,高周波通信分野においてもCMOS技術の可能性が大きく注目されています.また,ナロー・ギャップのSiGeデバイスも実用化されています.これに対して本書は,RFでは歴史のある化合物デバイスを通して,移動体通信分野のRF設計の知識がデバイス,サブシステム,システム,実装と包括的に得られる貴重な書籍です.


岩瀬暢男
東芝リサーチ・コンサルティング(株)

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