LED光源から3Dディスプレイまで,"ヒカリもの"の新技術が一堂に ―― インターオプト2011

北村 俊之

tag: 半導体 実装

レポート 2011年10月 7日

 2011年9月28日~30日の3日間,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて光産業の国際技術展示会「InterOpto 2011」が開催された(写真1).本展示会では,レーザ,フォトニクス,光デバイスなどの製品が展示されていた.同時開催は,バイオ・医療分野の光技術の展示会「BioOpto Japan」,高輝度LEDの展示会「LEDジャパン」,先端レーザ加工の展示会「LaserTech」.主催は光産業技術振興協会

 

写真1 会場受付の様子

 

●水銀ランプやメタルハライド・ランプを置き換えるLED光源を展示

 光学製品を製造・販売しているオプトラインは,米国Lumencor社製の白色励起光源「SOLA light engine」を展示した(写真2).波長帯域は380mm~680nmで,紫外線や赤外線を含まない白色のLED光源である.水銀ランプやメタルハライド・ランプの代替として利用できる.また,ハイエンド・カメラとリンクした5kHz,10μs以内のON/OFF切り替えが可能.例えば,カスタム仕様に対応した顕微鏡システムや装置への組み込みなどに利用できる.

 

写真2 オプトラインの「SOLA light engine」

 

 寿命はメタルハライド・ランプの約8倍,アーク・ランプの75倍以上(15,000時間).光源の立ち上がり時間は短く,発熱も少ないという.

 

●ピエゾ・アクチュエータを利用して光軸調整を自動化

 プレサイスゲージは,光ファイバや光デバイスの光軸調整を行う自動調芯ユニット「PGAL1006」を展示した(写真3).「PGAL-1アクティブアライメント方式」と呼ぶ同社の高速調芯技術を採用しており,高速性と高精度を両立したという.

 

写真3 プレサイスゲージの「PGAL1006」

 

 本ユニットは,調芯対象となる光ファイバをピエゾ・アクチュエータ上に載せ,30Hz,100μm幅で往復運動させながらステージを移動させる.光ビーム・プロファイル波形をリアルタイムで観測・解析して,最適調芯点を求める.半導体レーザの集光点と光ファイバの間の調芯は,およそ10~20秒で完了する.バタフライ・モジュールや光トランシーバ,光導波路,TOSA/ROSAモジュールなど,さまざまな光モジュールと組み合わせて利用できる.高精度溶接や紫外線溶着などの固着方式と組み合わせることも可能.

 

●パルス・レーザ増幅器の実現に光MEMS技術を利用

 浜松ホトニクスは,光MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用したパルス・レーザ増幅器「MOIL-ps L11590」を展示した(写真4).これは半導体レーザ直接励起のYb:YAGレーザである.外形寸法は330mm×180mm×460mm,重さは35kg.プログラム制御により,操作を簡便化している.穴あけ加工や周期構造の形成,薄膜除去などの精密微細加工,透明材料への内部加工などに利用できる.

 

写真4 浜松ホトニクスの「MOIL-ps L11590」

 

 可変繰り返し周波数は1kHz~50kHz,可変パルス幅は1.5ps~10ps.レーザ・ヘッドの最大出力は3Wで,最大パルス・エネルギーは150μJ.中心波長は1030.5±1nm,ビーム高は170mmである.

 また,同社はマイクロチップ・レーザ「L11038(高エネルギー型)」,「L11435(高繰り返しハイパワー型)」も展示した(写真5).こちらは同社のMEMS技術により,レーザ共振器を一体的に形成している.共振器のアラインメントの調整は不要で,受動Qスイッチ型の短パルス・レーザとなっている.冷却にはペルチェ素子を利用する.電源プラグをコンセントに挿すだけで,どこでも利用できる.

 

写真5 浜松ホトニクスのマイクロチップ・レーザ

 

●ファイバ出射によりフレキシブルな照射が行える疑似太陽光源を展示

 朝日分光は,ファイバ照明が可能なAM1.5G疑似太陽光源「HAL-320」を展示した(写真6).出力波長は350nm~1100nm.JIS規格A級の太陽光スペクトラムや,近赤外~赤外域のスペクトラムに近似している.外形寸法は200mm×300mm×292mm,重さは10.2kg.

 

写真6 朝日分光の「HAL-320」

 

 ファイバ出射によりフレキシブルな照射が行える.また,30%~100%の連続調光機能を備える.外付けコントローラによる遠隔操作にも対応する.例えば結晶系の太陽電池セルの評価,色素増感型やCIGS・微結晶型の近赤外域の増感効果についての評価などに利用できる.

 オプションとして,ソース・メータだけで高精度なI-V測定が行える太陽電池I-V測定システム「IVP-0605/IVP-2010」を用意する.必要範囲のステップ間隔を切り替えて,詳細な測定を行えるという.

 

●RGBカラーの立体映像を浮かび上がらせる3Dディスプレイを開発

 ホーリーマインは,360度の全方位から観察可能な3Dディスプレイ「Holo-Table」のデモンストレーションを行った(写真7).RGBカラーの立体映像をテーブルの中央に浮かび上がらせて表示した.ホログラムによる光偏向と高速空間光変調デバイスの特徴を組み合わせたという.例えば,テーブルを囲んだ会議の表示やゲームなどに利用できる.この技術は,豊橋技術科学大学と共同開発した.

 

写真7 ホーリーマインの「Holo-Table」

 

 本システムでは,プロジェクタからテーブル面に3D映像を投影するというシンプルな方式となっている.Tri-Pixelホログラフィック指向性スクリーンが,投影された視差画像をRGBごとに分離し,それぞれ所定の方向に偏向させる.スクリーンを面内回転させることにより,タイム・シーケンシャルにRGBカラーの3D立体動画像が空間上に形成される.

 

きたむら・としゆき


 

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