組み込みソフト開発のしきいを下げる"リアルタイムOS"のすべて
●リアルタイムOSの特徴について
「リアルタイムOSの特徴は時間管理である」といっても過言ではありません.リアルタイム・システムとは,ミリ秒やマイクロ秒オーダでの時間管理が要求されるシステムなのです.しかも,余裕を持って処理を終わらせるだけではなく,決められた時刻ぴったりに処理結果
を出さなければならない場合もあります.
また複数個のCPUが存在する場合,別のプロセスと協調して動かさなくてはいけない要求もでてきます.これらをうまく制御/管理するために考えられたOSがリアルタイムOSなのです.よくできたリアルタイムOSを使えば,かなり楽にリアルタイム・システムを構築することも可能です.開発対象のシステム性能に余裕があれば,利用してみる価値はあるでしょう.
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なお,次の理由から,ファイル管理の話題については,あえて扱わないことにしました.ご了承ください.
1)組み込みシステム向けに大規模なファイル管理システムはあまり使わない
2)組み込みシステム用のデータはハード・ディスクなどの外部記憶装置ではなく,RAMなどの内部記憶装置に蓄えられることが多い
● 組み込みシステムやリアルタイム・システムを構築するにはソフトウェアとハードウェアの知識が必要
OSは,今や欠かせないソフトウェアであるにもかかわらず,「画面デザインや操作方法などの話題に埋もれて,内部のことはよくわからない」という話をよく耳にします.確かに,一般のユーザはアプリケーション・ソフトウェアの使いかたを知るだけで十分です.しかし,システムを作る側の人間は,それだけでは不十分です.
まず,OSの上でプログラムを動かす方法(プログラミング言語やOSの知識)についての知識が必要です.メモリ容量やCPUの性能に制限が多い組み込みシステムを扱う場合,限られた資源でうまくシステムを構築するためにハードウェアの知識も要求されます.ミッション・クリティカルなシステムを構築するには,これらの知識も十分に知っておかなければなりません.
個々のシステムについて詳しく言及はしませんが,どんなシステムにでも通用する基礎的なことを解説するよう心がけていきたいと思います.