米国の組み込み展示会ではPDAが大活躍,日本のケータイはこれからが本番 ――Embedded Systems Conference San Francisco

村上晋一郎

tag: 組み込み

レポート 2001年4月21日

●携帯電話の使い勝手では日本のほうが上

 では,実際に米国において日本の携帯電話はウケルのでしょうか? それにはいくつかの意見があります.「米国人の手の大きさには小さ過ぎる」,「ある程度のずっしり感が好まれる」という意見もあり,手放しで"Welcome"といった感じではありません.アイコンを駆使したヒューマン・インターフェースは,米国のエンジニアから見ると,「このオモチャ,けっこういかしているぜ」という感じで,違う意図で受け取られてしまうようです.そうなると,日本で携帯電話の普及率が一番高い20代~30代には敬遠されてしまう危険がある,とのことでした.

 しかし,かつて日本車が米国で受け入れられた理由を考えると,日本製の携帯電話が受け入れられる素地もあると考えます.低燃費,低価格,高性能,高品質であったため,日本製の車は世界に受け入れられました.日本の製造業の得意とするところは携帯電話にも受け継がれています.

 米国で使用されている携帯電話は,お世辞にもきれいとは言えません.外観は角がどがっておりもちにくく,色は真っ黒で,材質はまさにプラスチックです.筆者が現地で使用した携帯電話は折りたたみ型なのですが,開こうとすると間違ってバッテリを抜いてしまうことが多々ありました.

●Hi! How do you do?で始まるアピール

 じつは今回の展示会で,筆者らが開発した製品をこっそり展示しました.本格的な米国でのプロモーションは2001年9月の「Embedded Systems Conference Boston」で行う予定なので,今回はその予行演習といったところです.米国Fujitsu Microelectronics社のブースの一部をお借りして,製品を展示したのですが,筆者にとっては貴重な体験であり,興奮した3日間でした.日本の展示会ではあたり前のように製品を展示して自分たちの製品をアピールしてきましたが,ここは海外.どうやってアピールしていけばいいのやら....試行錯誤の末,たどりついた結論は単純なものでした.

 "Hi! How do you do?"

 米国のエンジニアにはこれで十分でした.後はとにかくしゃべりつづけることです(自分自身,英語は決してたんのうではないので,よくもこんなことをやっているなと思いつつ,筆者を米国に送り出してくれた上司に感謝!).

 筆者らの製品は組み込みソフトウェア開発支援ツールで,システムの動作をステート・マシンで設計し,その場でシミュレーションしたり,コードを生成するものです.さいわい米国のエンジニアにも注目してもらうことができ,「1回目の興業としてはまずまず」,といった感触でした.

 近い将来,Embedded Systems Conferenceの会場に,さまざまな日本製の組み込み機器が展示されることを期待します.


参考・引用*文献
 (1) Embedded Systems Conferenceのホームページ,http://www.embedded.com/esc/


むらかみ・しんいちろう
murakami@zipc.com
キャッツ(株)

◆筆者プロフィール◆
村上晋一郎.1991年にキャッツ入社後,通信プロトコル・ソフトウェアを状態遷移表で設計.以後,状態遷移表を中核とするCASEツール「ZIPC」の開発に従事.現在はZIPCや,その他のさまざまなツールを開発したり,現場が必要とするツールの企画を行っている.最近,子供が生まれたが,相手をする時間が少ないのが悩みの種.ZIPCに関するURLは「http://www.zipc.com/

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