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Rambus,DDR3以降の次世代メモリを支える同社の高速化・低消費電力技術をアピール,IDF 2009にてXDRのデモも公開

 米国Rambus社は2009年8月20日にプレス向けの説明会を開催し,DDR3 SDRAM(Double Data Rate 3 Synchronous Dynamic Random Access Memory)以降のメモリ技術や,同社独自の高速メモリ・アーキテクチャである「XDR/XDR2」についての取り組みを紹介した.

 次世代メモリは,2011年ころから本格的に利用されると考えられている.2011年以降のコンピュータのメイン・メモリに求められる課題として,同社は「高いデータ転送速度」,「低消費電力」,「スループット向上」,「大容量」,「コモディティDRAM製品の低コスト化」などを挙げた.この背景として,コンピュータ技術に関する二つの流れがある.

 第1の流れは,クラウド・コンピューティングである.CPUのマルチコア化,CPUとGPUの統合,GPGPU(General Purpose GPU)などによる高スループット・コンピューティング,仮想化技術など,クラウド・コンピューティングに対応するためにより高度なプロセッサ技術が求められ,それに伴ってコンピュータのメイン・メモリに対する要求が一段と厳しくなっていくという.

 第2の流れは,消費電力の抑制である.巨大な電力を消費するサーバ・ファームが登場し,低消費電力設計や熱設計への関心が高まっている.また,今後,ネットブックのように電池寿命が問題となる携帯型のコンピュータが増える傾向にある.

 DDR3 SDRAM以降のメモリには,1ピン当たりのデータ転送速度が1.6Gbps~3.2Gbps,メモリ・モジュールの動作時電力が7W未満,待機時電力が0.8W以下,バンド幅が12.8Gバイト/s~25.6Gバイト/sといった性能が求められるという.これらの課題に対して,同社はこれまでに培った「FlexPhase」や「FlexClocking」,「Dynamic Point-to-Point」といった信号処理技術に加えて,新たに開発した「Near Ground Signaling」や「Module Threading」という技術で対応していくという.

 ここでFlexPhaseとは,DRAMとメモリ・コントローラの間の配線(トレース)の特性を考慮して各信号の位相を調整し,データ転送速度の低下を防ぐ技術である.FlexClockingは,メモリ・コントローラ内部のPLLによって生成したクロック信号をDRAMへ供給する技術である.これにより,DRAMにPLLを組み込む必要がなくなり,また低消費電力モードから動作時モードへの切り替え時間が短縮される.Dynamic Point-to-Pointは,複数のメモリ・モジュールを利用する際に,メモリ・モジュールの数に応じて接続を動的に変更し,Point-to-Pointの信号トポロジを維持する方法である.

 また,Near Ground Signalingはシングルエンド信号の接地終端を工夫することで,動作電圧を0.5Vまで下げる技術である.Module Threadingは,メモリ・モジュールを二つのチャネルに分割し,データ・アクセスを並列化することによってバンド幅を引き上げたり,消費電力を低減する技術である.これらの技術を組み合わせることにより,メモリ・システムの総消費電力を40%削減できるという.

 同社の高速メモリ・アーキテクチャであるXDR/XDR2については,GDDR5(Graphics DDR 5)と比較した際の消費電力,データ転送速度,バンド幅などに関する優位性を紹介した.例えばメモリ・コントローラの消費電力は,GDDR5の場合の1/3に抑えられるという.また,XDRでは3.2Gbps~7.2Gbps,XDR2では10Gbps以上のデータ転送速度を実現できる.

 なお,2009年9月22日~24日に米国カリフォルニア州San Franciscoで開催されるIDF(Intel Developer Forum)2009では,同社のBi-Modal XIO 1/2コントローラを搭載したチップとエルピーダメモリの1GバイトのXDR DRAMを組み合わせたメモリ・システムのデモンストレーションを公開する予定.


[図1] 2011年以降のコンピュータのメイン・メモリに要求される仕様


[図2] 低消費電力化のための技術


[図3] IDF2009にてデモンストレーションを行う予定のメモリ・システム

■連絡先
ラムバス株式会社
TEL: TEL: 03-4580-6813
URL: http://www.rambus.com/jp/

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