次々世代の超高精細テレビ「8K」と次世代テレビ「4K」の最新技術を披露 ―― CEATEC JAPAN 2013

　2013年10月1日～5日，電子・情報・通信技術に関する国内最大の展示会「CEATEC JAPAN（シーテック　ジャパン） 2013」が千葉県の幕張メッセで開催された（写真1）．今年も家庭用や個人用などを中心に，生活や社会を変えるエレクトロニクス技術やエレクトロニクス製品などが数多く登場した（写真2）．

写真1　CEATEC JAPAN 2013の会場外観

写真2　CEATEC JAPAN 2013の展示会場風景

●次々世代テレビ「8K UHD」の映像を披露

　NHKとJEITAは共同で，次々世代の超高精細テレビ「スーパーハイビジョン（8K）」の映像技術を披露した．「スーパーハイビジョン（8K）」は「8K UHD（Ultra High Difinition）」とも呼ばれ，画素数が水平7,680画素×垂直4,320画素と極めて多い，超高解像度の映像技術である．全体の画素数は3,317万7,600画素になる．現行のハイビジョン映像（フルHD映像）が207万3,600画素なので，8K UHDの画素数は16倍にも達する．

　展示ブースでは，映画館や劇場などでの視聴を想定した147型の超大型スクリーンと，家庭での視聴を想定した85型の大型液晶テレビでそれぞれ，8K UHD用カメラで撮影した映像を上映していた（なお，撮影禁止となっていたため，写真は掲載しない）．

●次世代テレビ「4K UHD」とフルHDの違い

　現行の地上波デジタル放送などに使われているフルHD映像の解像度は，水平1,920画素×垂直1,080画素である．次世代のテレビと呼ばれているのが，「スーパーハイビジョン（4K）」，「4K UHD」などと呼ばれている映像技術である．解像度は水平3,840画素×垂直2,160画素で，フルHDの4倍の画素数を有する．

　JEITAはNHKとの共同ブースのほかに独自に展示ブースを構え，4K UHDテレビと4K UHD技術を説明するとともに，4K UHDの高精細映像を披露していた．

　4K UHDテレビの受像機には，「4K対応テレビ」と「4Kテレビ」がある（写真3）．4K放送受信用チューナを内蔵しているのは「4Kテレビ」だけだが，日本ではまだ4K UHDのテレビ放送は実施されておらず，それどころか，放送技術規格すら決まっていない．このため，大手テレビ・メーカ各社が販売を始めたテレビ受像機は，4Kテレビ放送の受信チューナを内蔵していない「4K対応テレビ」となっている（地上波デジタル放送やデジタル衛星放送などのフルHD対応受信チューナは内蔵している）．

写真3　「4K対応テレビ」と「4Kテレビ」の違い

　4K UHD映像とフルHD映像の大きな違いは，視野角にある．元々，アナログ放送だった頃のテレビ映像の標準的な視野角は，わずか11度しかなかった．テレビを視聴しているときには気が付きにくいかもしれないが，これは双眼鏡や望遠鏡などを使って観察している状態に近い．一部のテレビ技術者は「のぞき穴」と呼んでいたくらいだ．

　それがフルHD映像では，視野角が約30度に広がった．このため映画に近い，臨場感のある映像を鑑賞できるようになった．現在の地上波デジタル放送で視聴できるのは，このような高品質の映像である．そして4K UHD映像では視野角がさらに広がり，約60度となる（写真4）．このため，映像の臨場感がさらに高まる．ただし，本当の意味で視野角が広がっているのは，4K UHDに対応したカメラで撮影した映像を再生したときだけである．この点は現行のフルHD映像も同じで，撮影するカメラに依存する．

写真4　「ハイビジョン（フルHD）映像」と「4K（4K UHD）映像」の視野角の違い

　それでは放送受信チューナを持たない「4K対応テレビ」の存在意義とは何だろうか．まずはフルHD映像を4K UHD映像に変換（アップコンバート）することで，さらに高品質な映像を観賞できるようになることだ．それから動画投稿サイト「Youtube」は4K（解像度は水平4,096画素×垂直2,304画素）の映像を視聴できるので，4K対応のディスプレイが意味を持つ．JEITAの展示ブースでは，フルHD映像を4K UHD映像に変換した様子を実際に見せていた（写真5）．

写真5　フルHDの映像をアップコンバートした4K UHDの映像

　また，65型以上の超大型液晶テレビでは，フルHDだと視聴者がテレビ画面に近づくことで画素の形状が見えてしまう．画素の形状によって映像がギザギザに見えるという問題がある．4K UHDでは画素が小さいので，超大型の液晶テレビでもギザギザが目立たずに済む（写真6）．

写真6　フルHD映像と4K映像の画素の大きさの違い
4K映像では画素の寸法が小さくなり，画素の形状が目立たなくなる．