HEMS機能を備えたメディア・ゲートウェイやマシン・ビジョン向けのボードを展示 ―― 第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC)
●マイコン・トレーニング・キットで遠隔監視や通信を学ぶ
ルネサス エレクトロニクスは,同社のマイコンを搭載したマルツエレック製のマイコン・トレーニング・キット「MTK-RL78G14」と「MTK-RX63N」を展示した(写真5).
写真5 マルツエレックの「MTK-RL78G14」と「MTK-RX63N」
「MTK-RL78G14」は,最小命令実行時間を0.03125μs~30.5μsの範囲で変更可能なマイコン「RL78G14」を搭載する.内蔵プログラムによって,スマートフォンとの連携やクラウド・システムを利用した遠隔監視,遠隔制御などを学習できる.本キットは,I2C制御,オーディオ入出力,ユーザ・インターフェース制御などの学習にも適している.
「MTK-RX63N」は,EthernetコントローラやUSB 2.0フルスピード(ホスト,ターゲット,On-The-Goから選択),CANなどの通信機能を内蔵したネットワーク機器向けのマイコン「RX63N」を搭載しており,内蔵デバッガ「J-Link OB Lite」を利用して学習できる.
いずれのキットも,3軸加速度センサ,温度センサ,マイクロSDカード・スロット,マイク入力,オーディオ出力などの機能を搭載している.
●産業用コンピュータもSSDを搭載
東芝は,Windows 7に対応した産業用コンピュータ「EC20 model 100」,「FA1100 model 100」を展示した(写真6).
写真6 東芝の「EC20 model 100」(右)と「FA1100 model 100」(左)
「EC20 model 100」はファンレス構造を特徴とした小型コンピュータであり,米国Intel社の1GHz動作のCeleronプロセッサ「807UE」を搭載している.入出力インターフェースとして標準でギガビットEthernetポートを2チャネル,USB 2.0ポートを4チャネル搭載し,CPU・チップセット内蔵のグラフィックス機能を装備する.さらに,2GバイトのECC(Error Check and Correct)付きメモリ,ハードウェア内部を確認する本体状態監視機能を備える.オプションでSSDの搭載も可能.
「FA1100 model 100」は,3.3GHz動作のCore i3プロセッサ(Dual Core)を搭載している.ハード・ディスク装置や冷却ファン,リチウム電池を,本体前面から容易に交換できるという特徴を持つ.入出力インターフェースとして標準でギガビットEthernetポートを2チャネル,USB 2.0ポートを6チャネル搭載し,CPU・チップセット内蔵のグラフィックス機能を装備する(マルチディスプレイ表示も可能).さらに,最大4GバイトのECC付きメモリ,ハードウェア内部を確認する本体状態監視機能を備える.
●Intel Core i7搭載のファンレス・コンピュータを展示
ADLINKジャパンは,2.0GHz動作のCore i7プロセッサを搭載した組み込みコンピュータ「Matrix MXC-6000シリーズ」を展示した(写真7).PCIスロットを二つ装備しており,インターフェースの拡張にも対応している.ファンレス・コンピュータとして設計されているが,ファン・モジュールを取り付けることも可能.
写真7 アドリンクジャパンの「Matrix MXC-6000」シリーズ
本組み込みコンピュータは,マイクロネットのリアルタイムOS「INtime」の導入を前提としたチューニングが施されており,INtimeのライセンス認証メカニズムを標準で装備している.INtimeは,100μs周期の計測や制御処理を行えるリアルタイムOSであり,Windows OSやWindowsアプリケーションをタスクとして取り込んで並行動作させることができる.
きたむら・としゆき