ESEC2013プレビュー企画 ワイヤレス化がすすむ組み込みの無線規格をチェック
tag:
2013年4月14日
ZigBee(IEEE 802.15.4b)
● 沿革
ZigBee規格の変遷を表7に示します.ZigBeeは超低消費電力と低コストを追求した低速無線通信の規格として登場しました.2001年ごろから,IEEEの802.15ワーキング・グループで検討が始まり,2002年には普及団体のZigBee Allianceが設立されました.
物理層とMAC層は802.15で規格が作成され,2003年にIEEE 802.15.4として発行されました(その後,別方式の802.15.4aが追加されたため,現行は802.15.4b).ネットワーク層以上はZigBee Allianceで規格が作成され,2004年にVer.1.0が発表されました.
2006年には機能拡張版のZigBee 2006が発表され,2007年にはセキュリティ管理機能や干渉防止機能を拡張した次世代版のZigBee PRO Feature Setが発表されました.
● 用途・特徴
ZigBeeはコンシューマ,エネルギ管理,医療・ヘルスケア,ホーム・オートメーション,ビル・オートメーションおよびインダストリ・オートメーションなどの分野を主なターゲットとして開発されており,幅広い用途を想定しています.ZigBeeを推進するメーカも民生家電,情報・マルチメディア,計測・制御など極めて多岐にわたっています.
表7 ZigBee規格の変遷
策定(年) | バージョン | 概要,追加機能 |
2004 | Ver.1.0 | 最初のバージョン |
2006 | ZigBee 2006 | ZigBee Feature Set |
2007 | ZigBee PRO | ZigBee PRO Feature Set,セキュリティや干渉防止 |
ZigBeeの規格は,非営利目的に限り,ZigBee AllianceのWebサイト(http://www.zigbee.org/Specifications/ZigBee/download.aspx)で無償ダウンロードできる
● 基本仕様
ZigBee(IEEE 802.15.4)の主な仕様は,表8のとおりです.2.4GHz,915MHz(主に米国),868MHz(主に欧州)の三つの周波数帯を規定していますが,日本では2.4GHz帯だけが使用できます.DSSS(直接スペクトラム拡散)によって無線通信を行い,通信距離は10~70m,データ・レートは20kbps~250kbpsです.
ZigBeeは,無線LANと同様のCSMA/CA方式のアクセス制御を行います.デバイスには65,535個のネットワーク・アドレスを付与できるので,実現できるネットワークの規模は,実用上ほぼ無制限といえるでしょう.
表8 ZigBee(IEEE 802.15.4)の主な仕様
周波数帯 | 2.4GHz,915MHz,868MHz |
伝送方式 | DSSS,FDMA |
最大通信速度 | 250kbps |
最大通信距離 | 70m |
LAN形態 | メッシュ型 |
アクセス制御 | CSMA/CA |
● ネットワーク構成
ZigBeeのネットワーク構成を図3に示します.構成自体はシンプルなのですが,IEEE 802.15.4で物理的なデバイス定義を行い,ZigBeeでは論理的なデバイス定義を行っているのが,ややわかりにくいところです.
ZigBeeのデバイスは論理的にはZigBeeコーディネータ,ZigBeeルータ,ZigBeeエンド・デバイスの三つに分類されます.ZigBeeコーディネータはネットワーク管理機能をもち,ネットワーク内に必ず1台だけ必要です.また,ZigBeeコーディネータとZigBeeルータはデータの中継機能をもち,複数のデバイスと接続できます.ZigBeeエンド・デバイスはデータの中継ができず,上位デバイスとの直接通信しかできません.
ZigBeeのデバイスは,物理的にはFFD(フル機能デバイス)とRFD(サブ機能デバイス)の二つに分類されます.ZigBeeコーディネータとZigBeeルータはFFDであり,RFDはZigBeeエンド・デバイスにしかなれません.
ZigBeeのネットワーク構造は,ZigBeeコーディネータにZigBeeエンド・デバイスがぶら下がるスター型か,ZigBeeコーディネータやZigBeeルータを接続していくピア・ツー・ピア型になります.ピア・ツー・ピア型の場合,ツリー型とメッシュ型のネットワーク構成が可能であり,通信経路の冗長化によって,信頼性の高いネットワークを構築できます.
図3 ZigBeeのネットワーク構成
● プロファイル
ZigBeeでも,さまざまな用途に合わせてプロファイルが定義されています.ただし,ZigBeeの場合は新しいプロファイルをサード・パーティが柔軟に定義でき,さらに定義したプロファイルを規格として提案していくことも行われています.
参考1 CQ出版刊 書籍「超お手軽無線モジュールXBee」
参考2 ZigBee SIGジャパン
以上
(有)宮崎技術研究所 宮崎 仁
http://www.miyazaki-gijutsu.com/
---
tag: Android, ESEC, クラウド, コミュニティ, ストレージ, セキュリティ, ソフトウェア, テスト, ネットワーク, ミドルウェア, 制御, 市場動向, 標準化, 機能安全, 自動車, 通信, 開発手法, 開発環境, 電源