インタビュー[三菱電機]:これからFA制御はインテリジェンスで置き換わっていく! C言語コントローラのそんなことあんなこと

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キャッチアップ 2013年3月13日

  三菱電機株式会社は,2012年夏にC言語コントローラの新機種Q24DHCCPU-Vを発売した.使いやすさや高度な情報処理能力が求められる現代のFAシステムにおいて,C言語によるプログラミングが可能なC言語コントローラは,多彩な活用が可能だという.今回,三菱電機株式会社 名古屋製作所の加藤弘樹氏に「Q24DHCCPU-V」の特徴や優位性,導入事例などについて伺った.─CQ出版社─

 

   
写真左 三菱電機株式会社 名古屋製作所FAシステム部 コントローラ開発課専任 加藤 弘樹氏
写真右 Q24DHCCPU-V →詳しいスペックはこちら

 

はじめに

加藤様のご担当と名古屋製作所について簡単に教えてください
 名古屋製作所では,シーケンサ,表示器,サーボ,インバータなどのFA機器やレーザ加工機,ロボットなどの産業メカトロニクスの製品を製作しています.
 私自身は入社以来,シーケンサ関連製品のソフトウェア開発に携わってきました.現在は,主にお客様のサポートを担当しています.

 

FAシステムとC言語コントローラ

一般的なFAシステムの概略を教えてください
 FAの世界は階層化されています.下位のサーボなどの装置の制御はシーケンサが担っています.シーケンサは,センサからデータを取り込み,制御へのフィードバックを行います.上位にはシーケンサを統括するPCがあり,収集したデータは,さらに上位のサーバに送られる場合もあります.
 

C言語コントローラとシーケンサの違いは
 シーケンサはラダー言語でプログラミングされる場合が多く,今後もそれは続いていくと思います.そのいっぽうで,シーケンサの役割が多様化し,高機能が求められています.これらに対応するため,ラダー言語ではなくC言語でプログラミングする必要が生まれました.三菱電機では2006年からシーケンサの新しい種類としてC言語コントローラを販売しています.つまりC言語コントローラはC言語でプログラミングを行うことで,装置の制御部分と情報処理およびシステム統括部分の両方を担うことができます(図1)

 


図1 FAシステム全体におけるC言語コントローラの概念的なポジショニング
(状況により千差万別で,下位にシーケンサを置くケースもある)

 

 

C言語コントローラ「Q24DHCCPU-V」の特徴

「Q24DHCCPU-V」の特徴は
 「Q24DHCCPU-V」では,システム制御用MPUとは別に,ユーザ・プログラム実行用MPUとしてIntel社のAtomを搭載しています.これにより,情報処理能力が格段に向上しています.
 またPCI ExpressやUSBホストなどの汎用インターフェースに対応しており,お客様が使いたい機能をご自身で追加することができるため拡張性が高い製品となっております.
 

PCベースのシステムに対するアドバンテージは
 まず長期安定供給があげられます.PCの商品サイクルは長くて5年ほどですが,シーケンサのMELSECシリーズでは,20年以上供給している実績があります.
 高信頼性という面では,C言語コントローラにはファンやハードディスクなどの駆動部分がありません.温度差が大きく,振動がある環境にも多く使用されています.さらにPCは小型化に限界がありますが,C言語コントローラは現場に置いても気にならないサイズです.
 また,一般的なPCのOSはバージョンが3~4年で変わっていきます.そうすると周辺機器もそのOSに統一しなければならず,維持管理費が重なってきます.C言語コントローラはリアルタイムOSとして実績のあるVxWorksを搭載しており,そのような心配はありません.また,専用OSならではの安定した動作を実現できます.


FAシステム以外にも応用できそうですが
 C言語コントローラは,FAシステム以外の分野でも使われています.高信頼性が要求される社会インフラ分野において,高速道路の交通量監視システム,河川の水位監視システムなどにC言語コントローラが使われています.メンテナンスが容易でない遠隔地に設置されるPCに置き換わるケースもあります.
 

OS(VxWorks)はプリインストール済み


どのような開発環境が用意されていますか
 C言語での開発環境として,CW Workbenchを用意しています.CW Workbenchはウインドリバー・システムズ社の統合開発環境であるWorkbenchからC言語コントローラの開発に必要な機能だけを切り出したものです.フルセット版と比べて数分の一程度のコストであり,導入しやすくしています.また,ニーズの多いデバッグのためのシミュレーション機能は「CW-Sim」として別に用意しています.
 OSにVxWorksを搭載していますが,C言語コントローラ用にビルドしたカーネルが製品にプリインストールされています.このため,VxWorksのターゲット・ライセンス契約は不要です.

 

今後の展開はパートナを増やす

今後の展開についてお聞かせください
 ユーザ・プログラム実行用MPUとしてAtomを搭載したこと,組込み開発において定評あるVxWorksをOSとして採用したことなどで,C言語コントローラのプラットホームは固まりました.今後はこのプラットホームで利用できるアプリケーションを増やしていきたいと考えています.
 たとえば,SECSという半導体製造装置用の通信規格がありますが,パートナが開発したアプリケーションを使えば,簡単な設定でC言語コントローラがSECS通信ユニッになります.
 現在まだ数社ですが,このようなアプリケーション・ベンダのパートナを募集しています.お客様の利便性を第一に考え,今後もパートナ展開に注力していきます.
 

ありがとうございました.

 

 

C言語コントローラの問い合わせ先


三菱電機株式会社 機器事業部
〒100-8310 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
Tel:03-3218-6610
URL:http://www.MitsubishiElectric.co.jp/fa/



Intel,Intel AtomはIntel Corporationの米国およびその他の国における商標です.
Ethernetは,米国Xerox Corporationの商標です.
VxWorksは,米国ウインドリバー・システムズ社の登録商標です.
 

─CQ出版社─

 

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