新代替フロン採用のエアコンや省電力の冷凍冷蔵庫などに注目 ―― ENEX 2013/Smart Energy Japan 2013
●洗濯乾燥機の消費電力量と使用水量を削減
ドラム式洗濯乾燥機では,消費電力量と使用水量を減らしたモデルをシャープと東芝ホームアプライアンスがそれぞれ展示していた.
シャープのモデル「プラズマクラスター洗濯乾燥機」は,6kgの衣類を洗濯乾燥したときの消費電力量が610Whと低い(写真9).独自機構のヒート・ポンプを導入するなど,乾燥システムを工夫した.温度センサと湿度センサで空気の状態をセンシングし,圧縮機をきめ細かく制御することで,蒸気を外部に放出せずに熱エネルギーを無駄なく循環させる.
写真9 シャープのドラム式洗濯乾燥機「プラズマクラスター洗濯乾燥機」
東芝ホームアプライアンスのモデル「ZABOON」は,6年前の従来機種に比べて,消費電力量を約61%,使用水量を約23%,削減した(写真10).温度センサ,布量センサ,布質センサ,乾燥センサ(温度センサ)を搭載して洗濯時間と乾燥時間,水量を制御している.展示ブースでは,筐体を透明にして内部構造を観察できるモデルも展示していた(写真11,写真12).
写真10 東芝ホームアプライアンスのドラム式洗濯乾燥機「ZABOON」
写真11 「ZABOON」の筐体を透明にしたモデル(背面から撮影)
写真12 「ZABOON」の筐体を透明にしたモデル(側面から撮影)
●インバータ回路の工夫で電力効率を向上
ENEX 2013 / Smart Energy Japan 2013ではさらに,一般社団法人 日本機械連合工業会による優秀省エネルギー機器表彰を受賞した機器も展示されていた.電子機器関連では,太陽光発電システム用パワー・コンディショナや無停電電源,冷凍機内蔵の平形ショー・ケースなどが表彰を受けた.
太陽光発電システム用パワー・コンディショナ(PCS)と無停電電源はいずれも,富士電機が開発したもので,説明パネルが展示されていた(写真13,写真14).
写真13 富士電機の太陽光パワー・コンディショナと無停電電源の説明パネル
写真14 富士電機の太陽光パワー・コンディショナと無停電電源の説明パネル(続き)
太陽光発電システム用PCS「PVI1000シリーズ」は,太陽光発電システムからの直流電力を交流電力に変換する効率が最大で98.5%と高い.無停電電源「7000HXシリーズ」は,効率が最大で97%と高い.いずれの機器も,新開発の3レベル・インバータ回路を搭載している.逆阻止IGBT(RB-IGBT)を組み込むことで,従来の3レベル・インバータ回路に比べて,部品点数を大幅に削減するとともに,導通損失を低減した.
冷凍機内蔵の平形ショー・ケースを開発したのは福島工業である(写真15).DCインバータ制御の圧縮機とデューティ式電子膨張弁の採用によって消費電力を従来機種に比べて35%~54%削減した.また,単相100Vの交流電源で動作するタイプも開発した.従来の冷凍機内蔵平形ショー・ケースは三相200V交流電源が主流で,設置箇所の自由度が低かった.
ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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