新代替フロン採用のエアコンや省電力の冷凍冷蔵庫などに注目 ―― ENEX 2013/Smart Energy Japan 2013
低炭素社会を実現する技術や製品などの展示会「ENEX 2013/Smart Energy Japan 2013」が,2013年1月30日~2月1日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(写真1).省エネルギー技術や省エネルギー製品,再利用可能なエネルギー技術などをカバーする展示会である.
ENEX 2013/Smart Energy Japan 2013では,一般社団法人 省エネルギーセンターによる平成24年(2012年)度の省エネ大賞を受賞した製品が展示されていた.省エネ大賞は,「省エネ事例部門」と「製品・ビジネスモデル部門」に分かれている.家電製品を中心とする省エネルギー機器を対象とするのは製品・ビジネスモデル部門である.平成24年度は家庭用エアコンや家庭用冷凍冷蔵庫,LEDシーリング・ライト,Blu-rayディスク・レコーダ,衣類乾燥用除湿機,ドラム式洗濯乾燥機などが省エネ大賞を受賞した.
●地球温暖化係数の少ない冷媒をエアコンに採用
家庭用エアコンでは,地球温暖化係数の少ない代替フロンを冷媒に採用した「うるさら7」をダイキン工業が展示していた(写真2).「うるさら7」の冷媒は代替フロンの「HFC32(R32)」で,従来の家庭用エアコンに使われていた代替フロン「HFC410A(R410A)」に比べると,地球温暖化係数が約1/3と少ない.
また「うるさら7」では室内機の空気取り入れ口を上面だけでなく,下面にも設けた(写真3).熱交換器の活用効率が大幅に高まるとしている.
●消費電力量を12%削減した冷凍冷蔵庫
家庭用冷凍冷蔵庫では,消費電力量が前年モデルに比べて約12%少ない「真空チルドSL」シリーズを日立アプライアンスが展示していた(写真4).定格内容積が670リットルの大型モデルで比較すると,前年モデルは年間消費電力量が260kWh(キロワット時)であったのに対し,新モデルでは230kWhと減少した.
「真空チルドSL」シリーズでは,冷却器に付いた霜を庫内の冷却に利用する技術や高温冷媒の流路を切り換えて庫内への熱侵入を減らす技術,冷蔵室の冷気の流れ方を収納状況に合わせて自動で切り換える技術などを開発,採用することで消費電力を削減している(写真5).
●電力効率が120 lm/Wと高いLEDシーリング・ライト
LEDシーリング・ライトでは,電力効率が120 lm(ルーメン)/Wと高い「ECOHiLUX」をアイリスオーヤマが展示していた(写真6).丸形蛍光灯を使用したシーリング・ライトに比べて,消費電力が65%減少する.
「ECOHiLUX」では高効率タイプのLEDチップを採用したほか,使用条件(使用チップ数,レイアウト,回路など)を最適化したという.また,明るさセンサが周囲の明るさを検知することで,あらかじめ設定した明るさに自動的に調光する機能を備える.
●年間消費電力量が18.9kWhと少ないBlu-rayディスク・レコーダ
Blu-rayディスク・レコーダでは,年間消費電力量が18.9kWhと少ない「ディーガ」をパナソニック AVCネットワークス社が展示した(写真7).前年モデル(2011年モデル)から消費電力量を約25%減らしている.
2012年モデルでは,通常待機時と高速起動待機時において交直流変換効率が最適になる交直流変換回路を開発したほか,低消費電力サブマイコンの開発,リモコン用低消費電力受光素子の開発,システムLSIの未使用ブロックの停止などによって消費電力を低減した.通常待機時の消費電力は0.02W,高速起動待機時の消費電力は4.1W~4.7Wである.
●消費電力量を40%低減した衣類乾燥用除湿機
衣類乾燥用除湿機では,消費電力量を40%低減したモデル「MJ-120GX」を三菱電機ホーム機器が展示していた(写真8).可動式赤外線センサによって濡れている衣類の位置を把握する.濡れた衣類は乾いた衣類に比べると温度が低いことを利用した.濡れた衣類だけに風を送り,乾いた衣類への送風を遮断することで,電力効率を高めている.
可動式赤外線センサを使わずに2kg相当の洗濯物を乾かした場合に必要な消費電力量は546Whだったのが,可動式赤外線センサを使うと411Whに減り,さらに節電モードを使うことで328Whまで減少する.なお節電モードとは,乾燥の前半では送風のみとし,後半だけ除湿と送風を組み合わせる運転方式である.