4K対応CMOSセンサや広角23倍ズーム・レンズなど，先端技術を詰め込んだ業務用ビデオ・カメラが続々 ―― Inter BEE 2012（国際放送機器展）

●ディジタル一眼レフに3630万ピクセルのCMOSイメージ・センサを搭載

　ニコンは，有効画素数が3630万ピクセルのCMOSイメージ・センサを搭載したディジタル一眼レフカメラ「D800」を展示した（写真7）．CMOSイメージ・センサの外形寸法は35.9mm×24.0mm．光を多く取り込むため，画素サイズを大きくした同社のFXフォーマットを採用している．このCMOSイメージ・センサと画像処理LSI「EXPEED 3」により，ノイズを低減した階調表現を実現した．CMOSイメージ・センサの内部で14ビット A-D変換を行い，得られたディジタル信号を画像処理LSIで16ビット処理することで，ハイライト部分のグラデーションを滑らかに描写している．

写真7　ニコンの「D800」

　CMOSイメージ・センサとは別に，9.1万ピクセルのRGBセンサを搭載している．これにより，光学ファインダ撮影時の「顔認識」の精度が向上した．AF（自動焦点），AE（自動露出），AWB（自動ホワイト・バランス）などの制御に，この顔認識情報やシーン詳細情報を利用している．また本カメラの動画撮影では，1920ピクセル×1080ピクセル，30p（30フレーム/s）の動画を「FXベースの動画フォーマット（被写界深度の浅い美しいボケ味を重視した表現で撮影）」と「DXベースの動画フォーマット（被写体をより大きく撮影）」の二つの撮像範囲を選んで記録できる．

　レンズは，ナノクリスタル・コートと呼ぶ層でコーティングした．これは数nm（ナノ・メートル）～10数nmサイズの微細な結晶粒子からなる低屈折率層で，可視光域（380～780nm）の全領域で反射を防止する．これによりフレアやゴーストを低減している．

　外部インターフェースとして，HDMIミニ端子を備えており，映像をボディ背面の液晶モニタと外部モニタに同時に表示できる．動画ライブ・ビュー時には，動画の記録サイズと同じ解像度（最大1920ピクセル×1080ピクセル）で出力可能．外部マイク入力端子も搭載する．

●最大68チャネルに対応した大型電子看板向けのスイッチャを展示

　アストロデザインは，大型ディジタル・サイネージ（電子看板）システムなどに利用できるディジタル・マトリックス・スイッチャ「メディアインテグレータ MI-2100」を展示した（写真8）．本スイッチャは，入出力ともにディジタル映像信号規格のHDMIに対応する．複数の入力周波数を一つの出力周波数に変換するスキャン・コンバータ機能を内蔵する．また，コンテンツの不正コピーを防止する著作権保護技術であるHDCP（High-bandwidth Digital Content Protection System）にも対応する．

写真8　アストロデザインの「メディアインテグレータ MI-2100」

　入出力はスロット方式となっており，背面の32個のスロットに対して入力インターフェース・ボードまたは出力インターフェース・ボードを接続する．本体には2入力のHDMIポートと2出力HDMIポートを備えている．例えば66入力2出力のシステムや2入力66出力のシステムを構築できる．

　アナログ信号やHDMI以外のディジタル信号の入力機器が接続されることを想定して，アナログVGAやコンポジット，DVI-D，SDIなどの入力インターフェース・ボードを用意する．出力インターフェース・ボードについてはHDCP対応のため，DVI-Dのみとなっている．各インターフェース・ボードは，1枚あたり二つの入力（あるいは出力）映像端子と音声端子を備えている．

　すべての出力端子にフレーム同期の機能を搭載しており，高速映像切り替え，および切り替え時の同期の安定化を実現した．外部リファレンス信号や任意の入力映像信号と同期することも可能．出力端子を複数利用するマルチディスプレイ表示や単面マルチウィンドウ表示などの機能を，出力端子ごとに設定できる．

　このほか，RS-232-C，RS-422，Ethernet，USB，パラレル・ポートなどのインターフェースに対応している．Ethernetについては，Webブラウザによる制御やSNMP（Simple Network Management Protocol）監視を行える．

きたむら・としゆき