放送機器も標準規格が重要,新製品はMPEG HD422やマイクロフォーサーズに対応 ―― Inter BEE 2010(国際放送機器展)レポート

北村 俊之

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レポート 2010年11月19日

 2010年11月17日~19日の3日間,幕張メッセ(千葉市美浜区)にて,放送機器に関する展示会「Inter BEE 2010(国際放送機器展)」が開催された(写真1).海外478社を含む824社(1345小間)が出展した.主催は社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA).


写真1 会場全体の様子

 

 今回で46回目を迎える本展示会は,米国のNAB(National Association of Broadcasters)や,欧州のIBC(International Broadcast Conference)とともに,最先端の放送技術や放送機器を発表する場となっている.最近では,従来型の放送技術だけでなく,通信,IT,音響,ライティングなどの技術展示も増えている.

 前回に引き続き開設された「IPTV・Mobile TV・クロスメディアゾーン」では,放送・通信が融合したIPTV(Internet Protocol Television)関連技術や,ディジタル化完全移行後のビジネス・チャンスが期待されているMobile TV,ディジタル・サイネージ,ディジタル・シネマ,3D分野の最新技術動向などが紹介されていた.

●MPEG HD422を採用した放送機器群を展示

 ソニーは,報道から編集までの幅広いコンテンツ制作を支援する放送機器群「XDCAM HD422シリーズ」のラインナップを展示した.圧縮方式に「MPEG HD422」(MPEG-2 422P@HL準拠)を採用した.記録ビット・レートは50Mbps.4:2:2サンプリングによるフルHD(1920ピクセル×1080ピクセル)映像の記録・再生に対応する.また,1280ピクセル×720ピクセルの映像の記録も可能.音声は,48kHz,24ビット・サンプリング,8チャネルのリニアPCMで記録する.例えばHD 5.1チャネルのコンテンツ制作に利用できる.

 本シリーズは,「PDW-F800(カムコーダ)」(写真2),「PDW-F1600(レコーダ)」,「PDW-HR1(フィールド・ステーション)」(写真3)などから構成されている.レコーダである「PDW-F1600」は,FTP(File Transfer Protocol)のクライアント機能を備えており,パソコンを介さずにファイル転送を行える.転送先のIPアドレスは,三つ登録できる.DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)やAutoIP,UPnP(Universal Plug and Play )に対応し,IPアドレスを自動設定できる.フィールド・ステーション(携帯型編集機器)である「PDW-HR1」は,VTR機器と同じようにジョグ/シャトルを搭載しており,リニア感覚でIn/Out点を指定し,EDL(Edit Decision List)に基づいたカット編集が行える.本機単体のクリップ・リスト編集だけでなく,XDCAMレコーダやHDCAMレコーダなど,RS-422端子を備えたVTRをプレーヤとし,本機をレコーダとしたクリップ・リスト編集にも対応する.編集モードは,上書きとインサートの二つを用意する.


写真2 ソニーの「PDW-F800(カムコーダ)」


写真3 ソニーの「PDW-F1600(レコーダ)」と「PDW-HR1(フィールドステーション)」

 

●業務用HDカメラ・レコーダをマイクロフォーサーズ規格対応に

 パナソニックは,マイクロフォーサーズ規格に対応した業務用HDカメラ・レコーダ「AG-AF105」を展示した(写真4).映画用35mmフィルムとほぼ同等の撮像面積を持つ4/3型MOSイメージ・センサを搭載する.従来のMOSイメージ・センサでは3本必要だった制御用配線を2本に削減して受光部面積を広げ,CCDイメージ・センサに匹敵する高感度を実現したという.


写真4 パナソニックの「AG-AF105」

 

 被写界深度およびフォーカス・レンジもフィルム・カメラに近くなっており,浅い被写界深度を生かしたボケ味の美しいフィルム調の映像が得られるという.また,HD動画撮影に最適化された光学式ローパス・フィルタを搭載する.これにより,高画素イメージ・センサで動画撮影を行った際に発生するエイリアシング・ノイズを低減した.

 HDビデオ撮影専用に開発された画像処理用の18ビットDSPを内蔵する.DRS(Dynamic Range Stretch),ガンマ,12軸独立色補正,ディテールなどの画像補正,および各HD/SD映像フォーマットの変換をこのDSPで処理している.

 記録フォーマットはAVCHD(Advanced Video Codec High Definition)方式を採用した.高画質のPHモードにも対応する.AVCHDは動画圧縮技術のMPEG-4 AVC/H.264 High Profile規格に準拠し,MPEG-2方式の2倍以上の圧縮効率で高画質と低データ・レートを実現できる方式である. 

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