スキャナが読み取りの高速性やモバイル性を競う ―― eドキュメントJAPAN 2012
2012年10月10日~12日,文書情報マネージメントの総合展示会「eドキュメントJAPAN 2012(50th画像情報マネジメントショウ)」が,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).紙文書を効率的に電子データ化するスキャナやディスク複製機などが展示された.主催は社団法人 日本画像情報マネジメント協会(JIIMA).
写真1 会場受付の様子

本展示会は,文書情報マネージメントの普及啓発の場として開催されている.紙文書社会から電子文書社会への移行期である現在は,紙文書と電子文書が混在しているが,本展示会の主催者である日本画像情報マネジメント協会は,これらを組み合わせた業務モデルの実現にも取り組んでいるという.3日間の来場者数は17,446人.
●最大50枚までの原稿を高速に両面同時スキャン
パナソニックシステムソリューションズジャパンは,A4サイズまでの原稿を最大50枚セットして,両面を同時に読み取り可能なドキュメント・スキャナ「Ractory KV-S1026C」を展示した(写真2).下側の原稿から順番に読み取るため,途中で原稿をつぎ足すことも可能.読み取り速度(A4サイズ原稿を200dpiで読み取り)は,モノクロの場合が60ページ/分,カラーの場合が40ページ/分.重送(2枚以上の原稿が重なって搬送される状況)を検知して停止する超音波方式の重送検知機能を搭載している.紙厚が異なる原稿にも対応可能.
写真2 パナソニックシステムソリューションズジャパンの「Ractory KV-S1026C」

スキャンしたデータの送り先をあらかじめ設定しておくことにより,本体のボタンを押すだけで,読み取りおよび送信を開始できる.データの送り先は,フォルダやEvernoteなどの各種クラウド・サービス,スマートフォンなど,自由に設定可能.IDカードや会員カードなど,凹凸のあるカードについても,3枚まで連続で読み取ることができ,またカードと書類を一度に読み取ることもできる.
●タブレット端末とハンディ・スキャナでどこでも読み取り
PFUは,USBバス・パワーで駆動できるハンディ・スキャナ「Scan Snap S1100」を展示した(写真3).WindowsとMac OSに対応している.読み取ったイメージ・データは,EvernoteやGoogleドキュメント,Dropboxなどの各種クラウド・サービスのストレージに直接保存できる.また,パソコンだけでなく,スマートフォンやタブレット端末と連携できる機能を備える.特に,富士通製のタブレット端末「ARROWS Tab」については,USBケーブルで接続するだけでスキャン・データ(JPEG形式)を直接タブレット端末に保存可能.外形寸法は273mm×47.5mm×34mm,重さは350g.A4サイズまでの原稿を読み取ることができる.
写真3 PFUの「Scan Snap S1100」

読み取り速度は1ページ当たり7.5秒(8ページ/分に相当).原稿の傾き補正や向きの補正,原稿のカラー/グレー/白黒判別などを自動で行い,原稿読み取り時の仕分けや設定などの作業は不要.オプションのA3キャリア・シートを利用すれば,A3サイズの原稿も読み取れる.原稿の挿入/排出を検出する機能を備えており,「Scan」ボタンを押した後,連続して原稿を読み取ることができる.
●端まできれいに読み取れるハンディ・スキャナ
NEXXは,中国Avision社が開発したハンディ・スキャナ「Handy Scanner IS19 Plus」を展示した(写真4).外形寸法は258mm×41mm×34mm,重さは約250g.名刺サイズから最大8.5インチ×14インチのサイズまでスキャンできる.解像度は600dpiまたは300dpi.24ビットTrue Colorの形式で読み取る.読み取り速度(A4サイズ原稿を300dpiで読み取り)は1ページ当たり約1.6秒.スキャンした画像はJPEGまたはPDF形式でmicroSDカード(最大32Gバイト)に保存する.
写真4 中国Avision社の「Handy Scanner IS19 Plus」

スキャナの端から2.3mmの位置よりスキャンできるため,厚い本のページもきれいに読み取れる.本体に1.8インチ・カラーLEDディスプレイが搭載されており,スキャンの2秒後には保存したJPEG画像を確認可能.バッテリは単3形の2次電池2本.パソコンやスマートフォンなどとの接続用にminiUSBポートを備えている.
●最大100枚までのCD/DVDを一括複製
エプソン販売は,最大100枚までのCD/DVDへのデータ書き込み,レーベル印刷を一括で行えるディスク・デュプリケータ「PP-100」を展示した(写真5).CD/DVDを50枚まで格納できるスタッカを三つ備えており,書き込みと印刷,ディスクの搬送を自動で行う.スタッカと書き込みドライブ,プリンタ間のディスクの搬送を確実に行うため,独自のアーム機構を採用した.また,ディスクを確実に保持するための独立懸架ピックや,貼りついたディスクをはがす重送防止機構を搭載している.
写真5 エプソン販売の「PP-100」

レーベル印刷には,同社のインクジェット技術と純正インク(6色)を使用している.書き込みデータの定義およびレーベルのデザインは,標準添付の 統合ソフトウェア「Total Disc Maker」で行う.本ソフトウェアには約100種類のテンプレート画像が収録されている.また,本ソフトウェアを使わずに,Adobe Illustratorなどのアプリケーション・ソフトウェアから直接レーベル印刷を行うこともできる.
きたむら・としゆき