3D映像を取り扱う業務用機器や研究成果の発表が続々 ―― デジタルコンテンツEXPO 2011

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2011年10月28日

 2011年10月20日~22日の3日間,日本科学未来館(東京都江東区)にて,ディジタル・コンテンツ産業を対象とした展示会「デジタルコンテンツEXPO 2011」が開催された(写真1).今回で4回目の開催となる本展示会は,ディジタル・コンテンツの分野で仕事をしている研究者やクリエイタ,企業関係者などが一堂に会して議論する場となっているという.主催は経済産業省と財団法人デジタルコンテンツ協会

 

写真1 会場受付の様子

 

 

●放送レベルの3D映像の撮影を2眼式ビデオ・カメラで実現

 パナソニックは,メモリ・カードに3D映像を記録する2眼式の業務用ビデオ・カメラ「AG-3DP1」を展示した(写真2).本ビデオ・カメラは,同社の「P2HD」シリーズの新機種である.2眼式ズーム・レンズの倍率は17倍(目標値)で,ワイド,テレの両側にレンジを広げた.光軸・画角などの撮影前のレンズ調整は不要.フォーカス,ズーム,アイリスについても,左右2眼が同期して作動する.レンズの遠隔操作も行える.2スロット同時記録モードを備えており,2D映像と3D映像を1台で撮影できる.

 

写真2 パナソニックの「AG-3DP1」

 

 撮像素子として,220万画素の1/3型3MOSセンサを搭載する.高画質のAVC-Intra CODEC(MPEG-4 AVC/H.264)と組み合わせることにより,フルHD(1920ピクセル×1080ピクセル)解像度で,10ビット,4:2:2フルサンプルの3D映像を収録できるようになった.複数カメラの同期やディジタル映像信号の伝送距離の延長(最大100m),およびスロー・モーション撮影やクイック・モーション撮影を行うための可変フレーム・レートに対応する.これにより,スポーツ中継から映画制作まで,幅広い用途のメイン・カメラとして利用できるという.

 出荷開始時期は2011年秋を予定している.

 

 

●2D映像をリアルタイムに3D立体映像に変換

 日本ビクターは,2D映像をリアルタイムに3D立体映像に変換する業務用の画像処理装置「IF-2D3D1」を展示した(写真3).本装置は,2D映像を3D立体映像に変換する「2D-3Dコンバータ」,3D映像の撮影や編集作業を支援する「L/Rミキサ」,および3Dカメラの調整補助機能を備えている.

 

写真3 日本ビクターの「IF-2D3D1」

 

 3Dフォーマットは,Line by Line,Side by Side,Above Below,Checkerboardに対応する.入出力として,HD-SDI端子とHDMI端子を備えている.変換後の映像は,HD-SDI×2(L/R独立出力)やHD-SDI(3Dモニタリング出力),HDMI(3Dモニタリング出力)のフォーマットで出力する.

 L/Rミキサは,LとRの映像信号を3Dモニタ表示用の3Dミックス・フォーマットに変換して出力する.3Dカメラの調整補助機能には,波形モニタや映像の分割・回転などの機能がある.また,本装置の機能を拡張する専用ソフトウェア「TS-2D3D1V3」を用意している.

 

 

●複数のKinectを用いて異時間インタラクション・システムを開発

 東京大学大学院 情報理工学系研究科(廣瀬・谷川研究室)は,同一空間上に異なる時刻の景色を重ねて表示することにより,現在と時間的に異なる並行世界を表現するシステム「PRIMA(Parallel Reality-based Interactive Motion Area)」のデモンストレーションを行った(写真4).本システムは,1台のタッチパネル付きサーバ,4台のクライアント・パソコン,および4台のKinect(Microsoft社が発売している体感型ゲーム向けのセンサ・システム)などから構成されている.Kinectはユーザのトラッキングと3次元再構成を行う.Kinectからのデータの収集や処理にはOpenNIを利用した.OpenNIは,Kinectのセンサ機能を開発しているイスラエルのPrime Sense社が公開しているライブラリで,3DセンサやRGBカメラ,赤外線カメラなどの周辺機器,およびモーション認識やジェスチャ認識,背景差分解析などのミドルウェアに対応している.

 

写真4 東京大学大学院 情報理工学系研究科(廣瀬・谷川研究室)の「PRIMA」

 

 各クライアント・パソコンはKinectから画素ごとのRGB,深度などの情報を取得し,ギガビットEthernet経由でUDP(User Datagram Protocol)によりサーバへ転送する.集めた各画素の3次元データに対して座標変換を施し,ポイント・クラウドを描画することで,Kinectで囲まれた空間を再構成する.将来的には,体感型ゲームへの応用が考えられるという.

 

 

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