シロアリ防除や被災者捜索など,お役立ちロボットが大集合 ―― 第3回ROBOTECH
●災害現場で要救助者を探す
極限作業ロボットの開発企業であるハイボットは,災害現場で要救助者を探索するロボット「SORYU-4」を展示し,実際に走行させていた(写真4).「SORYU-4」は直方体の本体にキャタピラを取り付けたモジュールを3個,連接したもの.車幅が16cm,車高が13.2cmと小さく,狭いすき間でもくぐり抜けるように進行する.全長は121cm.照明灯のほかにCCDカメラ,熱イメージ・カメラ,マイクロホン,ガス・センサ,GPS測位センサなどを装備している.
写真4 災害現場で遭難者を探索するロボット「SORYU-4」
また,超高圧送電線を点検するロボット「EXPLINER」をパネルで紹介していた.「EXPLINER」は4輪を備え,送電線をレール代わりにして走行しながら,ビデオ・カメラで送電線を点検する.送電鉄塔で電線を支える懸垂がいしや,ケーブル・スペーサなどの障害物を自動的に回避したり,乗り越えたりする機能を備える.通常,超高圧送電線は送電を停止した状態で専門の作業員が目視で点検する.このロボットを使うと,送電を停止せずに点検が可能になる.
このほか,蛇のようにうねりながら前進および後退するロボットを試作し,実際に動かしてみせていた(写真5).蛇腹のような短い車輪付き本体をいくつも接続してあり,全体でくねるような動作をしながら,前進あるいは後退する.
写真5 蛇のようにうねりながら前進および後退するロボット(開発品)
車輪は本体を支持するだけで,駆動の機能は持たない.
●ロボット・ハンドで風船やニンジンを優しくつかむ
FA機器メーカのダブル技研は,1個のアクチュエータで把持動作を実行するロボット・ハンド「D-Hand TypeA3H」を展示した.指や関節などにアクチュエータを取り付けずに済むので,小型かつ軽量なロボット・ハンドを実現できている.また関節同士が協調的に動作するようにリンク結合しているので,把持力が物体に対して均等に加わるようにできる.さらにアクチュエータが1個なので,耐水性を容易に持たせられる.
展示ブースでは,FA用ロボットの先に「D-Hand TypeA3H」を取り付け,風船や野菜,果物などの柔らかい物体をつかんで移動させるデモンストレーションを実施していた(写真6,写真7).デモンストレーションでは野菜にニンジン(模型),果物にバナナ(模型)を使っていた.説明員によると,野菜ではブロッコリのような複雑な形状の物体,お菓子ではシュークリームのような柔らかな物体でも把持できるという.
●5.7kgで長さが90cmの多関節ロボット・アーム
電子・機械・医療機器の輸入販売代理店である日本バイナリーは,人間の腕のような形状のロボット・アーム「Jaco」を展示し,実際に動かしてみせていた(写真8).「Jaco」は6自由度の多関節アームで,長さが90cmあるにもかかわらず,重量が5.7kgと軽い.しかも制御回路がアームに内蔵されている.このため,電動車いすのような重量制限のある機器にも取り付けられる.
例えば電動車いすを利用している人が腕も不自由な場合に,このロボット・アームを取り付けることで物体を運んだり,拾ったりすることが可能になる.電源は24Vで,電動車いすが搭載しているバッテリの出力に合わせた.
●小型卓上ロボットで手作業の代替を狙う
メカトロニクス機器の開発企業であるKECは,手作業の代替を狙った小型卓上ロボット「RakuRobo」を展示し,動作の実演を行っていた(写真9).本体の大きさは46.6cm×14.2cm×22.5cmである.重量は約10kg.アームは直線動作(35cm),上下動作(5cm),回転動作(360度)の3種類の動作を行う.アームの先には交換可能なチャックが付く.ロボットそのものがチャックを自動的に交換する.チャックには3本指の把持チャックや,吸着チャックなどがある.