ルネサスやIntel社の最新プロセッサを搭載したCPUボードが続々 ―― 第15回 組込みシステム開発技術展(ESEC)

北村 俊之

 組み込み技術の総合展示会である「組込みシステム開発技術展 (ESEC)」が,2012年5月9日~11日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).本展示会は,複合展示会「2012 Japan IT Week 春」の中の一つと位置付けられており,「第1回 ワイヤレスM2M展」,「第2回 スマートフォン&モバイルEXPO【春】」,「第3回 クラウドコンピューティングEXPO【春】」,「第4回 データセンター構築運用展」,「第6回 Web&モバイルマーケティングEXPO【春】」,「第6回 ダイレクトマーケティングEXPO」,「第7回 RFIDソリューションEXPO」,「第9回 情報セキュリティEXPO【春】」,「第14回 データストレージEXPO」,「第17回 データウェアハウス&CRM EXPO」,「第21回 ソフトウェア開発環境展」と同時開催となっている.主催はリード エグジビジョン ジャパン.

 

写真1 会場受付の様子

 

 

●ルネサスR-Mobileプロセッサを搭載した評価ボードを展示

 アットマークテクノは,ルネサス エレクトロニクス製のアプリケーション・プロセッサ「R-Mobile A1」(ARM Cortex-A9,CPUクロック周波数は最大800MHz)と,512MバイトのSDRAM(DDR3-800),8GバイトのフラッシュROM(eMMC)を搭載した評価ボード「Armadillo-800 EVA」を展示した(写真2).

 

写真2 アットマークテクノの「Armadillo-800 EVA」

 

 本ボードは,静電容量方式のタッチパネルを備える5インチ液晶ディスプレイ(WVGA)の搭載,ディジタルHD出力,3.1MピクセルのCMOSカメラ・モジュールの搭載など,マルチメディア機能が充実している.また,IEEE 802.11b/g/n準拠の産業用組み込み機器向け無線LANモジュール「Armadillo-WLAN(AWL13)」を標準で搭載する.入手しにくいモジュールを一式取りそろえており,さまざまな機能を一度に評価できるという.

 今後,本ボードをベースに,Full HD対応の大画面出力モデル,高性能カメラ対応モデル,ポータブル端末対応モデルなど,マルチメディア機能を生かした実用的な量産モデルを2012年夏以降に順次提供する予定.

  

 

●画像処理用キャリア・ボードがCameraLinkと光伝送の両方に対応

 アバールデータは,CameraLinkインターフェースと光インターフェースの両方を備える画像キャリア・ボード(ベース・ボード)「ASB-1300」を展示した(写真3).Mini-ITX規格(170mm×170mm)に準拠する.本ボードは,COM Express(Type2)に対応したCPUモジュール(Intel Core i7/i5/Celeron)などと組み合わせて利用する.

 

写真3 アバールデータの「ASB-1300」

 

 本ボードは,Power over CameraLink規格(BASEコンフィギュレーション)SDRコネクタを2個搭載しており,さらに光ファイバ・コネクタも2個搭載できるようになっている.また,画像入力制御用GPIOとフォトアイソレーションDIO(入力16点/出力16点)の各インターフェースをそれぞれ1チャネルずつ備えている.このほか,RJ45 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tを2チャネル,USB(TypeA)を4チャネル,アナログVGAを1チャネル備える.さらに,PCI Express×16拡張スロットも1ポート用意する.

 本ボードの光インターフェースは,Opt-C:Linkカメラの取り込み用だけでなく,装置間通信用のインターフェースとしても利用できる.この機能を利用すれば,CameraLinkインターフェースから取り込んだ画像を,複数のASB-1300ボードに分配転送し,分散処理することができる.

 

 

●COM Expressシステム・オン・モジュールに第3世代Core i7を採用

 アドバネットは,第3世代のIntel Core i7-3615QEプロセッサを搭載したCOM Express準拠のシステム・オン・モジュール「Adbc80xx」を参考展示した(写真4).Intel社のTurbo BoostやHyper Threadingなどに対応する.PICMG COM.0 Rev2.0準拠で,CPUとメモリの組み合わせの異なる3タイプ(SV/LV/ULV)を用意する.

 

写真4 アドバネットの「Adbc80xx」

 

 メイン・メモリとして,ECC対応のDDR3-1600(4Gバイト)またはDDR3-1333(2Gバイト)を搭載する.外形はBasic Moduleサイズ(125mm×95mm)で,Type 6のピン・レイアウトに対応する.PCI Expressインターフェースについては,レーン数2のリンクが2ポートとレーン数1のリンクが2ポートの計4ポート,またはレーン数4のリンクが1ポートのいずれかを切り替えて使える.さらに,3ポートのグラフィックスDDI(DisplayPort/HDMI/DVI)インターフェース,2ポートのUSB 2.0インターフェース,2ポートのUSB 3.0インターフェース,1ポートのギガビットEthernet(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)インターフェースを備えている.

 OSは,Windows 7,Windows Embedded Standard 7,Wind River Linuxに対応予定.

 一方,PFUは,COM Express(Type 6)に対応したシステム・オン・モジュール「AM120 モデル210H」を展示した(写真5).第3世代のIntel Core i7プロセッサとMobile Intel HM76 Expressチップセットを搭載する.Intel社のTurbo Boostに対応し,DDR3メモリを最大8Gバイトまで搭載可能.DDR3-1600用のポートを2スロット備える.また,ギガビットEthernet(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)インターフェース,SATA/600インターフェース,USB 3.0インターフェースに対応する. 

 

写真5 PFUの「AM120 モデル210H」

 

 対応OSはWindows 7とLinux.工作機械や医療用機器,ネットワーク機器,ディジタル・サイネージ,放送・映像機器などの開発に利用できるという.

 

 

1  2  »
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日