ものづくり系ホビーを支えるハイテク・ミシンや電動木彫機に注目 ―― 第36回 2012 日本ホビーショー

北村 俊之

tag: 電子回路

レポート 2012年5月 7日

 さまざまなジャンルのホビーを一堂に集めた展示会「第36回 2012 日本ホビーショー」が,2012年4月26日~28日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).本展示会には,「ニットWORLD」,「ファブリック&ソーイングWORLD」,「Decor&ビジューWORLD」,「フォト&スクラップ・コラージュWORLD」,「DIY・ホームデコWORLD」,「CREATE YOUR STYLE ビーズ&デコ・アクセサリーWORLD」という六つのエリアが設けられていた.手作りによって自分を表現したいと考える消費者が会場で実際に"ものづくり"を体験し,その反応や声をビジネスにフィードバックする"2ウェイ・マーケティング"の場としても活用されていた.

 

写真1 会場入口の様子

 

 主催は一般社団法人 日本ホビー協会.同時開催は「第5回 ホビークッキングフェア2012」(同協会と社団法人 流通問題研究協会との共催).

 

 

●ローラ アシュレイ監修の刺しゅうデータを内蔵

 ブラザー工業は,ローラ アシュレイ(Laura Ashley)監修の刺しゅうデータ(39種類,50模様)を備えるソーイング・ステーション「Innovis(イノヴィス)5000(ローラ アシュレイ モデル)」を展示した(写真2).ローラ アシュレイは1953年に英国のロンドンで設立され,現在,30カ国以上の拠点を持つグローバル・ブランドである.「英国のライフスタイルを提案」をコンセプトに,オリジナルのテキスタイル(図案)を使用したカーテンやソファ,家具などのインテリア製品,レディース・ウェア,ギフト・アイテムなどの商品を取り扱っている.

 

写真2 ブラザー工業の「Innovis(イノヴィス)5000(ローラ アシュレイ モデル)」

 

 本ソーイング・ステーションは,ボタンを押すだけで糸通しができる「オートマチック糸通し機構」,および最大30cm×18cmの広い刺しゅうエリアを備えている.また,直感的に操作できるタッチパネル式のカラー液晶ディスプレイを搭載する.

 刺しゅうエリアでは,大きな刺しゅうだけでなく,複数種類の模様の組み合わせやレイアウト編集も行える.刺しゅう枠は4種類を用意する.また,先端がオープン形状で針元や下絵が見やすい「オープントゥキルト押さえ」や,レザーや綿の入ったキルティングをズレなく送れる「ウォーキングフット」など,キルタに必須の機能も備えている.2012年1月に出荷を開始した.価格は63万円.

 

 

●粘土などの素材からスイーツを作る

 タミヤは,粘土などの素材からスイーツの模型(食品サンプル)を作るキット「タミヤデコレーションシリーズ」を展示した(写真3).スイーツ・デコレーション(スイーツデコ)は,ケーキやクッキーなどのスイーツを紙粘土などで制作する,女性の間でここ数年人気のホビーである.ミニ四駆やミリタリ模型などで知られる同社は,このスイーツデコ用の材料やツールを製品化し,2011年の夏ごろから製品化しているという.

 

写真3 タミヤの「タミヤデコレーションシリーズ」

 

 同社のブースでは,実演が行われていた(写真4).まず「タミヤ樹脂粘土 フルーツ作りの達人」あるいは「タミヤ軽量粘土 生地作りの達人」で生地を作る.次に「形づくりの達人」(チョコレート型,マカロン・タルト型,マドレーヌ型,クッキー型の4種)に,あらかじめ「タミヤ離型材 粘土はがしの達人」を塗っておき,粘土を入れる.「タミヤ離型材 粘土はがしの達人」を塗っておくと,粘土が固まる前に型から取り出すことができ,作業の効率化につながるという.粘土は1日程度で乾燥し,クッキーのような軽い生地になる.できあがった生地に,化粧品のようなパッケージとスポンジ,筆からなる「焼き色の達人」で着色すれば完成である.

 

写真4 「タミヤデコレーションシリーズ」のデモンストレーション

 

 同シリーズとして,このほかにホイップ・クリームを簡単に表現できるチューブ入りのペースト素材「ホイップの達人」,砂糖や粉砂糖を表現する「トッピングの達人」,各種ミニチュア食器なども発売している.

 

 

●1/5以下の力,2~5倍の速度で木を彫る

 東京オートマックは,高速微小振動の電動木彫機「ハンドクラフト HCT-30」シリーズのデモンストレーションを行った(写真5).この電動木彫機はアルミダイカスト製の小型モータを内蔵したハンディ・タイプで,家庭用100Vの電源で使用できる.安全クラッチ機構が付いており,先端を材料に押し当てた時だけカットできるようになっている.そのため,作業中にスイッチをON/OFFする必要はない.木や軟石(例えば硯石),プラスチックなどの彫刻,磨き,盆栽,真柏や杜松・梅などの神・舎利作り,鉢の穴(孔)開け,水石台座作りなどに利用できる.

 

写真5 東京オートマックの「ハンドクラフト HCT-30」シリーズ

 

 振動タイプの「HCT-30A」は,モータ部,振動ヘッド(彫刻刃物専用チャック),彫刻刃物(5枚組),スパナ,ハンガがセットになっている.振動・回転両用タイプの「HCT-30S」は,前述の5点に加えて,回転ヘッド(1mm~6mmのチャック・ハンドル付き),回転工具(木工カッタ,ペーパコーン,軸付き砥石など8本組),マルチホルダ(彫刻刃物専用)がセットになっている.回転ヘッドに交換し,別売りの超硬ディスク・カッタやタングステン・バーなどの先端工具を組み合わせることで,ミニサイズのディスク・カービング・マシンとしても利用できるという.

 

 

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