ミラーレス一眼が人気,Wi-Fi対応やプロジェクタ内蔵のコンパクト・デジカメにも注目 ―― CP+(Camera & Photo Imaging Show) 2012

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2012年2月17日

 2012年2月9日~12日の4日間,ディジタル・カメラや映像機器などについての総合展示会「CP+(Camera & Photo Imaging Show) 2012」がパシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された(写真1).本イベントは,「日本カメラショー」の時代から数えて50年を超える歴史を持つ,アジア最大級の総合展示会である.世界のディジタル・カメラ販売台数における日本メーカのシェアは約80%,レンズ交換タイプのディジタル・カメラでは99%を超えている.その意味で,日本のメーカは世界の写真・映像ビジネスをけん引しているといえる.

写真1 会場受付の様子

 

 最新のカメラや話題の映像機器に直接触れ,体験できるということもあり,開催初日の一般公開時間(正午)前には,会場入口に来場者の長蛇の列ができていた.全体的な印象としては,昨年から話題となっている「ミラーレス一眼」タイプのディジタル・カメラの展示が目立っていた.また,まだ数は少ないが,無線LAN(Wi-Fi)に対応した機種も注目を集めていた.逆に,ビデオ・カメラなどの映像関連機器の展示は,昨年より減っているように見えた.

 主催は,一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)

 

●昨年に続いてミラーレス一眼の新製品が人気

 CP+ 2012では,富士フイルム,オリンパスイメージング,ペンタックスリコーイメージングなどがミラーレス一眼のディジタル・カメラを展示した.

 富士フイルムは,フルサイズ・センサ搭載機に近い画質をAPS-Cサイズで実現したレンズ交換式ディジタル・カメラ「X-Pro1」,および交換レンズ「フジノンXFレンズ」を展示した(写真2).X-Pro1は,高画質と高品位な質感にこだわったディジタル・カメラ「Xシリーズ」の新機種である.

写真2 富士フイルムの「X-Pro1」

 

 本ディジタル・カメラは,有効画素数が1630万のAPS-Cサイズの「X-Trans CMOSセンサ」を搭載する.粒子が不規則に並ぶ銀塩フィルムの構造からヒントを得て,カラー・フィルタを非周期性の高い配列(6ピクセル×6ピクセル)にし,光学ローパス・フィルタなしでモアレや偽色の発生を抑えている.

 レンズ・マウントには,レンズ後端からセンサまでの距離(バック・フォーカス)を短縮できる,独自の「Xマウント」を採用する.これにより,周辺光量の低下を防いでいる.またファインダについては,従来機種の「X100」に搭載していた「ハイブリッドビューファインダー」をレンズ交換式システムに対応させた「ハイブリッドマルチビューファインダー」を搭載する.光学ファインダ(OVF)と電子ビュー・ファインダ(EVF)を状況に応じて切り替えて使用できる.また装着するレンズの焦点距離に合わせて,光学ファインダの倍率(広角用/標準用)とフレームのサイズをカメラが自動選択する機能を備えている.

 交換レンズについては,3種類の単焦点レンズ(f=18mm/35mm/60mm)を販売する.

 一方,オリンパスイメージングは,1972年に登場した「OMシリーズ」を継承したミラーレス一眼ディジタル・カメラの新機種「OM-D E-M5」を展示した(写真3).有効画素数が1605万の4/3型 Live MOSセンサを搭載し,ノイズの低減やダイナミック・レンジの拡大を図ることで,階調再現力を向上させた.静止画の最高感度はISO 25600相当.

写真3 オリンパスイメージングの「OM-D E-M5」

 

 画像処理エンジンとして「TruePic VI」を搭載しており,連続撮影時のレスポンスが格段に向上したという.画像処理の方式は,同社の「E-5」などで採用されている「ファインディテール処理」を継承した.再現が難しかった特定色(エメラルド・グリーンなど)を鮮やかに再現する「リアルカラーテクノロジ」にも対応している.

 本ディジタル・カメラは,同社のレンズ交換式カメラとしては初めて電子ビュー・ファインダを搭載している.144万ピクセルの液晶パネルを備えており,視野率は100%,最大倍率は1.15倍で,アイ・ポイントを18mm確保している.アイ・センサを搭載し,背面モニタと電子ビュー・ファインダの表示が自動で切り替わる.表示タイム・ラグを最短約0.03秒に抑える高速表示モードも備えている.

 ボディ内部には,5軸対応の手ブレ補正機構(上下左右方向の角度ブレ,水平・垂直方向の並進ブレ,回転ブレ)を内蔵する.静止画撮影時だけでなく,動画撮影時にも手ブレ補正が働く.背面のディスプレイは3.0インチ型,約61万ピクセルの有機ELモニタで,タッチ操作に対応する.上向きは80度まで,下向きは50度まで角度を変えられる.

 レンズ・キットに含まれる「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ」は防塵・防滴構造になっている.別売のフォーサーズ・アダプタ「MMF-3」などのアクセサリを使うと,フォーサーズ・システム規格の防塵・防滴仕様レンズを装着することも可能.静止画撮影のほか動画撮影も可能で,フルHD撮影に対応している.ファイル・フォーマットはMOV形式.720p撮影であればAVI形式でも記録できる.記録媒体はSD/SDHC/SDXCメモリーカード.

 ペンタックスリコーイメージングは,Kマウントを採用したレンズ交換式ディジタル・カメラ「PENTAX K-01」を展示した(写真4).本ディジタル・カメラはインダストリアル・デザイナのMarc Newson氏がデザインした.APS-Cサイズ相当のCMOSセンサを搭載しており,有効画素数は約1628万.

写真4 ペンタックスリコーイメージングの「PENTAX K-01」

 

 画像処理エンジンとして「PRIME M」を内蔵しており,感度はISO 100-12800相当.カスタム設定時には最高ISO 25600まで増感可能.HDR(High Dynamic Range)で3モードから露出幅を選べる.動画圧縮方式はH.264/MPEG-4 AVCで,最大1920ピクセル×1080ピクセル,30フレーム/sの動画記録に対応する.

 液晶モニタは3インチ型,約92万ピクセルの固定式.記録メディアにはSDXC/SDHC/SDメモリーカードを利用する.ダイヤル類はアルミ製で,ペンタ部にポップアップ式の内蔵ストロボを収納する.本体底面にはMarc Newson氏のサインが入っている.

 レンズ・キットには「smc PENTAX-DA 40mm F2.8 XS」が,ズーム・レンズ・キットには「smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6 AL」が付属する.ダブル・レンズ・キットには,ズーム・レンズ・キットの「smc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6 AL」に加えて,「smc PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 ED」が同梱される.既存の一眼レフ・カメラ用レンズをそのまま使用できる.レンズ・マウントはKAF2マウント.

 本体色は,ブラック×ブラック,ブラック×イエロー,ホワイト×ブラックの3パターンを用意している.

 

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