変型,コンパクト,3D,レトロなデジカメに注目が集まる ―― CP+(Camera & Photo Imaging Show)2011 レポート

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2011年3月 4日

 2011年2月9日~12日,フォトイメージングの総合イベント「CP+(Camera & Photo Imaging Show)2011」がパシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された(写真1).主催はカメラ映像機器工業会(CIPA).

写真1 会場受付の様子

 本展示会は,カメラやレンズ,フォトプリンタ,フォト・アクセサリ,望遠鏡などの写真映像関連商品,および最新技術を紹介する場となっている.昨年(2010年)を上回る99社/団体が出展した.また,地元である横浜市と連動したイベントも実施された.協賛の飲食店や文化施設での入場割引やサービス提供のほか,日本広告写真家協会による「APAアワード・第一回アジア広告写真展」(みなとみらいギャラリー),「京浜工場夜景とみなとみらいクルーズ」船上撮影会(ぷかり桟橋),「春節フォトコンテスト2011」(横浜中華街),「報道写真展」(日本新聞博物館)などの写真関連イベントが行われた.

 

●デジカメのフレームが360度回転

 カシオ計算機は,多様な撮影スタイルを楽しめるコンパクト・ディジタル・カメラEXILIMシリーズの新製品「EX-TR100」を展示した(写真2).レンズ部を中心にフレームが360度,モニタ部分が270度回転するため,自分の写真や集合写真,動画など,撮影方法に合わせてカメラの形状を自在に変えることができる.

写真2 カシオ計算機の「EX-TR100」

 

 撮影や画像処理を高速に行うため,マルチCPUと二つの画像処理回路,リコンフィギャラブル・プロセッサを内蔵した「EXILIMエンジンHS」を搭載している.これにより,露出の異なる連写画像を合成する機能や,画像合成時に彩度やコントラストの強弱を局所的に調整する機能を実現している.ディスプレイはタッチパネルを採用.被写体の動きに合わせてシャッタを切るモーション・シャッタ機能なども搭載している.動画の解像度は1920ピクセル×1080ピクセルのフルハイビジョンに対応している.

 

●コンパクトな一眼レフ・カメラが人気

 昨年より話題となっているコンパクト・ディジタル一眼レフ・カメラ(マイクロ一眼カメラ,ミラーレス一眼カメラ)は,今回も来場者の関心が高かった.オリンパスイメージングは,「PEN Lite E-PL1」や「PEN Lite E-PL1s」の後継機種となる「OLYMPUS PEN Lite E-PL2」を展示した(写真3).3型46万ドットの液晶モニタを搭載し,SDHC/SDXCメモリ・カードに対応している.カメラを被写体に向けるだけで最適なモードで撮影が行える「iAUTO」や,「色の鮮やかさ」,「色合い」,「明るさ」,「背景をぼかす」,「動きを表現する」の五つの項目について液晶モニタを見ながら調節できる「ライブガイド」の機能を備える.ライブガイドは動画撮影時にも利用できる.

 撮像素子は,4/3型,有効1230万画素のハイスピードLive MOSセンサを搭載している.センサ・シフト方式の手ぶれ補正機能や防塵対応機能を備え,最大感度はISO 6400に相当する.動画記録は1280ピクセル×720ピクセルで,フレーム・レートは30フレーム/s.圧縮方式はMotion JPEG対応で,ストロボも内蔵している.オプション・アクセサリの「OPYMPUS PENPAL PP-1」をアクセサリ・ポートに装着することで,写真をBluetooth機能搭載のスマートフォンやPENPALを搭載したE-PL2に転送可能となっている.

写真3 オリンパスイメージングの「OLYMPUS PEN Lite E-PL2」

 

 パナソニックは,「DMC-GF1」の後継機種で,ボディをひとまわりコンパクトにした「LUMIX GF2」(DMC-GF2)を展示した(写真4).撮像素子として有効画素数が1210万のLive MOSセンサを搭載しており,動画機能は1,920ピクセル×1,080ピクセル(フルハイビジョン)のAVCHDとなっている.記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリカードに対応する.ボディの小型化を実現するため,ボディ天面のモード・ダイヤルがなくなり,背面のボタン類も減った.操作のほとんどは液晶モニタ上に装備されたタッチパネル機能で行うことになる.

写真4 パナソニックの「LUMIX GF2」(DMC-GF2)

 

 フルオートの「おまかせiA」の新機能として,背景のぼかし具合いをスライダで調節できる「タッチぼかしコントロール」機能が追加されている.また,モニタ画面上の任意の被写体に触れるだけでピントが合ってシャッタが切れる「タッチシャッター」や,ピントだけを合わせる「タッチフォーカス」などの機能を備えている.メニューのカスタマイズが可能な「タッチクイックメニュー」も用意する.また,オプションの3Dレンズ「H-FT012」を利用することで,3D撮影を楽しむことも可能(写真5).いずれの機種も女性来場者の人気を集めていた.

写真5 「LUMIX GF2」に3Dレンズ「H-FT012」を付けたところ

 

●動画撮影に対応した3Dデジカメが登場

 富士フィルムは,3Dディジタル・カメラ「FinePix REAL 3D W1」の後継機種である「FinePix REAL 3D W3」を展示した(写真6).3D動画記録において1280ピクセル×720ピクセルのハイビジョン・サイズに対応し,撮像素子は1/2.3型,有効1,000万画素のCCDを二つ搭載する.感度はISO100~ISO1600となっており,レンズについては35mm判換算で焦点距離35-105mm相当の3倍ズームを搭載している.また,動画記録用にステレオ・マイクを装備している.液晶モニタは,3.5型ワイド,115万ドットのレンチキュラ・レンズ方式を採用する.レンチキュラ・レンズ方式は,モニタ表面に微細な凸レンズを並べることで両眼視差を生み,立体感を感じさせる技術で,これにより3D眼鏡を利用せず裸眼のままで3D映像を見ることができる.

写真6 富士フィルムの「FinePix REAL 3D W3」

 

 3Dオート撮影時には,自然な立体感を実現するため,カメラが自動で視差を調整するほか,天面の視差調節レバーによりマニュアルで視差を調整することも可能.撮影時だけではなく再生時にも,液晶モニタを見ながら立体感の強調や画像のズレを修正できる.2D撮影時は,二つのレンズを有効利用した「ツインカメラモード」として,「テレ/ワイド同時撮り」,「2カラー同時撮り」,「高/低感度同時撮り」の機能を利用できる.

 

●レトロ感覚のコンパクト・デジカメを展示

 富士フィルムは,固定式単焦点,開放値F2レンズを搭載したコンパクト・ディジタル・カメラ「FinePix X100」を展示した(写真7).撮像素子にAPC-Sサイズ相当(23.6mm×15.8mm),有効1,230万画素のCMOSセンサを搭載する.レンズは35mm判換算で35mm相当(実焦点距離23mm),開放F2の単焦点レンズを採用している.レンズ構成は6群8枚で,両面非球面レンズを1枚使用し,すべての凸レンズに高屈折ガラスを使用している.動画記録は,最大1280ピクセル×720ピクセル,24フレーム/sのハイビジョン動画の撮影が可能となっており,HDMI端子も装備している.

写真7 富士フィルムの「FinePix X100」

 本カメラの大きな特徴の一つは,光学ファインダと電子ビュー・ファインダの切り替えが可能な「ハイブリッドビューファインダー」を備えていることである.光学ファインダは逆ガリレオ式を採用している.採光式ブライト・フレームの構造をベースに,144万画素の液晶パネルを配置することで,光学ファインダ内に液晶パネルの撮影情報などを表示できる.また,採光式より文字をシャープに表示できる.二つのCPUコアとEXR Core,リコンフィギャラブル・プロセッサで構成される独自プロセッサ「EXRプロセッサ」を搭載し,高解像度,高感度,低ノイズを実現している.

 

●ムービーとカメラが高度に融合

 日本ビクターは,ディジタル・カメラとビデオ・カメラを融合させたHDハイブリッドカメラ「GC-PX1」を展示した(写真8).本カメラは,高画質の画像処理エンジン「FALCONBRID」を搭載しており,60コマ/s,最大144枚の高速連写や,2時間連続,300フレーム/sのハイスピード撮影を実現している.最大36Mbps,1920ピクセル×1080ピクセル,60pのプログレッシブ方式によるフルハイビジョン動画撮影を行える.1/2.3型,1062万画素のCMOSセンサを搭載しており,レンズは,光学10倍ズームの「コニカミノルタHDレンズ」を採用している.感度はISO 6400まで対応する.有効画素数は動画で576万画素,静止画で998万画素となっている.記録媒体は32Gバイトの内蔵メモリとSDXC/SDHC/SDメモリカード,およびEye-Fiカード.動画の保存形式は,MPEG-4(H.264).液晶モニタはタッチ操作が可能.3型ワイド,23万画素で,上下に180°回転するバリアングル方式の液晶モニタを採用する.

写真8 日本ビクターの「GC-PX1」

 

きたむら・としゆき

 

 

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