省エネ性能を一段と高めた冷蔵庫や扇風機,エアコンが一堂に ―― ENEX 2012/Smart Energy Japan 2012
●スマート・ハウスを集合住宅で実験
最近では個々の家電製品の省エネだけでなく,住宅内の機器を総合的に管理して省エネを実現する「家庭用エネルギー管理システム(HEMS)」に注目が集まっている.HEMSを組み込んだ住宅は「スマート・ハウス」または「スマート・ホーム」などと呼ばれる.
東京ガスは,HEMSを組み込んだスマート・ハウスの集合住宅を神奈川県横浜市磯子区に建設し,2012年春から2015年春にかけて実証実験を実施する.その概要をパネル展示していた(写真15).
写真15 集合住宅版スマート・ハウスの概要
建設する集合住宅は鉄筋コンクリート造り,地上4階,地下1階.戸数は24戸である.太陽光発電システム(25kW),太陽熱利用のガス温水システム,家庭用燃料電池を備え,統合制御システムによって住戸間で電力を融通する.各住戸はHEMSを備えており,発電情報や消費エネルギー情報などをモニタで確認できる.またHEMSのリモコンを通じて照明器具のON / OFFやエアコンのON / OFF / 温度調整,風呂の湯はり/温度設定,などの操作が可能である.
大阪ガスは,一戸建てのスマート・ハウスを奈良県北葛城郡王寺町に建設し,2011年2月から居住実験(大阪ガスの社員家族が居住)を始めている.その概要をパネル展示していた(写真16).建設したスマート・ハウスは軽量鉄骨造り,2階建て,間取りは4LDKである.発電関連設備としては太陽電池(5.08kW),家庭用燃料電池(700W),リチウムイオン蓄電池(容量3.5kWh,出力1kW)を備える.照明はLED照明,乗用車は電気自動車(容量16kWh)である.
写真16 一戸建てのスマート・ハウスによる居住実験
●海洋温度差発電の技術を工場に応用
このほか変わったところでは,海洋温度差発電の技術ベンチャであるゼネシスが,工場の排熱を利用した温度差発電を提案していた(写真17).従来はそのまま捨てられていた,200℃以下の排熱を利用した発電が可能になるという.
写真17 温度差を利用した発電の仕組み
温度差発電の仕組みは熱交換を応用したもの.低沸点の液体(アンモニアと水の混合液)を作動流体として使い,高温側の蒸発器で気体に変化させる.この気体でタービンを回すことにより発電する.発電後の作動流体は低温側の凝縮器で液体に戻す.液体に戻した作動流体は,ポンプによって蒸発器に送り込む.発電した電力の一部が,ポンプを動かす電力となる.
ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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