LED照明の次を狙う『有機EL照明』の製品化が始まった ―― 第4回次世代照明技術展

福田 昭

tag: 半導体 電子回路

レポート 2012年1月23日

●ハンガー型や行灯型を展示

 パネル・コンピュータや照明器具などの開発企業であるタカハタ電子は,有機ELパネルを内蔵した小型照明の参考展示を行った.一つは「HANGER」と呼ぶ照明器具で,衣服用ハンガーのようにフックを備えており,吊り下げられる(写真6).もう一つは「VANITY」と呼ぶ製品で,行灯(あんどん)のように床や机に置いて使う(写真7).

 

写真6 衣服用ハンガーのように吊り下げる有機EL照明「HANGER」

 

写真7 行灯のように置いて使う有機EL照明「VANITY」

 

 いずれも有機ELパネルは,照明用有機ELパネルの専業メーカであるLumiotec(ルミオテック)が開発したもの.タカハタ電子は,有機ELパネルを駆動する基板と制御する基板を開発した.なおルミオテックとタカハタ電子はいずれも,本社を山形県米沢市に構える企業である.

 展示ブースで配布していた資料によると有機ELパネル(昼白色)の輝度は2,700カンデラ/m2,消費電力(定格電力)は9.5W,駆動電圧(定格電圧)は10.5V,色温度は4,900ケルビンである(いずれも設計仕様).


●ペンダント照明やスタンド照明などを提案

 照明器具の販売企業であるDNライティングは,有機ELを搭載した各種の照明器具の参考展示を行った.ペンダント照明やスタンド照明,棚下照明,天井用補助照明などである(写真8).白色光有機ELパネルだけでなく,青色光や黄色光,緑色光などに発光色を変えられる有機ELパネルも使われていた.

 

写真8 カラー有機ELパネルを利用した天井用補助照明

 なおDNライティングは,大日本塗料の関連企業であるニッポ電機ダイア蛍光が合弁で2009年8月に設立した販売企業である.


●ナノドット・アレイで輝度を高める

 このほか,エレクトロニクス用ガラス基板メーカの日本電気硝子は,同社のガラス基板を使用した照明用有機ELパネルの参考展示を行っていた(写真9).有機ELパネルは,パナソニック電工(現在はパナソニック)と出光興産が合弁で2011年4月に設立した開発企業「パナソニック出光OLED照明」が開発したもの.

 

写真9 日本電気硝子のガラス基板を使用した有機ELパネル
パナソニック出光OLED照明が製造した.

 また大手製紙企業の王子製紙は,同社が開発した「ナノドット・アレイ技術」の応用事例として有機ELパネルを展示していた.ナノドット・アレイ技術は,微小な突起をアレイ状に形成する技術である(写真10).単色有機ELパネルの基板にナノドット・アレイ構造を付与すると輝度が約2倍に向上し,白色有機ELパネルの表面にナノドット・アレイ構造のシート(「ピラミッド・シート」と呼称していた)を貼ると,輝度が約1.3倍に高まるとしていた(写真11).

 

写真10 「ナノドット・アレイ技術」の有機EL応用

 

写真11 白色有機ELパネルの表面にナノドット・アレイ構造のシート(ピラミッド・シート)を貼って輝度を高める
右が従来の有機ELパネル.左がピラミッド・シートを貼り付けた有機ELパネル.写真では分かりにくいが,肉眼では輝度の向上を明確に認識できた.

 

ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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